「SPY×MOVIE」オペレーション・フォーチュン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
SPY×MOVIE
おはよう、フォーチュンくん。今回の任務を伝える。
ウクライナの研究施設から何かが盗まれた。“ハンドル”と呼ばれるそれは100億ドルで闇取引される代物らしい。
即席チームを結成し、ハンドルの追跡と回収に当たってくれたまえ。
任務の成功を祈る。
尚、このメッセージは自動的に…(プシュ~)
ただのステイサム無双映画だったらたった一人でミッション・コンプリートだったろう。
ただのステイサム無双映画じゃないのがミソ。
チームを率いて挑むスパイ任務である事。
監督がこれで5度目のタッグのガイ・リッチーである事。
リッチー印の小粋なステイサム版『ミッション:インポッシブル』。
チームメンバーが各々の能力を活かして任務に挑むのがスパイ映画の醍醐味だが、勿論本作も。
ステイサム演じるチームリーダーのオーソン。数々の任務をこなしてきた民間諜報の名スパイだが、問題児。
ネイサン。MI6のコーディネーター。一応チームの司令塔だが、何だかちょっと頼りなさげ。
サラ。アメリカ人ハッカー。ハッカーとしては天才凄腕だが、毒舌家。
JJ。新米スナイパー。面子的にお笑い担当かと思いきや、射撃の腕はピカイチで、運転や調達など名サポート。
問題児に頼りなさげに毒舌家に新米…。こんなんで大丈夫…?
いざ任務となったら、意外やチームプレーを発揮。
その活躍ぶりや愉快なやり取り。オーソンとネイサンの掛け合い、いじられ役のネイサン、サラの毒舌ツッコミ、あるシーンのJJの「これがベンです」にはウケた。
一匹狼のイメージのステイサムがチームを率いるのも新鮮。『ミニミニ大作戦』や『エクスペンダブルズ』などチームを組んだ事もあるが、リーダーは初めて。
ユーモラスな一面も見せ、ステイサムの新たな魅力。
勿論腕っぷしの強さも。ちゃんとステイサム無双アクション映画にもなっている。
追う内に、大富豪の武器商人グレッグが関与している事が判明。
演じるは、ヒュー・グラント。
ヒューが演じるのでいつもの口が上手いコミカルキャラかと思うが、そうでもありつつ、凄みも魅せる。時々アル・パチーノにも見えた。
グレッグはガードが固い。そこで立てた作戦は…
グレッグは映画スターのダニーの大ファン。ダニーに協力を要請し、ダニーを餌にグレッグに近付く。
弱みを握り、半ば強引に作戦に引き込む。
気の毒だが、基本能天気なダニー。最初はドキドキ緊張だったが、次第に自信が付く。名スパイを演じ、世界という最高の舞台で。
俺は映画スター、ダニー・フランチェスコ!(映画スターは演技しないけど)
ジョシュ・ハートネットが妙演。
この二人の存在がアクセントになっている。次第に蜜月になっていくヒューとハートネットの珍味なやり取りも見もの。
ライトな作風だが、ちゃんとスパイ任務は遂行。
アクション、銃撃、街中追跡。
遂に抑えた取引現場のスリルはなかなか。
小粋ではあるが、小規模。それがどんどん世界を股に、スケールや見せ場も充実していく。
ハンドル取引の真の目的。想像以上の世界的危機と陰謀は別のエリートスパイやスパイチームレベル。
グレッグが黒幕かと思いきや、仲介役。黒幕は…? 元チームメンバーの引き抜き、その都度その都度の妨害、裏切りから察しは付く。
超大作ではない。が、痛快な面白さは上々。
スパイ映画、リッチー映画、ステイサム映画。程よい感じの。
興行的には不発だったようで、次の任務はないかな…。
でも、休暇明けの次の任務も是非!