劇場公開日 2023年4月7日

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「白鯨に魅入られた人々」ザ・ホエール コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 白鯨に魅入られた人々

2025年10月18日
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鑑賞方法:VOD

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あらすじ。舞台は現代アメリカの片田舎にあるアパートメントの一室が舞台。そこに超肥満体型の男にまつわる過去の話と『白鯨』を組み合わせた登場人物の魂の救済に重点を置く。超肥満体男の人生最後の最高な一週間の物語。
 印象的な台詞は『disgust me』私はおぞましいか?胸がむかつくか?と遭う人に同意を求める場面。ダブルミーニングで全ての台詞が比喩的で掛けられていて面白い。
また自分の内面を文章に表す詩的な世界を表現する為に対比的な見た目を重要視する所が悲しくもあり胸に詰まる。
 印象的な立場は、最初から幼い娘より教え子を選んでしまった後悔と苦悩しながら納得したくて生きている娘に救いを求める場面。
最初の心臓発作から娘の『白鯨』感想文を読んでいる事が終始物語の中心である事が再度見ているとよくわかる。。アメリカだけにキリスト教圏の世界に対する罪と罰の姿勢がよく分かる構図になる全体的に暗い撮り方が緊張感を増していて良かった。
 印象的な場面は、やはり最初の登場から最後の最後に救われる偽宣教師トーマスとの関係が印象的だった。主題が罪と罰であり、絶望と贖罪の物語であるだけにみている人に伝わりやすい表現だなと感じた。
超肥満体型の最後の一週間ならではの死にそうな名演技は目を見張るものがある。
また最愛の人を亡くしてしまった絶望感から自虐的な過食へと発展していく過程が凄まじい。。。結局人間は主観的にしか生きられないのかもしれないという疑問を投げかけられた。
そして最後は天国に行きましたとも取れる表現がキリスト教的でハッピーエンに満足できるが安易な終わりに現代に投げかけられる闇を感じ取れる苦しくも感じた温かい映画。

コバヤシマル
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