「共感する恐怖のような」ビリーバーズ ツネさんの映画レビュー(感想・評価)
共感する恐怖のような
・登場人物が皆、あんまり身近にいない人たちばかりで、その中でオペレーターに感情移入をして観ていた。ああいうカルト集団を擁護するわけではないけど、孤島での異常な生活が正常に見えてきた辺りで暴漢たちが暴れる姿は辛くて居たたまれない気持ちになった。とはいえ、どちらが正常なのかがわからなくて、孤島生活がそういう形でも破綻する方が良いのか…?とか。とりあえず、拳銃で銃殺していたけれど、何かホッとした気持ちになった。
・ミッドサマーなどで宗教とセックスがおおむね一緒になっているイメージだったので、あの三人を見た時、そういった事でもめるんだろうなと思ったら議長が清浄のためっていう大義名分を掲げてのセクハラで笑ってしまった。夢に出てきたことを強引な自己都合の解釈とか。何でもこういう言い回しをしたら笑ってしまいそう。副議長は嫌悪感をあらわにしていて、オペレーターがどっちなのかがわからず、洗脳の根深さみたいのを感じた。
・更に高次の人間を目指しているという事なんだろうけれども、その滑稽さが凄くて、日常で何か上昇志向的な発言とかって少しずらすとそういう風に見えてしまうのかもと思った。とはいえ、斜に構えるようにしているのもすねてるような感じで正常とは違う気がして、中庸でいることは非常に難しいのかもしれない、と思った。
・後半になって、拠点として多数の人達が集まってきた。けれど、それが現実だったのか、夢だったのか、刑務所でのことも現実だったのか本当はボートに乗っている状態が現実なのか、結局、オペレーターはどこにいるのかわからなかったけれど、夢の分析からの現実、自己の超越を目指していたようだから、ある種の超越に成功したのかなぁと思った。向こう岸っていったいどこなんだろう。