「ややわかりにくい点はあるが、それでも好印象(高度恐怖症の方、やや要注意!)」エッフェル塔 創造者の愛 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
ややわかりにくい点はあるが、それでも好印象(高度恐怖症の方、やや要注意!)
今年74本目(合計726本目/今月(2023年3月度)9本目)。
最初に「史実をもとにして自由につくった作品」という字幕が出ますが、大枠の部分においては史実と変わっていないので、個々の個別の描写等、現在では補え切れない部分に関して「こうだったのだろう」などという扱いになっているのだと思います(したがって、その「こうだったのだろう」という点も常識的な範囲で、支離滅裂ではない)。
この映画自体はフランス映画で、フランス映画といえば独特な余韻を残す展開が好まれますが、エッフェル塔の建設の開始からできるまでを、ラブストーリー等と絡めて作った、基本的にストーリー軸ひとつの映画です。したがって何を書こうがネタバレでありこの点レビューは難しいです。
なお、映画の趣旨的というのではなく「結果的に」そうなったのだと思いますが、実際にエッフェル塔であろうが東京タワーであろうが、それらがそうであるように、建設というのは下から作るものですので、この関係で一部、建設途中にのぼってパリ郊外を見下ろすシーンがあります。映画の趣旨的にそれ「だけ」であり、高度恐怖症の方にはきつかったのではないかなと思える「FALL」とは「扱いが別」ですが、結果的に「程度の差はあっても」同じようなシーンはありますので(ただし、合計しても1分しかないし、連続しては出ないようになっている)、そこの部分はFALLの怖さのそれとは違います。
採点にあたっては下記を考慮して4.4を二捨三入で4.5までまとめています。
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(減点0.3/一部のセリフの配慮が足りない・歴史編)
「プロイセンに負けた」「我が国の権威を取り戻す」などのセリフがいくつか出ますが、ここは歴史背景を知らないとはまりますが、これは「普仏戦争」です(ナポレオン戦争ではない)。
(減点0.3/法律系資格持ちが混乱しそうな字幕)
(お金が足りずに)「特許権まで抵当権に入れる」というところ。
(当時の)フランス民法がそうなっていたのかは不明ですが、日本では基本的に「債権」を抵当権に入れることはできません(そういう使い方を想定していないし、仮にそうだとすると、抵当権に関する規定をどう適用するかが謎になってしまう)。
すると、考えられるのは質権(権利質)が譲渡担保ですが、前者は「日本の考え方では」できない方法です(特許法にそのような規定が存在しない)。一般的に「現在の」日本で使われているのは譲渡担保という考え方(日本の物権には明記されていなくても、古くからの商慣習などで権利として発達した一部の特殊な「慣習上存在する物権」)で、このことを指しているのだろうと思います。
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