「フローレンス・ピューがいつものドヤ顔に加え変顔まで見せて大熱演。然しアメリカ白人(特に男)にとって1950年代後半~1960年代前半っていつまでもアメリカン・ドリームなのね。」ドント・ウォーリー・ダーリン もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
フローレンス・ピューがいつものドヤ顔に加え変顔まで見せて大熱演。然しアメリカ白人(特に男)にとって1950年代後半~1960年代前半っていつまでもアメリカン・ドリームなのね。
①最初の方は『ステップフォードの妻たち』の焼き直しかと思ったし、砂漠の中のニュータウンというロケーション、自家用車がみんなクラシックカー、仕事に出かける夫を送り出す1950年代風ファッションの妻たち、流れる懐メロ(1960年代初めのヒット曲が多かったけど)、等々これだけでここが作られた世界(街)だと分かる。
②おかしいと気付いた主人公が偽ユートピアから逃げ出すか、内から破壊するだけなら今までに幾らも作られてきたユートピアSFと変わりはないが、時折差し込まれるneuroticな映像が2020年代っぽいところか。
フローレンス・ピューが窓を拭いている時に窓と壁に挟まれて変顔晒すところや、キッチンでサランラップで顔をぐるぐる巻きにして、またまた変顔晒すところは面白い。
③ダメ夫達が苦労させている妻達にユートピアをプレゼントするという建前の裏には、実は男性優位主義(マチズモ)があるという隠し味(というか暗に批判?)が如何にも女性脚本家・女性監督らしい。男のプライドを保ちたいという思いの裏返しだね。ジャックが真相をアリスに暴露した時に、“毎朝会社に出掛けるのがイヤだった”とはお子ちゃまかい、と思ってしまったし(これ以上書くと⚪⚪ハラ)と言われそうなので止めときます。
④男達の夢であった偽ユートピアが壊れそうになった時(クリス・パインが情けなくも事態を収拾出来なくなった時)に、それまで貞淑な妻を装っていたジェマ・チェンが“このバカ男。次はあたしの番よ。”と刺し殺したところから察するに次は女達の偽ユートピアを作るのかな。それも#MeToo時代らしくて面白いかも。
⑤オリビア・ワイルド(『The O.C.』は全話観たけどどこに出ていたかしら?)も監督の特権か美味しい役一人占め。
⑥ホラーらしいけれど、ユニークな映画ではあるが少しも怖くない。