ビリーバーズのレビュー・感想・評価
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二時間尺の{ロマンポルノ}
{ロマンポルノ}には幾つかのシバリがあった。 平均して10分に一回程度の性行為シーン 上映時間は一時間強 モザイク・ボカシを極力入れない などで、 加えて複数の女優さんを出演させる、 等もあったかも。 勿論、女優さんの裸やカラミを見るのが第一目的も、 表現やストーリーの面白さ、 時として社会事情を鋭く切り取る視点がある脚本も その鑑賞理由とはなっていた。 そして、本作、 監督・脚本の『城定秀夫』は{ピンク映画}出身と聞くが、 その出自を十二分に生かした一本に仕上げている。 「カルト」と、そこに隷属する人々を皮相な目で見つつ、 カラミのシーンも煽情的に挟み込む仕上げ。 最初は「R15+」の理由が判らなかったのだが、 観終わってみれば「えっ、これでR18+じゃないの?」と 思わせる過激さ。 勿論、それには主演の『北村優衣』の 文字通りカラダを張った演技も成果もあるのだが。 とは言え、確たる理由も伝えられないまま、 無人島に押し込まれた男二人に女一人の組み合わせでは 何れ事件が起きるのは容易に想像できること。 ましてや、外部との接触は、 定期的な返信も期待できぬメールのみ。 食料や飲料の補給も滞りがちで、 目的を聞かされぬ単調な作業を課せられる閉塞状況下では ほどなく何かの形で暴走するのは止められない帰結。 なかでも、ヒエラルキーや見えない権威(この場合は教祖の影)を利用し 他人を操るさまは、ギャグっぽく描かれてはいるものの、 底に潜む悪意に思い至る時、うすら寒さを覚える。 そこに男女間の相克と「連合赤軍山岳ベース事件」でも起きた 仲間割れを組み込んだのは良いのだが、 それ以外も含めてエピソードに既視感があり過ぎ。 「オウム真理教」 「ピープルズ・テンプル集団自殺」 「クアラルンプール事件」 等はまるっと同時代の知識も、 原作者の『山本直樹』が、ほぼほぼ同年代なのを勘案すれば、 むべなきことかもしれぬ。 「三大欲求」である「睡眠欲」「食欲」「性欲」がコントロールされた時、 人間はどのようになるのか。 また、人を自在に操りたいのであれば、 それを上手く使うのが一番の手であり、 殆どの「カルト」はそう仕向けるわけだが。 〔星の子(2020年)〕とは真逆の描き方ではあるものの、 視線の先に存在するのは共通にも思える。
まぁ、監督の方が監督ですからねぇ。
今年200本目(合計476本目/今月(2022年7月度)12本目)。 ということで、金曜日2本目はこちら。 いわゆる「R15シリーズ」などで有名な方で、そういった事情があるので、この映画もR15指定です。もちろんR18ではないのでモロに行為自体は描かれませんが、モザイクもかからない状態で、一部、本当に目のやり場がないところは確かにあります。 うーん…。原作小説などないようだし、何を主な趣旨として描きたかったのか…という点はいろいろな考え方はありそうです(憲法上の信仰の自由や集会の自由など、とも思える)。とはいえ、そういった憲法的な論点は「一応」あるものの、「R15シリーズ」で有名な監督の方の一つの作品、という観点で見に行ったほうが良いのでは…という印象です。 全般的に、R18ではないものの、「目のやり場がない」部分が結構あるので(大半は大人の営み関係で引っかかったと思われます)、人を選ぶのは確かですが、それを把握している限りにおいてはそこまで引きにくい印象です。 採点においては、こうした点は気になったものの、「R15であることは明示されている」「いろいろな見方ができる」(一応、憲法的な問題提起とみる立場も理解できる)などいろいろな観点が存在する映画で、ただ単に「エロを描く「だけ」」ではないと思われる本映画では減点対象とはしませんでした。
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