「【”知ってはいけない夫の仕事。そして創り出されたパラノイア。”今作は、幸せだったが真実を知り精神的に追い詰められて行く妻を演じたフローレンス・ピューに引き込まれるサスペンスホラーである。】」ドント・ウォーリー・ダーリン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”知ってはいけない夫の仕事。そして創り出されたパラノイア。”今作は、幸せだったが真実を知り精神的に追い詰められて行く妻を演じたフローレンス・ピューに引き込まれるサスペンスホラーである。】
■愛する夫・ジャック(ハリー・スタイルズ)と幸せな日々を過ごしていたアリス(フローレンス・ピュー)はある日、出かけたバスの中で飛行機が墜落するのを見て運転手が制止するのを振り切って坂道を登って行く。
だが、彼女はそこで”不思議なモノを見た後に”いつの間にか自宅で目を覚ます。夫は楽し気にパーティの料理を作っている。
その後、彼女の知り合いの妻マーガレットが、夫が務める会社のトップであるフランク(クリス・パイン)が開いたパーティーの最中”ここにいては、駄目”と叫び逃げ出す姿を見たり、彼女が屋根の上で首を掻き切られたりする姿を見るが、周りは気づかない。
次第に精神が不安定になるアリスだが、徐々に自分達が住む街に疑問を持ち始める。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭の幸せそうなアリスとジャックの姿から、物語はドンドン不穏な雰囲気になって行く。楽しそうに料理をするアリスが”ビクトリー食品”から届けられた卵を割ると、中身がないシーン。何個割っても、黄身も白身も出て来ない。
・”現実”に異を唱えるマーガレットが、精神錯乱のようになっている時に現れる赤いスーツを着た男達。で、マーガレットは消えてしまうのである。
アリスは、”現実”に対し、疑問を持ち始めるのである。
・そんな中、フランクが開いたパーティーで、突然”上級顧問”への昇格を”皆の前で”告げられるジャック。周囲の妻たちからは羨望の目で見られるが、アリスは嬉しさを感じずに、逆に不自然さを覚えるのである。
■そして、徐々に彼女が付き留めて行くフランク夫婦が作り上げようとしている”ビクトリー計画”による”夢の様な世界”
激しく抵抗するアリスは、赤いスーツを着た男達に連れ去られ、手術台に乗せられて、手術を受けるのである。
その際に、彼女が思い出すアリスとジャックの真実の世界。それは、アリスが外科医で過酷な仕事をする日々で、夫のジャックは無職で無精ひげを生やし、パソコンに向かう日々・・。
<今作は、幸せだったが真実を知り精神的に追い詰められて行く妻を演じたフローレンス・ピューと、不可思議な世界に引き込まれるサスペンスホラーなのである。オリヴィア・ワイルドさん、監督としても才能あるなあ。>
■余談
・私は、フローレンス・ピューの主演作は全て鑑賞したと思っていた。
彼女が大ブレイクした「ミッドサマー」。その前に公開されたど根性女性プロレスラーを演じた「ファイティング・ファミリー」。その後「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」。そして、ブレイクしたが故に日本で遅ればせながら2020年に公開された長編初単独主演作「レディ・マクベス」。あとは、スカーレット・ヨハンソンと共演した「ブラック・ウィドウ」。
だが、この映画は存在すら知らなかった。コロナ禍だったから?フライヤーすら持っていない。で、調べたら、これだけ豪華キャストなのに、日本での公開館が僅か300館・・。 何で?私も「ビクトリー計画」に巻き込まれたのかな・・。マダマダダナア、私・・。