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「義を見てせざるは勇無きなり」ニールジャー よしさんの映画レビュー(感想・評価)
義を見てせざるは勇無きなり
ハイジャック事件に遭遇したスチュワードの奮闘を描く物語。
実話を基にしたお話のようです。
映画comの解説には「英雄」との文字がありましたが、彼女はそんな大層な人物ではありません。
でも、誰よりも『尊敬』出来る人物です。
テロリストの銃に怯え成すすべない主人公。それでも、乗客を守るために彼女は恐怖を堪え必死に動きます。
「水を配る」「トイレに行かせる」「パスポートを隠す」・・・そんな他愛のないこと。でも、銃を突きつけられている状態で、それが出来る人間がこの世界にどれだけいるでしょうか?
映画の展開も良いですね。テロの恐怖をしっかりと描写。そして要所で主人公の過去のトラウマを挟み込みます。それは、彼女が決して英雄ではなく、私達と同じように普通の弱い人間であることを映し出します。そしてそのトラウマがあるからこそ、絞り出せた勇気であることを描きます。
残念なのは、エンディングが諄かったこと。邦画には有り勝ちなパターンですが、インド製作のこの映画でも見られ、正直蛇足に感じます。
また、史実なので仕方がないですが、カタルシスを得られない結末は心にしこりを残します。特に、テロ鎮圧部隊の行動には「イライラ」を感じてしまいますが、86年のパキスタン警察ですから仕方がないのでしょうか?
無惨な映画ですから2度3度見直したいとは思いませんが、極めて高く評価出来る作品です。
私的評価は4.5にしました。
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