「監督の次回作に期待!」ドント・ウォーリー・ダーリン ヤンバルクイナさんの映画レビュー(感想・評価)
監督の次回作に期待!
今までレビューは投稿してなかったが、
サスペンスら初見の感想が大切な気がして自分用のメモに。
■ストーリー
1950年代のハリウッドの様な街並み。
旦那は皆同じ時間に素敵な車に乗って、仕事へ。
妻はモーニングを作り、旦那をキスで送り出した後は掃除をして、ママ友とバレエや買い物に行き、夜はパーティーと、誰もが憧れる優雅な暮らし。
ただ一つ、街の外の砂漠には行ってはならないというルールがあった。
ある日、アリスの隣に住んでいたマーガレットが子供を連れて禁じられた砂漠に行ってしまった事から、マーガレットの様子がおかしくなる。
子供は行方不明になり、マーガレットが精神的におかしくなったと皆が思っていたが、アリスも幻覚を見始め、ここ生活自体に違和感を覚え始めるー。
■考察部分
・タイトルの意味
アリスのセリフかと思っていたが、これは男性側の願望なのでは。
妻をビクトリー計画に巻き込んだ旦那達は、妻の幸せもここの生活にあると信じきっている。この計画に参加した人々は、(フランクが良く言っていた)パラノイアに悩まされ、現実の世界で上手く生きていけなかった。
だからこそ、ここの生活が正解だと信じて「心配ないわ」と言ってもらいたかった。
・アリスが見た飛行機
旦那達が毎日出社していた本部の辺りに飛行機が落ちるのを見る。ただ、バスの運転手は見ておらず、アリスにしか見えていない。これは恐らくアリスの防衛本能が見せた幻覚。無意識に本部への意識が働いたのでは。
その後、アリスは本部に触れることで意識を失う。深い催眠状態の為、目は覚まさないが、この後から幻覚や悪夢など違和感が激しくなる。
・旦那達の仕事
毎日本部に出社し、極秘で内容が一切明かされない仕事。
それは妻(現実)のお世話。ほとんどの妻達は計画に巻き込まれた為、寝たきりの状態。ジャックも現実でアリスに水を与えていたが、あれが仕事なのだろう。怖。
・バニーについて
彼女はこの生活が偽りである事が分かりつつ、生活していた。子供も失わない、というセリフが指すとおり恐らく現実世界で子供を無くした為、子供と一緒にいられるこの生活をしている。
途中までバニーが嫌な女だと思っていたが、理由を想像すると胸が苦しい、、
対象にマーガレットは恐らく子供はいなかった為、砂漠に行き行方不明になったが、子供がいなくなった事に対してはパニックを起こしていない。
・地震について
これもアリスの現実世界で起きているのか、と思ったがバニー達と買物中も起きてたので、システム障害・バグ的なものかと。
空っぽの卵も同じバグ的なものかと思ったが、ここはよく分からなかった。。
・フランクの妻
フランクがアリスを止められず、ドクターも死んだことにより妻に殺される。
てっきり黒幕は妻かと思ったが、その後特に何も展開がなかったので、恐らくバニーと同じく現実ではない事が分かりつつ暮らしていたが、フランクの無能に絶望したのかと。ビクトリー計画の中ではフランクは有能で皆から憧れる存在。それが崩れ落ちた瞬間だった。
・アリスのラスト
この生活が偽りと分かった上で、本部に触り目を覚ました。
ただ、ベッドに縛り付けられて隣には旦那の死体。(この中で死ぬと現実でも死ぬと言っていた為)どの位寝たきりか分からないので、体も動くのか、、
ビクトリー計画の中に戻りたくなる現実が待っていると思うと助かったのに絶望のラスト。。
説明不足な点はあるが、それでも自分もあの世界に引き込まれて楽しめた作品だった!
50年代の女性達の服や髪型は可愛い!現実の世界では、現代っぽい世界だったので、男性の理想はあの年代だったのだろうか。
目を無理やり開けて視覚を支配して、女性たちが踊る映画のループは『時計じかけのオレンジ』を思い出させる。あれで催眠的にビクトリー計画に入っていくが、現実とのギャップも引きずるものがあるし、何かエンドロールで希望の一つでも見せて欲しかった。
監督の前作『ブックスマート』から一変したユートピア・サスペンスだったが、こういう作品の方が向いてると思ったので、次回作にも期待!
フレーレンス・ピューの戸惑い、困惑に陥る表情は、
本作でもとても魅力的だった。
まとめると、フローレンス・ピューが『時計じかけのオレンジ』状態だったが『ミッドサマー』から抜け出したような作品だった。