「期待したほどのカタルシスはない」カラーパープル moroさんの映画レビュー(感想・評価)
期待したほどのカタルシスはない
本作では3人の女性が、それぞれの戦い方を魅せてくれます。
ソフィアは自身を卑下することなく誇りをもって対峙し、時には戦うことも厭わない強い女性です。
シュグは誰にも振り回されず、翻弄するように魅惑的な女性です。
主人公のセリーは、痛みや苦しみを耐え忍ぶ受け身なようでいて、心の芯は強く、どれだけ長く不遇であっても大事なものを失わず人に優しさを与えられる、まさに不屈の女性です。
物語は主人公セリーの人生を駆け抜けていきます。
もうすこし焦点を絞って、深く描いてもよかったのではないかなと思いました。
主人公が家を出たあたりから、物語の流れがはやすぎて、テンポはよいけれど情緒が損なわれている気がします。
終盤の主人公の独唱は、歌はすばらしいのでしょうが唐突に挿入されたように思え、戸惑っている間にクライマックスを迎えてしまいました。
主人公の人生が凄惨だっただけに期待したものが大きすぎただけなのか、十分なカタルシスを感じられないまま終わってしまいました。
音楽で最も印象に残ったのは序盤のネティ(ハリー・ベイリー)とです。
少女時代のネティとセリーのミュージカルはとてもチャーミングで、その後の彼女たちの苦難を思うと愛おしいです。
ミュージカルはパワフルで見ごたえがありますが、記憶に残るフレーズはありませんでした。
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