カラーパープルのレビュー・感想・評価
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音楽の力
個人的には本作の方がスピルバーグ版より遥かに好き。
同じ原作が下敷きだし、スピルバーグ自身やオリジナル版に出演したオプラ・ウィンフリーが製作総指揮に名を連ねているし、大筋は変わらないものの。
スピルバーグ版は「僕アカデミー賞欲しい」が溢れすぎていたのか、黒人vs白人図式が尺は短いながらも強調され過ぎていたのと、感動のラストに辿り着くまで苦行の如き長さの「差別と虐待のドロドロ真っ暗」な作品だった印象でしたが(実はかなり苦手)。
本作は、その辛さを音楽によって明るく、前向きに、生きる力を表現する形に変えていて。
ミュージカル舞台の映画化というのが、上手くいっていた気がします。
女子よ、強く賢く美しくあれ!
ゴスペルから陽気に始まったかと思いきや、どうにもならない家父長制、、いや、ただの虐待ではないか!
なんだこの男どもは!!
途中歌って踊る場面は流石で、色鮮やかな明るい世界に気を取られてご機嫌になった頃に、また気分が落ちる出来事が起こるの繰り返しで、とにかく自分の気持ちの浮き沈みが激しかった。
今でも腹立つ男どもが脳裏に浮かんで、思い出す度新鮮にムカつく!!!
ク○旦那が畑の泥水に倒れ込んだ時には、そのまま朽ちて土の養分となり、せめてもの後世へのお役に立って罪滅ぼしをせよ!!と心から呪ったけど、その後別の事で罪滅ぼしをしたつもりなのだろう。
優しすぎるセリーは許したかもしれんが、私は絶対許さん!
ソフィアが出てきた事で救いの方向に走るかと思いきや、変わらない男どもの価値観に色々阻まれて行った時は、もうほんと1分毎にこの街の男ども全員滅びろと念じたわね。
価値観は変えられない、変わるなら自分を変えるしかないをまた学び直した気がする。
けどあの過酷な環境にあってでも、素敵な美的感覚を失わず、人を愛して大事にして信じる心を失わなかった所にセリーの強さを感じた。
“I’m here”の歌のラストは涙が止まらん。
他人より自分の方がよほど見えにくいよな。自分の良さに自分で気づくことの素晴らしさよ。
でも最強なのはソフィア。
ソフィアのお守り欲しい。
信仰できそうな位好き。
そしてセリーを変えた美女との出会い。
この映画は男によって傷つけられ、女によって救われている。
そして強さを暴力でしか表現できない男どもに、賢い女たちが負ける事もない。
他人を傷つける事ができない優しい人は、気弱くも見える。そうするとそこにつけこんでくる下衆な人間が必ずいる。
けどその人の優しさは気が弱いからというわけでないことを、絶対忘れたらいけない。
本当に強い人は自分の大事な誰かの為に我慢ができてしまう。
とにかく報われない日々が続き神様を信じられない嘆きから、やはり神様はいらっしゃるのだという救いと喜びの日々への道のり。
衣装も歌もダンスも演技も素晴らしかった!!
あと、エンドロールの刺繍がすごく良かったな。あれもう一度みたい。
音楽が良かった!
リメイクということだけど、前作観てないし、前情報もなしに鑑賞
1900年代初頭に自由な選択が許されなかった女性がひたむきに生きていく物語だった
序盤は感情移入できなかったけど、楽曲が良かったし、出演者の歌声がみんな素晴らしく、いつの間にか物語に引き込まれ、ウルッとさせられた
時代は変わったな。
1985年のカラーパープルでは、ウーピー・ゴールドバーグがセリーを演じ、くっきりと
『醜い女』だったと思う。
シャグに言われて歯を見せて笑うと「美しい」といわれるわけだけど、多少顔の作りに難があっても、元気で明るく笑っていれば美しく見えるというのは映画の中でもその後のウーピーを見ても、実感としてわかるものだった。
しかし21世紀にはいると、顔も『個性』の時代となって、昔なら「ブス」の領域だった人がモデルやスターとなった。
だから今回のセリーって最初からちっとも不細工じゃない。
生命力が溢れた肌、きれいに並んだ白い歯、いつでも背中を伸ばした姿勢のよさ、どちらかというと『美人』の範疇にはいってしまう。
85年の感覚で言うとどちらかというとシャグを演じたタラジ・ヘンソンのほうが『醜い女』だと思うんだけど、2024年においては当然彼女も『美しい人』なのは間違いない。
同じことが美しい妹、ネティを演じたハリー・ベイリーにも言える。
というわけで、醜い女性が人生経験を経て成長するという話の根幹が伝わりくくなったと思う。
85年の作品もハッピーエンド過ぎてリアリティがないというような批判があったけど、今作品は豪華な衣装やセットが入ってしまってためにさらに悪化したような気がする。
自分としては85年の『カラーパープル』が好き。
ゴスペルパワーが圧巻
1900年代頭が時代設定で男尊女卑が酷く見ていて辛い所も多いけど間にミュージカルシーンを挟むことでいい塩梅になってた印象
神の御業を体現した終盤は爽快で感動✨
どんどん輝いていく主演も良かったが、アカデミーノミネートのダニエル・ブルックスは歌も演技もパワフルで圧巻!
歌に尽きる
「スピルバーグの傑作のリメイク」と“ミュージカル”という宣伝のボンヤリとした記憶で、好きなミュージカル作品が少なくない俺は観賞を決めた。
(スピルバーグが自らリメイクしたのかと勝手に思い込んでたが、そうではなかったけど)
【物語】
舞台は1900年代前半から後半にかけてのアメリカ。
セリー(ファンテイジア・バリーノ)とネティー(ハリー・ベイリー)は仲の良い姉妹。 父親の営む店を手伝っていたが、セリーは売られるような形で父親の決めた相手乱暴者“ミスター”(コールマン・ドミンゴ)の後妻として強制的に結婚させられる。夫からは家政婦同然の扱いを受け、こき使われる毎日だった。 ある日父親から逃げて来た妹に対しても、一旦は受け容れるもののいいなりにならないという理由から「2度と近づくな。近づいたら殺す」と引き離されてします。
愛の無い不遇な日々を送るセリーだったが、それでも明るさを失わなかった。あるとき人気歌手シュグ(タラジ・P・ヘンソン)の身の回りの世話をすることになり、二人は次第に絆を深めていく。 やがてシュグはセリーの人生に転機をもたらす。
【感想】
まず、凄く意外だったことは、これまで観て来た戦前戦後の黒人主人公の映画は例外なく“白人による差別”が大きなポイントになっていたが、この作品はそれがない。「白人に差別されない」ということではなく、白人が登場しない。
黒人だけの街、という感じなのだが、この時代アメリカにそういう街も実際にあったのだろか?
白人による差別が無い代わりにあるのは、女性差別である。白人に虐げられる黒人家族という構図だと、黒人家族はいたわり合う気持ちが生まれるのだと思うが、黒人の夫が黒人の妻を奴隷のように扱うのは初めて見た。
こういうのを見ると、つい100年前まで女性は国・種族を問わずに弱い立場に有ったこと、この100年で劇的にその立場が改善されたことを感じる。
話題のドラマ‟不適切にもほどがある”ではないが、昭和を知らない世代ではこの女性の扱いは信じられない世界ではないだろうか。
本作で設定・ストーリー的に強く印象に残ったのは以上の2点だった。
感動したり、涙を流すことは無かった。
ただ、ウリの歌は良かった。
特に主人公よりも人気歌手シュグ役のタラジ・P・ヘンソンの歌が素晴らしかった。
本作は良くも悪くも歌に尽きる。
そう思って観れば楽しめるかと。
悲壮感・力強さ・希望が鮮明に表現されている
各役所のキャラクターがはマッチしている中でも、主役の悲壮感が際立つ。
美しく力強い歌声とキレッキレダンスのミュージカルが
良いアクセントになっていて感動が増す。
最高の映画でした。
■カメラワークによる没入感
ほとんどのカットで適度なカメラワークが使われていて
音、色によるトランジションがカット間をスムーズに移行している。
これらの技法により映画への没入感が増します。
黒人差別と宗教映画
1900年初頭、黒人差別、さらにその中にある男性による性虐待と女性蔑視による残虐行為を描きながら、赦しと改心、女性の自立や友情などをテーマに描いた作品。
根底には“神はいつもあなたのそばにいる”的なメッセージがあり、宗教の教えをベースにしたストーリーだと感じる。
音楽も歌も素晴らしい!ブルースやジャズなどの黒人の音楽とともに奏でられる力強いハーモニーには心が大きく揺さぶられる。
それに冒頭部分の滝で踊るダンスや酒場のダンスシーンも華やかで心が躍るし、ミュージカル映画としては近年観た中でもかなりハイレベル。
壮絶な経験をした主人公の人生には見ているこっちが心が折れそうになるが、最後は涙、涙のハッピーエンド
(鬼畜・ミスターに対してのスカッと度は足りないけれど)。
原作版をVODなどで課金してみるのがおすすめ。
今年67本目(合計1,159本目/今月(2024年2月度)20本目)。
(ひとつ前の作品「ジェントルマン」)
※ 時間の関係から大室家を見てから本作品を見ましたが、アニメ作品は憲法論的な議論があるもの以外は基本的にレビュー外です。
こちらの映画ですが、原作があるのがポイントでしょう。同じ名称なので原作版のほうを「原作」と呼ぶことにします。
ストーリー「それ自体」は原作のほうが明確にわかりやすく、当時の黒人の差別事情や男女同権思想(拡大思想)等がメインにあったことがわかります(2/13時点で確認したところ、「原作」はアマゾンプライムなどで100円セール。2/13時点)。ストーリーを重視するならこちらでしょう。
そのうえで原作のそのストーリーをもとにミュージカル化上映したのがこちらで、ミュージカル化という性質上、「重要なところ等も歌や踊りで済ませてしまう」というところは確かにあります。ただミュージカル映画なのでそうしないと仕方がない(逆に何がミュージカル映画なんだという話になる)ので、ストーリーの理解という点では本作(こちらの映画)では足りず、VODも併せて原作も見るのが強く推奨されているんじゃないかな…といったところです。
VODで予習した範囲では、ストーリーの大まかな流れは同じですが、一部省略されたり追加されたりしている部分があるようです(ミュージカル映画なのでそのままにすると時間が大変なことになる)。
なお、ミュージカル映画といっても、普通の映画のようなパートも当然あります。またミュージカル映画といっても音量など配慮があり、「まともに聞けない」という意見も多かった「ラ・ボエーム」など(寝かせてもくれない超爆音量。まぁ映画館は寝るところではないけれど)ではないので大丈夫です。
原作は現在(2/13時点)なら100円で2日レンタルができるので、そちらを見てから、あるいは本作を見た後に原作を、というのがおすすめかな、といったところです。原作には原作のよさ、本作(ミュージカル化)には本作の良さがあります。
特に採点上気になる点まで見出せなかったので(ミュージカル化することで、原作の情報が落ちるのは仕方がないし、展開がぐちゃぐちゃ違うとかヘンテコに飛ぶとかそんなことになっていない)、フルスコアにしています。
ある黒人女性の人生を描いた大河ミュージカル映画
原作は小説で、スピルバーグが1985年に映画化してるようですが、両方とも未チェックです。
今作はスピルバーグの1985年の映画をミュージカル映画にリメイクとの事で、
ブルース、ジャズ、ゴスペル、など、イカした黒人音楽が使われ、
時には少人数、時にはフラッシュモブの様な大人数が、イカしたダンスを踊りながら歌います。
オールド・アメリカンな感じで、超オシャレです♪
歌の割合、ミュージカル度合いですが、歌が多すぎる事なく、いいバランスじゃないかと思います。
ただ、長さが気になった。
途中ダレました。
あと20~30分ぐらい切った方が、もっと良くなると思う。
最後は、感動したというより、やっと終わった!という気持ちでした(笑)
評価は、甘めの星4つ。
75~80点ぐらい。
一般ウケは、いいでしょう(笑)
オシャレなので、オシャレさんにも(笑)
二つ合わせて満天
前作のもっとディープで暴力的なのと今回の華やかで前向きで二つが重なってもっと深く深く心に来た 若い頃ソフィアの生き方に似ていた気がしてたでもいつか折れるとでも又笑える日が来るとそんな今日までだったけどなんかhappyになれた時間でした再会できたようでありがとうございます
オリジナルをぜひ
スピルバーグ監督のオリジナル カラーパープルが好きです。何なら、スピルバーグ作品で一番かも知れません。
映画を見た後にTower Recordに直行し、クインシージョーンズのサントラを購入。すり切れるほど聞きました(CDだけど。)。米国の黒人音楽に細かい分野があることを知ったのです。最後の方にはコールマン・ホーキンスのボディーアンドソウル(1939年)が流れて、モダン(!)ジャズに繋がっていくわけです。
本作は、ミュージカルがベースのため、ミュージカル風の歌曲が途中に挿入されます。ポーギーとベスの様には行かず、モダンな曲であるため、画面と時代にズレが生じてしまいます。
同様に、皆けっこうきれいな服をきているし、家も大きいしそれなりにきれいなリネンを使っている。飢えてるわけでも無さそうだし、バーで音楽を楽しむ余裕があります。
オリジナルは、汗や家の中の埃っぽい臭いを感じました。本作では、フード理論的には、食事は出てくるのに、ちゃんと食事を摂っているシーンはなく、小道具としての食事でしかありません。匂いがしないのは、バービーランドやドント・ウォーリー・ダーリンのビクトリーの町の様ですは。
カラーパープルで大事なのは、姉妹の絆・シャグとの友情(今回はシュグ?)です。姉妹のシーンとして『おちゃらか』がありますが、最初と最後にちょろっと出てくるだけです。オリジナルではメイン・タイトルのリコーダーによるメロディーとして大事に扱われています。Miss Celie's Bluesは出てきますが、初め高飛車だったシャグとセリー友情を気付く過程が簡単に済まされています。
1985年当時、もちろんインターネットはないので、こういった人種問題+女性問題の作品を初めて見て驚きました。セリーは都会的な独立心を持つセリーにあこがれを抱いていきますが、今回はシュグやソフィアは単に『男勝り』で暴力的なだけに見えてしまいます。
このようにカラーパープルはセリーの人間的な成長を見せることにより、社会も成長する必要があることを表していたと思います。本作は、神様が最後は助けてくれる、それまでは我慢しろ、という解決になっています。原作は読んでいませんし、監督の宗教観も知りませんが、スピルバーグがユダヤ人であることと関係あるかも知れません(ゴスペルも出てくるけどね)。
オリジナルを見たことがないと、本作は映像はシャープだし、歌もダンスもよいので好評価になるかも知れません。『イン・ザ・ハイツ』は良く思ったのに、平凡は評価をつけたのは、スピルバーグ版を見ているからです。オスカーとるための映画と批判されましたが、彼は今でも撮りたい映画と撮るべき映画を順番につくり続けていると思います。
ここまで読んでくれた方、クインシージョーンズのサントラをまず聞くことをお勧めします。
パワフル・ムービー
オリジナル、未鑑賞。
パワフルなミュージカル映画。
迫力のある唄が素晴らしい。
前半は、酷すぎる男尊女卑、女性差別、人種差別に目を覆いたくなるほど。
その分、セリーが自らの道を切り開いてからの後半はすごく嬉しかった。
そしてラストは涙がとまりませんでした。
印象に残る音楽が無くて勿体ない
ミュージカルシーンが沢山あって面白かったが、どれも印象に残る曲とは言えないのが惜しい。
歌声もダンスも素晴らしかったので、1つでも印象的な曲があれば、天使にラブソングみたいに盛り上がったはず。
DV夫がラストで急に改心する展開はちょっと納得がいかなかったので、見終わった時にスッキリ良かった〜という気分にはならなかった。
単なるキリスト教礼賛映画
やはりミュージカルでは、黒人女性の置かれた過酷な立場は描ききれないですね。そのあたりのドロドロはスピルバーグ版にしっかり描かれていたので、比較すると中身が薄いという感じです。
熱心なクリスチャンなら。
マ・レイニーのブラックボトム
スピルバーグ版を当時観て、
良い印象はなかった。
ハラハラドキドキはうまいが、
おとなの気持ちの機微を描くのは、
うまくないなと、
子どもながらに感じていた。
さて本作、
喜びから怒り、
哀しみからの楽しいダンス、
えらい突然に気持ちが変わる。
同時代、似たような境遇だったであろうマ・レイニーの曲もあり、シュグとダブった。
ソフィアかっこええ!
なんでもミュージカルにすればいいってもんじゃない
かの1985年の名作映画がブロードウェイのミュージカルとなり、その映画化が本作ですが、なんとも微妙な仕上がりにがっかりです。人種差別へ真っ向から立ち向かうべきなのに、前半において加虐の白人はまるで登場せず、黒人社会の中だけの普遍的父権主義に収斂です。言い換えれば被虐としての女性哀歌の枠においてミュージカルに仕立てる。当然彼女達が立ち向かうべきは抑圧する白人であるべきなのに、黒人の男どもが加虐となっている。
これほどの仕打ちも、全ては肌の色だけによる理不尽な人種差別、ではなく頭の固い男どもに基づくわけで、その範疇で曲作りがなされている。はけ口は神への帰依により、神の家でのゴスペルに重ねられる。後半やっと登場するホンモノのヒールである市長の妻の非業に、俄かに画面に緊張が走る。目覚めよ、本当の悪魔が現れたのだよ、内輪で揉めてる場合じゃないよ! 人種と性差を天秤にはかけられないけれど、優先順位は明白のはず。
とは言え、ラストの大団円まで、結局内輪の物語にシュリンクです。各エピソードにうねりがなく、団子状態の脚本に問題ありでしょう。主人公に行動のベクトルがまるで見えず、映画としてのダイナミックさが大きく欠損状態。あの「リトル・マーメイド」のハリー・ベイリーが早々に画面から消えてしまう作劇には違和感しかない。この姉妹の悲劇がメインなのに、しかもラストに至って別の役者が演ずるなんてあり得ない。主役であるセリー役のファンテイジア・バリーノはブロードウェイの方だそうで、歌唱には目を見張るものがあり、ソロで謳いあげるパートは「ドリームガールズ」でジェニファー・ハドソンが熱唱した「And I Am Telling You I'm Not Going」に匹敵する山場です。が、如何せん映画としては地味過ぎるのです。
諸問題の根本原因はコールマン・ドミンゴ扮するミスターであるが、本来彼の抱える苦悩の原因は別の所(白人からの差別)にあるはずなのに、単なる性悪に矮小化されてしまう。本家スピルバーグ映画でのダニー・クローバーそっくりに見えてしまうのも妙ですが、本年度アカデミー賞主演男優に「ラスティン ワシントンの「あの日」を作った男」(NetFlixで配信)でノミネートされてる役者なのに勿体ない。何故ネティの手紙を隠さなければならなかったのか、を明確にすべきだったでしょう。
素晴らしい歌唱にダイナミックな振り付けに目を奪われるのは確かです。歓喜や怒りは行動に移しやすくダンスに表現できましょう、しかし絶望の悲しみに朗々たる歌声は有用でも、ダンス・パフォーマンスは必要なのでしょうか? だからミュージカル化の際に差別の次元を無意識に矮小化した可能性も否定できません。スティーブン・スピルバーグ、クインシー・ジョーンズ、オプラ・ウィンフリーそしてウーピー・ゴールドバーグと錚々たる有力者達が本作に関わるのは当然でしょうが、アリス・ウォーカーのピューリッツァー賞を受賞した1982年の原作小説からは随分と歪んだものになってしまったと思われます。スピルバーグ版の映画での衝撃はここには残念ですが、ない。
# ME TOOによるムーブメントの今、再び再構築する必要があったのでしょう。しかしノーテンキ見えた映画「バービー」により性差の驚くべき深堀がなされた今、「メンフィスへ行く!」大決断が精いっぱいと言う状況の限界が歯がゆいのです。制作も監督も脚本も音楽も編集も衣装も、そして役者もみ~んなブラック・ピープルで頑張りました(撮影・美術は白人のよう)と迫っているわけではないげど、言い換えれば逆人種差別とも言えてしまう。
ラストシーンの大樹の下での祝祭は感無量ですが、何故に背景が霧がかかって見通せない、抜けたような緑と青空を表現出来なかった事は痛恨でしょう。ひょっとすると霧が晴れたら周囲をグルリと白人に取り囲まれたりして・・・。
パワフルな黒人女性の活躍
昔から疑問に思っていたんです。
ソフィアのようにパワフルな黒人のおばちゃんは、何故大人しく男性に従っているのだろうと。腕力で戦っても勝てるのでは?そもそも横柄な振る舞いをする男性は逆襲が怖くないのかな?と。
この映画でソフィアが拳で殴ったり、ビール瓶で殴ったりする姿を見て、やっぱりそうなるよなって納得して気持ちがスッキリしました。
ストーリーはやや駆け足で、唐突に理不尽な目にあって悲しみの歌を歌ったり、喜びのダンスを踊ったりするので、感情移入しづらい場面も多かった。
ですが、ダンスや歌のレベルが高く、見ているだけで気持ちが昂ぶりますね。
なかなか楽しめました。
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