「映画『バイオレンスアクション』作品レビュー 映画『バイオレンスア...」バイオレンスアクション 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
映画『バイオレンスアクション』作品レビュー 映画『バイオレンスア...
映画『バイオレンスアクション』作品レビュー
映画『バイオレンスアクション』の原作は、:原文:沢田新、作画:浅井蓮次による同名のハードボイルド・アクション漫画。小学館の漫画配信サイト『やわらかスピリッツ』にて連載されていました。
とあるホテル。可愛い女の子が、強面のヤクザが籠もる部屋のベルを流します。「ぷるるん天然娘特急便」と名乗っていたので、てっきりデリヘルかと思いきや、女の子は突如豹変しヤクザを殺しまくるのです。そのあり得ない落差が魅力の作品です。
女の子の殺し屋といえば、なんといっても『ヒット・ガール』が有名です。はたして橋本環奈は、クロエ・グレース・モレッツを越えられるのかどうかということがポイントでしょうね。
想像を絶する不味いラーメンを会員制で提供するラーメン店を事務所に構える「ぷるるん天然娘特急便」。電話で受け付けていたのは殺しのサービスでした。
凄腕の殺し屋・ケイ(橋本環奈)は今夜も仕事でヤクザたちを殺しまくり、ヅラさん(岡村隆史)が運転する軽トラに乗り込むのです。
ケイの日常は、昼間に学校で簿記検定の勉強をしています。今の目標は日商簿記検定2級合格。趣味は、漫画といっても「腐女子」の世界にハマっていたのです。
ある日、学校のクラスで一緒の渡辺(鈴鹿央士)が、事務所のラーメン屋で殺人を目撃してしまいます。しかしケイが好きな渡辺はそのまま事務所でバイトすることになりました。
別な日、ケイは以前バスで小銭を出してくれたテラノ(杉野遥亮)と、殺し屋専門の病院で偶然再会します。テラノの仲間・クラ(猪塚健太)が暗殺の仕事中に撃たれて半身不随になってしまい、テラノは見舞いに来ていたのだった。
ケイはテラノと病室でオセロをしながら世間話に興じるのでした。
後日、ケイは伝馬組の幹部・木下(高橋克典)から依頼を受け、対抗幹部の国津(兵動大樹)の組を襲撃します。
無事仕事をやり遂げたケイですが、次に木下が依頼してきたのは、なんとテラノがターゲットだったのです。テラノは伝馬組専任の税理士で金庫番だったのです。表向きは組の金を持ち逃げしたことが殺しの理由になっていますが、本当は木下が組の金を使い込んでいるという証拠をテラノが掴んだことでした。
ケイは一旦はいつものように仕事を進めて、テラノを確保しますが、伝馬組から待機命令が出て、指令待ちとなります。その間、ケイはテラノが憧れの税理士だと知って、簿記の指導を受けるのでした。そして珍しくこのまま任務を遂行すべきか悩む始めるのです。
橋本環奈が好きか、もしくはぶっ飛んだアートフィルム系が好きな人はそこそこ楽しめると思います。でも格闘アクションやストーリー性を求める人からすればひどい駄作となり、金よりも時間を返せと叫びたくなるでしょう。
いくらギャグ映画でも、シュール過ぎます。またオフの時のラーメン店でのケイやヅラさん、店長(馬場ふみか)のやり取りがドタバタ過ぎます。
またケイに殺されるヤクザが弱すぎるのも疑問に感じました。唯一例外なのは、伝馬組の組長直属の殺し屋であるみちたかくん(城田優)の存在です。この男、どんなに銃弾喰らっても、ゾンビのように復活するし、まるで空間を自在にワープするかのように神出鬼没で、ケイが逃げる先々で待ち構えているのです。しかも唯一ケイには全く歯が立たない相手でした。そんな怪物キャラだからこそ、劇中絶対殺さずに、エンディング後にも唖然呆然とする復活の仕方を遂げます。そこまで何でもアリで描いて、続編を作りたいのかと凹みました。
そんなダメダメなストーリーになかで、輝きを放っていたのは、伝馬組三代目組長役の佐藤二朗でした。普段は「ヤクザのオヤジ」ギャグを連発し、子分を苦笑させるだけのお馬鹿な存在のように見えます。しかし佐藤が時折見せる裏の顔は、大きなヤクザ組織を仕切る貫禄とドキリとさせる怖さ充分に感じさせるものでした。そして一連の組の内部抗争を収束させる手腕は対したものだったのです
橋本環奈についていえば、もちろんCGやワイヤーアクションも多用はしていますが、接近戦は体当たりのシーンもあり、結構頑張っていると思います。『セーラー服と機関銃』に主演したときのあまりの違和感とは違って、よく役に馴染んでいました。
・公開:2022年8月19日
・上映時間:111分