ふたつの部屋、ふたりの暮らしのレビュー・感想・評価
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Cinematic Lesbian Answer to The Father
The story of a late widow who begins an illicit affair with her neighbor, only to find herself in a nearly vegetative state, sheltered by family. Follows a trend in some of the finer high-art films themed on homosexuality that feature a looming ominousness. An anxiety felt in the real world, but hard to define with words. Unanswerable and better illustrated with the sights and sounds of film.
表向きはお向かいのアパートに住む仲のいいご近所さんだが、ニナとマド...
表向きはお向かいのアパートに住む仲のいいご近所さんだが、ニナとマドレーヌはふたりの出会いの地、ローマに移住すべくアパートを売却する算段中。
しかし、結婚歴があるマドレーヌは子供達にニナのこと、ローマへの移住のことを話せずにいた。
そんな時、マドレーヌが脳卒中で倒れてしまう。
マドレーヌは退院してきたものの、話すこともできず、24時間介護が必要な状態。
ニナはマドレーヌに近づくことが出来ない。
自分が介護したいというニナの気持ちは分かるが
そこからの彼女の行動はかなり激しく過激。
なりふり構わずマドレーヌを取り戻そうとするニナの激しさに胸打たれる。
マドレーヌが倒れたことで、彼女の中の迷いや躊躇いも
なくなり、ニナの気持ちもより純化する。
ふたりに残された時間はそう長くはない。
そのふたりの時間のかけがえのなさにマドレーヌの娘アンヌも気づいている。
映像が好き
冒頭の映像がめちゃくちゃ好み。それ以降もずっと映像の撮り方が良い。
長編監督デビュー作でこういう良い作品作れるの凄い。今後も評価されてフィリッポ・メネゲッティ監督の名前をよく見るようになると思う。
意識が逸れてしまうほどのニナの圧力
これからの彼女らに幸せのゴールがあるのだろうか?と考えてしまいます。同性婚、異性婚関係なく高齢者の恋愛にはつきまとう課題なんだとうなぁ。でも、フランスって同性愛には寛容なイメージありますが、自分自身ではなく家族の誰かが・・・って場合は事情が違うのかなぁ?
さて、本作は演者さんたちの演技は素晴らしくニナとマドレーヌの二人の場面は素晴らしく絆がしっかり見えてくるほどです。ですが、なぜそうしちゃったのかなぁ?ってのが理解できないのが、ニナのかなりイっちゃってるマドレーヌへのアプローチや介護人スポイル作戦です。エキセントリックすぎやしませんかね?その手段選ぶかなぁ?もっと頭のいいやり方あるんじゃないかなぁ?愛情表現に見えないし、そうかニナはヤバい人なんだ!って印象しか残らないんですよね。
こんなことまでやるほど愛情が深いという気持ちにはならなかったし、行動に移る根拠が伝わってこないんですよね。どうにもこの一連のエキセントリック・ニナの行動に引っ張られてしまい愛情云々では無く自己中万歳ストーリーに見えてしまったんですよね。ですから素敵に映るラストもあまり気持ちが盛り上がらなかったんです、僕。
ハラハラするからやめて
事実婚でもあり得る事だろうが、法的にどこまで考慮されるものなのか、国によっても違いがあるだろう。フランスはわりと進んでそうなイメージだったけど、他人扱いなのは、一緒には住んでいない仲の良い隣人という設定だからなのか。
日本でも別姓が議論され、事実婚も増えているから、ある程度は関係性を明確にしておくべきなのだろうか。
予告編でざっくり内容は分かっていたので、いつバレるのかハラハラ。しかしそれ以上に、誰かが居ると分かっている所に忍びこんでいくニナにハラハラ。
映画のご都合主義ではあるが、ちょっと手を握りしめてしまう。
技術さんが良い仕事をしている。
目のドアップで緊迫感を出したり、洗濯機や食器など大きめの音で、何か起こりそうな予感をさせる。
引っ越す気満々でガランと片付いたニナと、踏ん切りつかずに生活感あるマドの部屋。赤みがかった暖色系の照明と暗めの灯り、独り身と孫ありの対比が良い。
キスシーンなどは影のように直接は見せず、その直後カーテン開けての逆光など、光の使い方が見事だなと思った。
最後も結末はこう!と見せるのではなく、その後はご自分でとフワッと終わるフランス映画ならではのエンディング。
あのラストは美しい。
面白そうな映画だなと思っていたが、それを越えてきた。
文楽の道行きでしょ。これって。
およそ1時間40分の映画だったけど、とても長く感じた。それは、退屈だとか難解だったとか、ネガティブな意味では全然なくて、観ごたえがすごくあったので、(ひとコマひとコマ、と言ったらさすがに大袈裟だけど…)堪能の連続で、心地よく長く感じた次第。
すごく『上手い』映画だった。
詳しい映画の技法は知らないけれど、ロングショットやアップショットやクローズアップショット、眼だけを映したショットなど画面サイズの妙。カメラアングルや鍵穴アングル、音の使い方、カットの妙。カットを割るタイミング。そして『間』のとり方……等などが雄弁で、効果的でストーリーを補填し、いや、ストーリーそのものみたいだった。
観ながらも観おわってからも、考える。
あの直後に、二人の関係をマドレーヌの家族・娘と息子にきちんとカミングアウトして、心の底から説明して、わかってもらうようにしていたら……、もしかしたらニナはマドレーヌをお世話できたのかなあ。
でも、きっと無理か…
登場する一人ひとり理解できる。感情移入できる。
お互いに本当に大好きなんだなあ、ということだけが残った。
文楽の道行きみたいだった。
そのうちはナイ!
マドレーヌは、ウソの人生を送ってきた。
「そのうち」は、ない。と気がついた時のパワーは凄かった。だからこそ、残りの人生を正直に生きたい。家族を捨ても、自分の人生を選びたい。そんな強さを感じた。
穏やかな恋愛ストーリー、ではなかった
マンション最上階の2部屋に住み単なるお隣さんと見せといて実は愛を育んでいた年配女性2人(良いアイデアやん!)という設定から、勝手に静かで穏やかな話かと思っていたら、違った。
マンションを売却したお金で出会った地ローマに2人で移住しようと計画していたが、同性愛でよくある、片方が親族に言い出せない、という問題発生。「あなたはいつもそうよ!」とケンカになり(想像つくなあ)、その後、怒られたマドが脳卒中で倒れて体が不自由になってしまい、怒った側のニナは大変な後悔と心配。そこから、マドの娘と息子、介護士も絡んで、ニナは窮地に立たされる。
確かに、これが普通の夫婦であれば、介護士にも病院にも子供にも意見できるし、その意見も尊重されるだろう。しかし仮に異性であっても公的に認められていない者同士は、途端に困難な局面に陥る。
ニナの激しい性格が、捕まっても仕方ない行動を起こし、どうなるかと思ったが、最後の歌詞は良かった。涙が1滴くらい出た。
冒頭のかくれんぼは…、結局…?
趣旨がわかりにくい点はあるけど、フランス映画好きならぜひ。
今年108本目(合計382本目/今月(2022年4月度)18本目)。
今日(4月19日)はテアトル梅田さんの32年目記念ということでした。ということで、フランス映画といえばテアトル梅田さんということでこちら。
他の方も書かれている通り、「高齢者」「女性同士の愛」といったことがテーマになります。このことはあまり予告編などからは読み取れず「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」というタイトルだけだと、ルームシェアか何かをテーマにした(若者や男性なども出る)映画かなと思いきや、そんなことはなし。若者も男性も大半出ませんし…(男性にいたっては、不動産の売買がどうだのという話(日本でいう宅建に相当する)で出るくらいで、男性は出ても3人くらい?)。
趣旨の解釈も難しいかなというところですが、もともとフランス映画ってそういう余韻を残すところはありますし、「高齢者(女性、要は、老婆)どうしの恋愛」といっても、変なシーンはありません。日本以上に色々な思想が行き通っているフランスならではのお話ということになるのでしょう。
一方、セリフは本当に少なめで、上記通り高齢者という事情もあるので、セリフの一部が怪しく(怪しいというより、本当に少ない。映画の中では病気を患っているという設定で、介護士か看護師の方が来るという設定)、セリフは「案外」少なめです。ただ、これをホラーやアクションとして見るというのは無理がありすぎるので、まぁどう見ても「日本以上に思想良心の自由が開放的なフランスでの一つのありかた」を描写する映画なのでは…と思います。
採点にあたっては、特に差し引く要素はないので、満点にしています。
意外に難解な作品
よく知らない女性から、老女同士のレズビアンになにか問題ある?と啖呵を切られたら、多分ちょっと困る。勿論なんの問題もありませんと答える以外にない。犯罪や迷惑行為でなければ、他人のすることにとやかく言わないのがフランスだ。自由な精神が充満しているパリに比べれば、モンペリエのような田舎は少し違うのかもしれないが、それでも家父長制的な、封建的な考え方はまったくない。ホモだろうがレズビアンだろうが、その人の自由である。責める人はいない。ということは、問題は啖呵を切った側にありそうだ。
赤の他人の不動産屋に啖呵を切ったニナは、老女同士のレズビアンを隠そうとした。そこから問題が派生し、悲劇も起こる。すべての原因はニナの不自由な精神性にあるのだ。堂々と事実を説明していれば、何の問題も起きなかっただろうが、それでは映画にならない。本作品はニナの性格を原因とする悲劇だ。シェイクスピアの悲劇と同じ構図である。
幼い頃のかくれんぼが何を意味しているのかは不明だ。池に落ちて沈んだ少女がマドレーヌだったのか、それとも別の少女をマドレーヌが発見したのか、よくわからない。ニナの記憶にもあるということは、池に落ちたマドレーヌをニナが助け出したのかもしれない。そしてその出来事が二人の絆になっているという図式なのだろうか。あるいは、ドアの内側に隠れて覗き穴を覗くニナの精神性をかくれんぼにたとえたのだろうか。
イタリア人の監督だからなのか、象徴的な歌はタイトルは失念したが「La terra la terra la terra」の歌詞で聞き覚えのある歌で、歌詞からしてイタリアの歌謡曲だと思う。老女同士のダンスにこの歌を使うのはセンスがいい。歌詞に出てくる terra(地球)と luna(月)をニナとマドレーヌに見立ててこの歌を選んだのかもしれない。
終始、問題行動を起こすニナに対して、マドレーヌは静かである。脳卒中を発症した後はひと言も発しない。ただ手の動きと目線だけでマドレーヌを演じる。レズビアンを隠そうとするニナに苛立って物を落としたり、意味ありげな視線を送ったりする。大した演技力である。
ニナが老女であるところもポイントだ。ニナが育った時代はレズビアンに対して寛容ではなかった。その精神性が尾を引いていて、時代が変わってもレズビアンを隠そうとする。三つ子の魂百まで。自由な精神性を獲得するのは難しいものだ。そういうところにもかくれんぼのメタファーがあったのかもしれない。意外に難解な作品だ。
こんな映画が成り立つフランスって凄い それぞれの人にそれぞれの立場...
こんな映画が成り立つフランスって凄い
それぞれの人にそれぞれの立場や思いがあるけど
誰しもに幸せであって欲しい
ホラー映画かと思った
冒頭のカラスの鳴き声から始まり、終始不安を掻き立てる音が耳障りだった。
そしてストーリー、これを作った方たちは年老いた女性たちの純愛を描きたかったのだろうか?
見終わっても欲に支配された偏執的な性格の人間が巻き起こす、もはや犯罪としか呼べない行為に、ホラー映画だったのかとしか思えなかった。
それと、水に沈んだ少女については結局何を意味していたのか?
不快さとか不気味さだけを抱えて劇場をあとにしたのは久々だった。
Chariot
南仏の街モンペリエからアパートを売ってローマへ移住しようと計画する年配の女性カップルの話。
同じアパート同じフロアのお向かいさんでありつつ片や独身のニナと、片や旦那を亡くして既に独立した子供たち有りなマドの熟年カップル。
移住話もパートナーのことも子供たちに告げられない中ことが起こるストーリー。
何でしょうかね…云いたいことはわかるし、ちゃんと伝わっては来るけれど、ニナは上手いこと関係を隠してでも話をすればとか思うし、1歩間違えたら、いや既に変質者。
そして誰もコミュニケーションをとろうとしない登場人物とか…筆談って知ってます?
更にはポンコツヘルパーとかもなんだかね。
本題のところよりも男は皆トロくて女は皆陰湿でみたいな印象を強く感じてしまった。
池の件は良くわからなかった。
老いと性と生
凄い着眼点だと思う。レズに老い、取り巻く環境の変化の中で愛が彷徨う。実にフランス映画っぽいが、アイデア勝負で行ったところはあるよね。
フランスでは同性婚と言って良いようなパートナーシップがあるらしい。一段と寛容であり、特に驚くこともなさそう。だが、今作は一度異性と結婚している所から始まる。誰にもレズだと言えていない。そのまま秘密でいいから、愛をただ二人確かめていれば良かった訳だが、脳卒中で倒れたことを機に変わる。それは、愛の形も変化するということで…。
凄く端的に言えば、アイデア勝負な所はあるかなと。老いは共通のテーマであり、介護する人に狂い吾を見失う。いい塩梅でピントが変わり、個々の色が浮き彫りになるのだが、少し無理のある場面も。だが、「そうなるよな…」の過程に痛みが混じっているで、否定も出来ない。愛だからだ。
少しスコアは低くなったのは、どうしても動機が単純であっさり見えるから。だが、考えようが幾重にある点は凄く面白い。主題を思えば思うほど、深みに驚くばかりだ。
p.s監督、男の人なんかい!渋い…。
ふたりの老後
2022年3月30日
映画 #ふたつの部屋ふたりの暮らし (2019年)鑑賞
LGBTQの方の悩みって周囲の偏見とか職場の無理解とか言われますが、1番辛いのは家族に理解して貰えなかった時
高齢の二人にとって人生の終わりをどう迎えたいか考えさせられます
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
高齢女性どうしの恋愛ドラマ
オンライン試写会にて鑑賞。
予告編から映画の輪郭はなんとなく分かっていたものの、実際に本編を観てみると、予想外の展開にビックリさせられる映画であった。
本作の監督は、イタリア出身だが現在はフランスで主たる活動をしている映画作家フィリッポ・メネゲッティという新鋭監督である。本作が長編デビュー作であり、セザール賞で新人監督賞を受賞。
映画の中でのセリフにあるが「年寄りのレズビアン」のドラマ。
近年、LGBTQ映画は氾濫している感があるが、高齢女性同志が愛し合うドラマは珍しいのではないだろうか…。
アパルトマンの同じ階で、向かいの部屋に住んでいる70代の女性2人は、実は長年秘かに愛し合ってきた恋人だった。
二人で相談して、ローマに行って一緒に住もうとしていたのだが、女性の1人には子供や孫がいて、ローマ行きの話をなかなか切り出せない。このあたりは、LGBTQの理解が進んでいそうなフランスでさえ、年寄り女性が家族に告白するのはハードルが高い様子。
そんな折、ある出来事が起きて、二人の仲は裂かれそうになるのだが……といった展開だが、絶えず「緊迫感が維持」されている作品なので、映像に眼が釘付けとなる映画であった。
自分は長年、旧態依然とした恋愛しかしてこなかったのでLGBTQの世界は理解不能であるが、なかなか現実的には難しい問題を色々と抱えることとなる恋愛世界らしきことが窺える。
<映倫No.49152>
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