「【”貴方は必ず帰って来た。三日前までは・・。”恋人に捨てられた女性の見栄と本音の狭間にある怒り、哀しみ、無力感をティルダ・スウィントンが一人芝居で圧倒的な存在感で魅せる作品。】」ヒューマン・ボイス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”貴方は必ず帰って来た。三日前までは・・。”恋人に捨てられた女性の見栄と本音の狭間にある怒り、哀しみ、無力感をティルダ・スウィントンが一人芝居で圧倒的な存在感で魅せる作品。】
- コロナ禍の中、ペドロ・アルモドバル監督がジャン・コクトーの『人間の声』を翻案した、電話での会話劇だけで展開するドラマ。 -
■スーツケースを取りにくるはずの元恋人を待ち続ける女性。
傍らには、主人に捨てられたことを理解していないイヌがいる。
元恋人を待つ3日間で1度だけ外出した女性は、斧と缶入りガソリンを買ってくる。
彼女は無力感にさいなまれ、絶望し、やがて理性を失っていく。
が、そんな時、元恋人から電話が掛かって来て・・。
◆感想
・元恋人に対し”機械人形みたいな私”と言ったり、ありもしない見栄を張ったりする真っ赤な服を着た女の愚かしさ、哀しさ、虚しさをティルダ・スウィントンが独り芝居で魅せる作品。
ー 真っ赤な服は女の情熱的で、激情的な性格を暗喩しているし、実際に彼女はその様な行動を取るのである。ー
・全ては舞台セットの中で進行していく。
<ペドロ・アルモドバル監督は、そんな彼女に部屋の中にガソリンを撒かせ、火を付けさせる。
そして、女は男のモノだった筈の犬を”ダッシュ”と呼び、燃え盛る舞台セットを後に、自由なる世界へと足を踏み出させるのである。
それにしても、本作のフライヤーも含めて、ペドロ・アルモドバル監督の豊かなる色彩感覚には驚かされるし、そのような中で真っ赤な服を着たティルダ・スウィントンの一人芝居が冴えわたる作品だと私は思うのである。>
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