劇場公開日 2023年4月7日

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「人生を見つめ直したくなる、心に響く言葉の数々。」ザ・ホエール りこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 人生を見つめ直したくなる、心に響く言葉の数々。

2025年10月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

斬新

多くの人が救われる言葉があり、人生について深く考えさせられる作品です。

主人公のチャーリーは、過去の喪失と罪悪感から暴飲暴食に走り、巨漢となって自力では身動きが取れない状態にあります。
そんな彼の“最期の5日間”を、ほとんど自宅の中だけで描くという非常に閉鎖的な構成の映画です。

主演の演技は圧巻で、巨体をリアルに再現した撮影方法が気になり、思わず調べてしまうほどでした。
序盤ではその生活の過酷さや絶望感に思わず息を飲みますが、展開が多少ゆっくりのため、飽きる方もいるかもしれません。しかし物語が進むにつれ、彼が歩んできた人生や心の内が少しずつ紐解かれていきます。

彼が最期の5日間で果たそうとしたのは、生き別れた娘との絆を取り戻すことでした。
彼女は反抗的で、いわゆる“グレた少女”として登場しますが、その奥には人を思いやる優しさや、救われたいという願いが見え隠れします。

「正直であることの大切さ」を何度も訴えるチャーリー自身も、きっと人生でずっと“正直になりたかった人”なのだと感じました。
そして、彼の放つ「どんな人であれ、誰かを気にせずにはいられない」という言葉が、強く胸に残ります。

自らの死を悟ったとき、私たちは残された時間で何を語り、どう過ごすのか。
家族愛、友情、そして人生そのもの――あらゆる角度から深く考えさせられる映画でした。

りこ
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