「それを武器にしなさい。」帰らない日曜日 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
それを武器にしなさい。
第一次世界大戦で65万人もの戦死者をだしたイギリス(wikiによると88万人以上なのだが)。
そのイギリスの片田舎、ランチを共にするほど仲の良い名家の3家族がでてくる。次第に知れる3家族の抱える不幸は、戦争とは切り離せなかった。時は、メイドたちが里帰りを許された「母の日」。日本ででは年に二度、「藪入り」があったのと同じで、それはメイドたちの楽しみだったのだろうな。その日曜日に起きた出来事が物語の発端。
名家に生まれたポールは、たくさんの物を手にしているようにみえて、実は決まった未来が待っているだけだった。それは、ポールにとっては、窮屈なものだった。
生まれた時に何も手にしていないジェーンには、見方を変えればすべての可能性があった。何者にでもなれる未来があった。だからこその、「それを武器にしなさい」なのだ(このセリフに重みをもたせるために、オリビア・コールマンを起用したのだろう)。ジェーンは、いくつもの幸せを失っていきながらも、それをも生き方の糧にした。それはもともと何も持っていないということを自分の強味(武器)にして生きてきたからだ。彼女は自らの人生を赤裸々に私小説として発表して成功した、のだろう。映像も、そこまでしなくても伝わるのにR指定が入るほどに赤裸々なシーンがある。子供にはわからない物語だから、とわざと一線を引いているのだろうか。
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