「邦題も伏線?」帰らない日曜日 ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題も伏線?
主人公がメイドとして仕えるニヴン家、主人公の身分違いの恋愛相手のシェリンガム家、その彼の婚約者のボブデイ家の3家族は屋敷同士はかなり離れているが昔から家族ぐるみの付き合いで今年の母の日も川辺でピクニック。それはシェリンガム家の息子とボブデイ家の娘の婚約披露の場でもあった。ニヴン家の夫は場の盛り上げ役なのに対して妻の不機嫌なこと。
シェリンガム家の息子は孤児の主人公にお金や本をあげると言うが断られ「3人分の相続があるんだから使わせてよ」と言う。彼は三男坊で上の2人は戦死しており
彼の婚約者はニヴン家の亡き息子の元恋人だった。
身分違いの恋か。しかも愛し合っていない者同士が結婚して、下の身分の彼女の方に気持ちが残ったままの暗い結婚生活、とは嫌な感じやな。
と思ったら。
ピクニックに途中参加する彼を見送った後全裸で屋敷内を探検し玄関の蘭を1輪摘んで、電話のベルをきっかけにニヴン家に戻った主人公を待ち受ける悲報。しまった胸元から出てきた蘭に、胸が詰まる。屋敷の探検中に背後にポールがいる気がして振り向いたのは、虫の知らせだったのか。
その後書店の店員の仕事を見つけてニヴン家を去り、客からもらったタイプライターで作家を志す。文学好きの恋人と婚約し幸せな時を送っていたが彼が脳の病に。思い出を残してまたもや愛する人が去ってしまう。
更に時が過ぎ、いくつも文学賞を取る作家になった。自宅に詰め掛ける報道陣に辛口で答える主人公。向こうにメイド時代の自分が見える。
原作があるだけあって、ストーリーは若者のロマンスだけでなく何層にも重なっている。冒頭の「昔々、若い男性が戦死する時代」とはそういうことだったのだ。