「【”身分違いの儚い恋・・”1924年の英国を舞台にした、優雅な衣装、重厚な意匠、エロティシズム溢れる数々のシーンに魅入られる哀しくも切ない作品。映倫の英断に驚いた作品でもある。】」帰らない日曜日 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”身分違いの儚い恋・・”1924年の英国を舞台にした、優雅な衣装、重厚な意匠、エロティシズム溢れる数々のシーンに魅入られる哀しくも切ない作品。映倫の英断に驚いた作品でもある。】
ー 1924年の英国が舞台が。「母の日」母の日に当たる日曜日、名家ニブン家でメイドとして働くジェーン(オデッサ・ヤング)は孤児故に帰る家がない。
そんな彼女の姿を以前から見ていた同じくシュリンガム家の、三兄弟の中で只一人、第一次世界大戦で戦死しなかったポール(ジョシュ・オコナー)は、密かに彼女を逢瀬の誘いに誘う・・。
その頃、ニブン家、シュリンガム家、そしてポールの婚約者エマのホブディ家は、恒例のガーデン・パーティを行っていた。-
◆感想
・英国歴史映画らしい、優雅な衣装、重厚な意匠が、見事である。
だが、恒例のガーデン・パーティ葉何処か、重い雰囲気に包まれている。
ポールがなかなか来ない事に苛立つエマ。
それを取りなすように振舞うニブン家のゴドフリー。(コリン・ファース:個人的に、英国俳優としてはトップ3に入る位好きである。そして、この俳優さんが出演しているだけで、”ウーム、英国映画・・、と感じてしまう程の、品性の良さが漂う英国が誇る、稀有な名優である。)
だが、夫人は浮かない顔である。夫人を演じたオリヴィア・コールマンの憂愁の表情から事情が徐々に分かって来る。
- ニブン家の二人の息子は戦死していたのだ。シュリンガム家の兄弟も又・・。且つて、彼らが幼かった時には、各家の子供たちはガーデン・パーティ時には、池に入って遊び興じていたのだろう・・。と言うことが、名優オリヴィア・コールマンの笑顔一つ見せない表情からも伺える。-
・一方、ポールとジェーンは誰もいない広大なシュリンガム家で、愛を交わす。白いシーツに残された情交の後。ポールは寂しそうな笑顔を浮かべて言う。”種を残さないようにね・・。”
そして、彼はガーデン・パーティに出席するために、服を着始める。
- この一連のシーンで、暈しは私が視た限り、入っていなかったと思う。
ポールの男性器はそのまま映されていた。「ROMA/ローマ」の様に。
可なり昔、大島渚監督が撮った「愛のコリーダ」など、揉めていたよなあ・・。
芸術か、猥褻か・・。
断言するが、私は、このシーンで猥褻感は全く感じなかった。映倫の英断を指示したい。
只一つ言うとすれば、ポールを演じたジョシュ・オコナーのモノが、ナカナカ立派であった事であろうか・・。(ホント、すいません・・。男って、”比べたがる”おバカな生き物なんです・・。) -
・ポールが去った後、広大な屋敷の中をジェーンは全裸で歩き回る。立派な書棚に並べられた本の背表紙を指先で触れていくシーンや、ケーキを食べるシーンなどは印象的である。
- 最早、自分とは違う世界になるだろう名家の肌触りを確認し、訣別する事を決めているように私には見えた。-
・そして、ニブン家に戻ったジェーンに、慌てた様子のゴドフリーが言った言葉。
”ポールが車で事故に遭ったらしい・・。”
ジェーンは、一度ニブン家の台所に戻り、泣き崩れる・・。
- これは、私の勝手な推測であるが、ポールはもしかしたら只一人生き残ってしまったことに対し、そして身分違いの恋を成就させることが出来ずに幼馴染のエマと結婚する事に抵抗感を持ってわざと事故を起こしたのではないか、と思った。
何故ならば、彼がジェーンと情を交わした後に、数回口にした”種を残さないようにね・・。”と言う言葉が気になっていたからである。
■少し、残念だった点。
・途中、作家として独り立ちしつつある、この事件から24年後のジェーンが恋人と暮らすシーンが差し込まれたり、老年期に賞を取った彼女(グレンダ・ジャクソン)が取材を受けるシーンが映し出されるが、作品の全体構成が少し勿体ないなあ、と思ってしまった。
<自由恋愛が認められなかった時代に、身分違いの恋を経験したジェーンが“Once Upon a time・・”と言う冒頭のシーンから始まる、一人の身寄りのない女性が且つて経験した悲恋及びその後名だたる作家になる過程(上記の様に、ここは少し残念。)を、見事に可視化したエロティシズム溢れる作品。
イギリスの天気の様に・・”晴のち曇り、そして急な雷雨・・”と言うストーリー展開も見応えある、哀しき作品でもある。>
お邪魔します。
「日の名残り」や「ハワーズエンド」「つぐない」や
「モーリス」などの英国映画が大好きな私はとても好きな映画でした。
ただ、ラスト観終わって感動に包まれることはありませんでした。
NOBUさまがご指摘されていらっしゃることに、同じ気持ちです。
ちょっと余計でしたね。
お詫び
せっかく頂いたコメントなんですが丸ごと削除されました。10日かけたんですが・・・
心が・・・
帰らない日曜日はもうレビューしないかと・・・
ごめんなさい。
NOBUさんさんコメントありがとうございます。
「女王陛下のお気に入り」は見逃してしまったのです。今度レンタルします。
コリン・ファースは私も大好きです。真珠の耳飾りの少女が特に好きです。ヨハンソンがブラックウィドーになるとは・・・
しかし圧倒されます。なんでも観てますね。中身も濃い。
こんばんは♫ご無沙汰しております。
私もポールの自動車事故はそう思いましたよ。それだけ真面目な男性だということですかね、ズルい性格ならエマと結婚した後も隠れて続けるでしょうし。
なんと言っても、コロナ真っ只中にこの映画を完成させた監督もあっぱれですね👏👏
NOBUさん、コメントありがとうございます。吉田健一は大学生の時に出会ってずっと好きです。この間まで「生誕110周年 吉田健一展示」が吉田健一文庫を持ってる神奈川近大文学館で開催されていました。近くの薔薇園も美しく行った甲斐がありました。ちなみに展示会の副題は「文學の樂み」。らしいでしょう?
爆笑部分はお察しください🤣
〉これは、私の勝手な推測であるが、ポールはもしかしたら只一人生き残ってしまったことに対し、そして身分違いの恋を成就させることが出来ずに幼馴染のエマと結婚する事に抵抗感を持ってわざと事故を起こしたのではないか、と思った。
なるほど!わたしはそこまで想像できなかったのですが、そうかも…🤭