ザ・ホエールのレビュー・感想・評価
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人は救えないけれど
キリスト教徒のゲイに対する気持ちは嫌悪というよりも憎悪、おぞましく侮蔑すべきものなんだろうなぁ…
確かに主人公は身勝手な不倫なんだろうけど、決してハッピーではないむしろ茨の道。誰も救われないその後悔と負い目が、自分自身の命を奪うほどの過食になる。
そして、死を目の前にした時、娘や家族に愛されたいのではない、あなたは生きていて素晴らしいと最後に改めて伝えたかったんだよな。
愛情と憎しみ、悲しみ、悔やみ、色んなやるせない気持ちが溢れてきたけど、最後に残るのは幸せな思い出と純粋な愛なんだとしみじみ。
ブレンダン・フレイザー、ハムナプトラ世代には余りの変わり様に驚いてしまうけど、そこもまたストーリーの中の悲哀に含まれて重みがある。よくこの役を受けたし、素晴らしい演技を見せてくれました。
そして友達リズを筆頭に、母娘も、憎たらしいほどの伝道師もみんな演技が素晴らしかった。狭いワンルームシチュエーションなのに飽きずにドラマを堪能できました。
重くてつらいけど、その中に輝く一筋の光。人生や家族、大切な人のことを思いながら噛み締めて観たい珠玉の映画。
よかった。
帰り道にじわじわと染み渡ってきた。
そんなしっとりとした映画で、でも
心を揺るがす力を持っている。
たった数名の人物だけで、
しかもあの家の中だけで、
あれだけ飽きさせない演出がすごいし。
中盤で、まさかあの人がっていう
そういう展開もうまかった。
やっぱり娘との関係性に回帰していくのは、
そうなんだよね、と思いつつも、
彼自身のトラウマが娘が人を救ったことによって
払拭されたのかは気になった。
まあ、されたのか、立ったし。
あの娘とのくだりは、NTLの「スカイライト」を
思い出したりしましたな。
俳優さんもホン・チャウが素晴らしかった。
(ザ・メニューのあの人って気づかなかった!)
主人公との関係性も絶妙でしたな。。
あるよね、ああいうケアしてたのに裏切られた、みたいな。
それでもエネルギー持って接していたのがよかったし、
序盤の彼との関係性が本当に可愛かった。
セイディー・シンクも魅力的だった。
本当に最後には信用できるような人物をうまく
演じておりましたな。
てかストレンジャー・シングスのあの子だったんかい
大きくなって…
やっぱりケンタッキーが食べたくなって、
チキンを買って帰りましたよ…。
それでも何となく自分を肯定してあげたくなる、
自分を大切にしてあげたくなる映画でした。
「自分の暗い部分を先送りにしている」
こんな、まさにっていう言葉さ、本当に胸打たれたよ。
言葉にできない
毎度、四苦八苦しながら書いている映画レビューですが、感情を言語化するというのは私にとって容易なことではありません。
作品中、チャーリー(ブレンダン・フレイザー)は若者たちに、「思ったままを正直に書きなさい」と導くことをしますが、すいません、ちょっと本作に対しては本当に言葉が出てきません。個人的なこと、ほんの部分的ではありますが、本作の一部に重ねてみてしまうところがあり、ちょっと作品を冷静に批評できない特別な思いがあります。書いては消しての結果、結局はいつものように(下手な文章を)ツラツラと書けませんでした。ごめんなさい。
そして正直、誰になら薦められるのか判らない作品ですが、人の内面に食い込んでくるような作品であるため、私同様、刺さる人には深く刺さる作品だと思います。まぁ、そういうところがまたA24ですね。万人受けを狙わない作品選びで、結局は観逃せません。A24、あっぱれ。参りました。
ということで、いつもよりもかなり少ない文字数ですみません。ブレンダン・フレイザー、ホン・チャウ、素晴らしかったです。ありがとう。
映画より演劇向きかも
なんでホエール?と思いながら、他の方々のコメントも見ずに拝見
前の女性は中盤がらボロ泣き…
僕もそこまではいかなかったものの、今の状況と被る部分もあり、かなり落ち込みながらも、考えさせられた
似かよった境遇の人(幸せで順風満帆の人には、余り共感しないと思う)であれば、思い考えさせられる作品
演劇に落とし込み観劇したい‼️
映画「レスラー」と同じような感じがした。
良かった。
アカデミー賞を受賞していた事とテーマに興味があり鑑賞しました。
それ以外の予備知識はなかったのですが、観ていく中で、途中過去に鑑賞した
映画「レスラー」に似ていると思って鑑賞後確認したら同じ映画監督で納得しました。
家族や他人に迷惑を掛ける事が、分かりつつも自分の考え方を貫く生き方しか出来ない
不器用な人たち。
現在は多様性の時代でマイノリティな人だからと言って批判や疎外してしまうのは
間違った考え方なのかもしれません、気を付けなければと思いました。
主演の方も凄かったけどエリー役の女の子よかった💓
お昼食べた後に見たので、一つの部屋だけの展開だと寝てしまうかも、と思ったけどそんな事はなかったです。
主演男優賞を取った演技、堪能しました。そして娘役のエリー役の子も素晴らしかった✨
主人公がゲイで娘と妻を捨て、という設定、ゲイという事でなんとなく純愛っぽくてとても感情移入されるけど、コレ普通に他の女性と恋愛して妻子を捨てた、だったら単なるクズなのか?と見終わってしばらくしてからふと思いました。
ちょっと入りきれませんでした😅
なんでこの娘は、こんなに口も性格も悪くなったのだろう。本人の気質にもよるのだろうけれど…。
そして、チャーリー。こんなに娘が可愛かったのなら、娘を思って過食をやめられなかったのでしょうか。
もう少し娘の心のうちを描いて欲しかった。
それにしても騒がしい最期の五日間。
こんなにいろんな人が毒を吐きにくるなんて。
汚いけれど、痰壺のようです。
チャーリー、人気があるんだかないんだか…。
人は家族に傷つき、家族に救われる
チャーリーは言う。「人は誰も救うことなんてできない。しかし誰もが人を救いたいと思っている」。それはチャーリーだけではない。この映画の中の人々は皆そう思っている。
そんな思いとは裏腹にこの映画の登場人物は過去にそして今もお互いを苦しめ合い、苦しんでいる。チャーリーの醜い巨体と常に聞こえる喘鳴はその象徴のようだ。
クライマックスは訪れる。チャーリーの命が尽きようとするとき奇跡が起きる。チャーリーは娘のエリーを救い、またエリーに救われるのだ。
僕にとってこの状況はリアルで、チャーリーに感情移入(デブでもゲイでもないけど)し、最後の最期に僕の涙腺は崩壊した。映画のなかで僕も救われていた。父と娘の激しくも優しい遣り取りは見事だった。
過去最高のワンシチュエーションものですね。
登場人物4~5人のほぼワンシチュエーションで進んでいきます。
デブでゲイというマイノリティな人物をブレンダンフレイザーが演じているのですが、もうリアルで最高でした。ラストは涙が止まりませんでした。家族との意思疎通は大事だなって改めて考えさせられました。主演男優賞は文句なしですね。
それと娘役のセイディシンクちゃんもやばいですね。観たのはストレンジャーシングス以来でしたが今後の活躍に期待です。
そして希望へ…
舞台に魅せられた鬼才ダーレン・アロノフスキー監督が映画化…
1つの空間をずっと見続ける異色の室内劇
体重272キロの巨漢、主人公チャーリーを見た途端思わず目を背けそうになった
み、見てはいけない物を見てしまった
心のざわつきに居心地の悪さを冒頭から感じてしまった
恋人を亡くしたショックから過食になり
重度の肥満症に…しかも治療を拒み続けた結果
病状も悪化し余命僅かと悟ったチャーリー
そんな彼が自らの過ちと向き合い
愛する人に心から愛してると伝えたい
孤独だった彼が無償の愛を捧げる最期の5日間の物語
チャーリー以外の登場人物も皆、心に傷を抱えそれぞれが信じる人、愛する人を求めている
チャーリーの姿を初めて見たピザ配達員と同様のリアクションをしていたであろう冒頭での私が次第に隙の無い緊張感に引き込まれ
人を信じ愛して自身を慰る…
そんなチャーリーから一瞬たりとも目が離せなくなっていた
結末の後味の悪さが癖になるアロノフスキー監督らしくなく😁
希望的な結末は静かな感動を与えてくれました
キャスト人の絶妙な間の台詞の取り方や制限された定点間の中での感情のぶつけ合い…圧巻でした
何よりオスカーを晴れて手にしたブレンダン・フレイザー!「ハムナプトラ」シリーズでのイケメンっぷりで世の女性達を虜にし冒険少年の心を踊らせた彼が奇跡の復活!!
撮影中モチベーションを維持するだけでも困難なのに彼の目だけで全てを表現する演技に
ただただ圧倒されました!
かつての大スターが今後は名優として沢山の作品を盛り上げて行く事でしょう⭐️
心の中まで肥満になってはいない。
拒食症とは違い肥満症は“欲の塊”と捉えられやすい。
272kgのチャーリーの描き方がだらしなく汚いのに、
そんな見た目なんかどうでもいいくらいの愛と苦悩。
そしてLGBT。愛の在処と死を目の前に訪れる真実と真相。
私の“生涯ベスト10”の中に
「レクイエム・フォー・ドリーム」がある。
さすがダーレン・アロノフスキー監督。
まともじゃない。
でも今作はまともじゃない中に
愛も救いもある。
ラストは想像通り。
ブレンダン・フレイザーおめでとう!!
ラストは涙が溢れる。傑作だ。登場人物がほぼ四人だけの室内劇だが、人間を、社会的生き物としての人間を見事に活写している。
①基が舞台劇だから仕方がないが、どうしても舞台臭が抜けないので⭐だけ減点。
②ダーレン・アロノフスキーは今回は『ブラック・スワン』ほど神経症的ではないが、ほぼ4人(+1人)の登場人物のみ会話劇を緊密な演出で構築している。
しかし、『レスラー』といい『ブラック・スワン』といい、どうしようもなく破滅に向かう人間を絶妙に演出できる監督さんだ。未見だけれども『レクイエム・フォー・ドリーム』もそういう映画なんでしょうね。
③今年のアカデミー賞主演男優賞は『イニシェリン島の精霊』のコリン・ファレルだと思っていたけれども、本作のブレンドン・フレイザーもそれに負けない熱演。
④故淀川長治先生は「秀れた映画とは“人間”を描いている映画」と書かれている。
人間のどうしようもなさ、ということがこれでもか、と突き付けられる。
主人公のチャーリーはパートナーのアランに死なれた傷心から過食症・自閉症を発症しまう超肥満体となった男。
上が284という超高血圧なのにチキンコンボやピザ、チョコレートバーといった高カロリー・高脂質の摂取を止められない。頑なに病院に行くことを拒んでいる。
口と指と油でギタギタにさせながらフライドチキンを貪るように食べる姿は、私の様な健康オタクからすれば病的で気色ワルい。
チャーリーがそうなった訳は、パートナー(男性)の死なれたことから過食症になり緩やかな自殺に他ならない事がやがて分かってくる。
ゲイのパートナーに死なれて自殺を考える(希死念慮に取り憑かれる)というと、コリン・ファースの『シングルマン』を想起させるが、スタイリッシュで美しい映像美が印象的だった『シングルマン』に比べると正直醜悪で見苦しいと初めは思ってしまう。
⑤文章に対して鋭い見識眼を持ち、作文の講師が出来る程の知性を持っているのだら、過食症も自閉症も脳の疾患だとわかるだろうし、対処策もわかるだろうに(策さえ分かれば対処出来るという程単純なものではないが)、このままでは命が無くなることを分かりながら暴飲暴食を止めようとしない。人間とは真に不条理な存在である。(私は双極性Ⅱ型障害を発症したが希死念慮は起きなかったので希死念慮については偉そうに云う資格はないけれども)
⑥リズという面倒を見てくれる看護師の友達がいるが、チャーリーの状態が分かっているのだから、何故無理にでも救急車を呼ばないのか、アメリカではそれほど個人の意志が優先/尊重されるのか、と思ったけれども、やがてリズはチャーリーの恋人の妹であること、兄の死の真相を知っていること、チャーリーか何故過食症になったのかを理解している人間であることが分かってくる。
⑦そして、ここに信仰&神の問題が絡んでくる。
この映画では「ニューライフ」という「エホバの証人」?みたいなキリスト教系の宗教団体が出てくる。
アランが死んだのも、子供の頃から刷り込まれた教えに反し、また所属していたコミュニティから追放されたトラウマから結局逃れられず自死したようなものだし、トーマスにしたら
先送りされた 自らの暗い物語
レビューだかエッセイだか判別しない作文を、毎度している私ですが、私、正直に書きませんよ。だって正直であろうとすると、むしろ自分から遠のいてゆく気がするから。
死を意識しながら生きてますか?。私、意識してません。だから私、死にかけ状態の人の気持ち、分からないの。ただ私が死にかけたら、心配して駆けつけてくれる人、一人でもいたら、案外、それだけで、いい一生なのかも。
ヒトを好きになりました。家族は棄てました。パートナーも、家族と信仰を棄てました。パートナーが病んだのは、私の愛が罪だから。私には、赦しを乞う資格がありません。私は罪と共に去りぬ。
自らの暗い物語を先送りして。
自らの暗い物語を先送りして…。
ヒトは生涯をかけて罪を犯し、生涯をかけて贖罪を乞う。そのツールとして、信仰がある。仮にそうだとして、神様はどうしてヒトを創ったの?。あるいは、ヒトはどうして神様を造ったの?。
古来より、バラとアザミは夫婦だそうです。バラとアザミ。近づく程に、お互いを傷つけ合う。それでも夫婦なんです。アザミとアザミの家族もいます。いずれにせよ、互いに傷つけ合いながら、互いに分かり合おうと寄り添う。おぞましくもあり、美しくもある。
裏切り傷つけ合うのがヒトの性(さが)だとしても、お互いを大切に想うのもまた、ヒトの性。そうありたいものです。自らの暗い物語の先に、たとえ赦してくれなくても、自分のことを心配してくれる人がいる。それだけで、ヒトは救済されるかも。
生と死、性と家族を真正面から捉えた、すごい映画です。とはいえ、生理的に受け入れ難い映画ですね。…正直なところ。
ラスト10分がすべて
当初は予定に入れてなかった作品ですが、アカデミー賞主演男優賞の演技を観たくて鑑賞してきました。
ストーリーは、8年前に妻と娘のエリーを捨ててボーイフレンドのアランとの恋を選んだチャーリーが、アランが亡くなったことで過食と引きこもりの生活に陥り、一人では身の回りのこともできないほどの巨体となり、アランの妹で看護師のリズの助けを受けながら生活していたが、自分の死期が近いことを悟り、最期にエリーに自分の思いを伝えようとするというもの。
巨漢のチャーリーの過去と秘めた思いが徐々に明らかになり、ラストで「白鯨」に収束する展開は悪くないです。「白鯨」を読んだことがないので、内容の上で本作とどのような関連があったのかはわかりません。ただ、彼にとってはかけがえのない思い出との結び付きと、おぞましく膨れ上がった自身の体を連想させるという二つの意味があったのだろうとは思います。冒頭と対をなすラストシーンで、小難しい文章のもつ意味がわかり、一気に感情をもっていかれ、思わず目が潤んでしまいました。
とはいえ、よかったのはラスト10分だけ。序盤から一向に盛り上がらない展開に、なかなか乗れませんでした。いろいろな人との関係からチャーリーの人生観を描こうとしているのか、家族への思いを描こうとしているのか、はたまた神への信仰について描こうとしているのか、よくわからず、焦点が定まらなかった印象です。捨てた家族との絆を取り戻し、その姿を見てリズも救われたぐらいの方が、自分にはわかりやすくて好みです。
また、場面転換がほとんどなく、ひたすら会話劇が繰り広げらるれるだけなので、絵的にはまったくおもしろみがありません。仕事帰りに鑑賞したのですが、新年度スタートの激務の疲れも手伝って、睡魔と戦いながらの2時間となりました。瞬間寝落ちは数知れず、そのため大切なシーンを見落としたり、セリフを聞き逃したりしたかもしれません。だとしたら、本作のよさが理解できないのは自分の責任です。
主演はブレンダン・フレイザーで、彼の演技は確かに受賞に値すると感じました。その他の俳優はホン・チャウしか知らず、彼女は安定の演技を披露していますが、エリー役のセイディー・シンクも堂々たる演技です。
ブレンダン・フレイザーは
命を懸けていたと思う。(と、思ったのですが、スーツなどであの体型を作っていたのですね)
映画というものは命を懸けてまで作るべきものなのか。(と、思ったのですが・・・以下同上)
追記
残念なことに私は、この映画を見ても「白鯨」を読みたいとはちっとも思わなかった。
ただ、題名を「鯨」と名付けた理由はよくわかった。
演劇でよろしい。
272キロの巨体の男を演じたブレンダン・フレイザーが第95回アカデミー賞で主演男優賞を受賞。舞台劇が原作。そのテイストをあえて崩さない雰囲気の密室劇としてアレノフスキー監督が見事に緊張感ある父娘を描ききった。クライマックスは、いかにも演劇のステージのカタルシスが、そのままスクリーンで高揚させられる。
人間は
怠惰な生き物である。
怠惰でいることが持続可能であることを
叶えるためにこれまで多くの発明開発をしてきた。
この怠惰な生き物である。
と言うことを僕が理解したのは、ジブリの鈴木敏夫さん
のラジオ番組でドワンゴの川上さんの発言だった訳だが
ラジオを聴いていただけで、気づけたのだから怠惰な
人間の発明に感謝すべきところである。
と感想から逸脱し始めたところで、ひとまず戻ろう。
その怠惰な人間がまず省エネで生きようとするならば
まず捨てるべき行為は、考える。と言うことなのだが
この考えると言う行為が、宗教や学校という現場では
厄介で、問題となるイシューである。と言うことを
見事だし示してくれた作品であるといえよう。
その上、考える人間が生み出した発見が所謂
歪で異質で、世にとって受容し難い存在なのだが
それがありのままの人間が抗い生み出した
人間が気づいていなかった真理である。と
言うことに気付かせてくれるのが本作である。
まぁ、長々と書いたけどね。素晴らしい映画だよ♪
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