PLAN 75のレビュー・感想・評価
全286件中、101~120件目を表示
とても良い心に残る映画でした。重いテーマですが、登場人物が誰もPL...
とても良い心に残る映画でした。重いテーマですが、登場人物が誰もPLAN75について自分の思いを語らず、主張もしません。セリフで語っていたら響かなかったでしょう。
観終わってやりきれない気持ちになるかと思ったら、なりませんでした。世代にかかわらず、みな懸命に考えながら生きていて、みな思いやりの気持ちをもっている、そう感じられる映画でした。
人生○○年時代とは何なのか
ずっとこのことが頭の中に居座っていた。
今は「人生100年時代」と言われて、平均寿命が世界でトップクラスであることを謳いながら、同時に少子高齢化がものすごいスピードで進行していながら何の対策も打てていない現状に問題点を提示するような作品だった。
全体的に説明が最低限で少なく抑えてあるところは良かった。あれはどうなるのだろうか、どうなったのか、観る側に預けられているのがいい。
磯村勇斗と叔父(伯父)さんとの関係は、自分と甥っ子(今5歳、4歳)たちとの関係性を考えずにはいられず、話が進むにつれて他人事ではないと感じながら観ていた。あと30年くらい経てば同じ問題に直面する未来が待っているのだろうか。
河合優実と倍賞千恵子、特に河合優実のパートがもう少し欲しかった印象はある。普段は禁じられている対象者の倍賞千恵子に出会って彼女は変わるのか変わらないのかという描き方のバリエーションも出てくるし、磯村勇斗とは違う向き合い方も見せられるのではないかなと思いながら観ていた。
倍賞千恵子の同僚で孫のベビーシッターをやることに愚痴をこぼしていた人が印象に残る。PLAN75の体験会で豪華なホテルのような場所に行った体験を話し自分も最後はこういうところで迎えたいと言いながら、倍賞千恵子がベビーシッターをさせてもらえないか頼むとやんわり(電話の声は聞こえないのでやんわりではないかもしれないが)断っていたように、PLAN75を自分事として直面していない高齢者もいるんだなと考えると、経済的、あとは地縁や血縁など様々な縁に支えられているかどうかが大きいのかなとも感じるが本当にそれだけだろうか。
家族や共同体の形を規定しすぎてやしないか、それによって人の繋がり方の多様性が阻害されていやしないか、とも考えてしまう。
年齢を重ねることがこれほど恐ろしく感じさせることもないか、そんなに恐ろしく思わないといけないのかなとも同時に思いながら、ギリギリのところでそれでも生きることを選んだ倍賞千恵子の姿に何を見るか。
磯村勇斗がたどり着いた火葬の真実は現実にありそう。映画「ソイレント・グリーン」みたいだけど。
倍賞千恵子と河合優実がボウリングしてストライク取った後、隣のレーンの若者とハイタッチしてるのを見てこういうところに微かでも希望の光を観たい気がした。
そう遠くない未来かも
私は、息をしていることではなく、自分らしく在ることを大切にしたいです。
どのようなタイミングで、どんな環境のもとに生まれて来るかは選ぶことができませんが、どう生きるのかは、人は自覚的・無自覚的にでも選んでいます。
この作品は、死ぬタイミングや死に方を、自分に決める権利があったら…という想定の映画です。
日本人が苦手な、死について考えることが、テーマです。
私は、以前、富裕層のレジデンスでフロント業務をしていたことがあります。
150名ほどの70歳以上の自立したシニアの方々が、快適に生活できるようにサポートすることが仕事でした。
お金があっても、家族がいても、スタッフのサポートを受けることができる環境にいても、老いは、待ったなしです。
90代になれば、1日をつつがなく過ごすことが一大事業になります。
ここで働いて、私は、持病や常用する薬がないうちに、まとまった時間をとって国内外の行きたい場所に行こうと決めました(今はコロナとロシアの動向を静観中ですが)。
老後が不安だからと70代まで働き続けていたら、やりたいことをする気力体力がなくなっていた…なんて悲惨です。
そして、私は、今まで祖父母、両親、おじおばたちを見送ってきて、日本で老後を過ごすのはイヤだなと思っています。
インドか東南アジアの田舎で、ひとりで暮らして、生活を回していけなくなったらゆっくりと死に向かっていきたいです。
この考えを言うと、ママ友からは、「子どもに迷惑だよ」といさめられますが、最期くらい、多少迷惑かけてもいいかなと私は思っています。
というか、それを「わがままなおかんらしいな、しょうがないな、最後の親孝行だ」ととらえる子どもであって欲しいです(確信犯です)。
息をしていることが生きることではないと、私は思います。
最期の瞬間まで、自分らしく生きていたいです。
そのための努力を、今もしています。
諦めて、プラン75を選択したら、そこが自分にとっての死である気がします。
20年後、70代の私が、この文章を読んだらどう思うのか、それも楽しみです(*^-^*)
夢のような現実のような
こんなバージョンのディストピアがあるかもしれない近未来なのか現代なのかが舞台なドラマ。
常に登場人物である老人の息遣いが聞こえ、リアルなイメージと過度にコントラストが効いたどこか非現実的な映像が交錯する。一番リアルだったのは、作中のPLAN75プロモーション映像。映画監督がきちんと作っているので秀作なのがまたきつい。
実際のところは75になっても定年退職できない世の中になるんじゃないかという気はする。
テーマが恐らく人命の物化もしくは貨幣に置き換えられる事を強制的に行...
問題点を履き違えたり‼️❓すり替えたりすると‼️❓危険だよ‼️❓
倍賞千恵子という説得力
良かった。
フォーカスの取り方や明暗がすごく好みでした。それがはっきり見て取れる導入は予想外の展開だった事もあり、一気に引き込まれました。正しく狙い通りなのでしょうね。お見事でした(何様)。
現在50歳で独居人である自分には他人事では無かったし、たとえ若かったとしても二人の若者の視点から色々と感じる事があるのだろう。悲壮感に振り切るわけでも、感涙ヒューマンものに仕立て上げるわけでもなく、どこか俯瞰したままフワフワと眺めている感じがしっくりときた。負の部分が極力少ないのも敢えてなのだと思うし、鑑賞してみて「それで良かったな」とも感じた。畳み方は映画的(物語的)だが、そこに余韻と余白があったので気持ちよく劇場を後に出来ました。10年に一度視て、自分の立ち位置や感覚を確認したいですね。
今年イチオシの「河合優実さん」はココでも素敵な光を放ってましたね。素晴しい。
追記:なんでコメント頂いたから返信しようとしたのに。コメント送信出来ないんだろうな…。ずっとおかしい。
若者は何をすべきなのか
最近観た映画で一番面白かった。
平日の午前だからなのか、内容がこれだからなのか、私以外全員中高年のお客さんでした。
plan75、賛成か反対か一言で言うなら賛成です。そもそも75歳以下でも働けない人や体が不自由で生きてるのが辛い人には安楽死の選択を与えるべきだと思っています。ここでは【働けない人】がポイントかと。まだ納税出来る人は国のために働かなくてはいけないので死の選択を与えるべきではないですね。
主人公のミチは独り身でこれが独身を選んだ女の末路か…と思いましたが、一度結婚して出産もしてるんですよね。あそこでちゃんと出産がうまく行ってたらこんな末路にならなかったかもしれない。おばあちゃん仲間の一人(役名分からない)は孫がいて、その人は歳を取ってもキラキラしていて、その二人の対照的な感じも上手く表現されていました。
とは言え、私は出産願望ない女の一人です。映画を見てる最中は、やっぱり結婚出産した方がいいのかな、とも思いましたが、今のうちにちゃんと貯金する・社会とのつながりを作っておく・仕事でのスキルを身につけておく等将来のことを見直すきっかけにもなりました。まあ歳をとる前に死ぬのが一番いいですね。私の父親は50歳で死にましたが、私もそうなりたいな。生前父が「俺が認知症になったら殺していいからね」って言ってたのを思い出しました。
支度金10万円ってそんなに高齢者にとってありがたいんですかね?大卒で22歳から毎月1.5万円も年金納めたのに10万円しか貰えないなんて酷いな。まぁ納めた年金全部返すってしたら、plan75やる意味があまりなくなってしまいますしね。(お年寄りの社会保障を減らす等)
ミチが新しいバイト先がなかなか決まらず、交通整備の仕事をしているシーンが哀愁漂ってて印象的でした。しかし、交通整備の仕事してる人に失礼では?とも思いました。確かに78歳女性が交通整備の仕事なんて可哀想だなとも思いますが、それって中年男性でもやってる人がいますよね。中年男性が交通整備の仕事してる描写があってもそんなに可哀想だな、とは思わないじゃないですか。
磯村勇斗の演技もよかったです。しかしラストは何であんなことに…。お葬式を上げさせたかった?意味が分からないです。多分装置を壊したのも意図的ですよね。結局ミチは生き残ってしまったし、こんな酷なことあります?死ぬ決意をして、死ななくて、でも仕事は見つからないし更なる地獄を生きるだけでは。生き残ってしまった場面を見た時、「はあ?何してくれてんの」って思ってしまって、自分の加害性にも気づいてしまった。いや、多分お年寄りの立場に立っての意見ですけど。
この映画を見た後、いろんなレビューやSNSでの反応を見ましたが、私と同じ意見の人は少ないですね。何が違うかと言うと「自分が死にたいと思った経験」だと思います。私は20代前半の女性ですが、死にたいって思った経験が多分人より多いんです。この制度に反対してる人は"生きる辛さ"をあまり知らないんじゃないかな。私は今はまだ若いので非正規ならまあ仕事は見つかるけど、もし仕事が見つからなかったら…って考えると怖くて仕方がないです。
でもやっぱりお年寄りに優しい社会になってほしいと思います。確かに少子高齢化で国の財政を圧迫してるとは思うけど、お年寄りだって若い頃たくさん働いて納税してきたんだし。それなのにこの映画のようにお年寄りを排除しようとする社会はなかなか酷い。あとは独り身でも充実できるようなサードプレイスの提供が必要だと思います。
現代の少子高齢化社会ではすごくリアルに感じてしまう映画でした。外国人の役の必要性ってあまり感じなかったけど、少子高齢化社会では移民の重要性が高まってくると思います。だからこそ味が出ていました。
ミチが成宮と会って、お金を渡すシーンはなんだか切なくて泣けてきました。他人事じゃないというか。自分もお金をもらう立場にいるので。例えばお年玉をあげる行為って、孫を喜ばすために見えて、自分の承認欲求を満たす行為なんじゃないかなって。若者にお金をあげて、それで喜んでもらえて自分の存在意義を感じられるじゃないですか。このシーンにそういう意図はなかったらごめんなさい。
この仕事、実際にあったら冷酷な人間じゃなきゃやってられないですよね。自ら死を選ぶお年寄りを見て心が痛む人には務まらないと思います。
高齢化社会を向かえるに辺り強烈なメッセージ
今年一番刺さった。
考えさせられますな
設定が面白いなぁと思って気になってましたが、やっと鑑賞。この設定はいくらでも広げようと思えば広げられる気がするけど、いい意味でも悪い意味でも薄味というか、シンプル塩だけの味付けくらいかなという印象。
ただいろいろ考えさせられる。制度としてはどうなんだろな。。あくまで自由意志だからな、、安らかに殺してくれるならその時の状況次第では否定できない。。
PLAN75に申し込む葛藤と、淡々と単なるサービスの申し込みみたいに受け取る姿と逆に心の葛藤と、いろいろ垣間見えましたね。
倍賞さん、ハマってましたね。いい感じにおばあちゃん。あとはやっぱ河合優実の演技はよかった。ほんと最後の電話とか絶妙なさじ加減。いい顔いい声素晴らしい。
命の取捨選択?
決して楽しい映画ではないが望みはある
ありえない? ありうる、のかも。
カンヌ国際映画祭で新人監督賞の次点になった話題作。40代の女性である早川千絵監督の初めての長編映画。
75歳以上の高齢者に生死の選択を認めるプラン75という国の制度。このプランを選んだ人には使い道自由な10万円の給付金が支給されますー。
もちろんフィクションですが、現在の日本は“超高齢社会”であり、高齢「化」なんて甘いもんじゃない!おまけに少子化は進む一方。今、絶対見ておくべき作品だろうと鑑賞しました。
説明的な描写はほとんどなくて余白の多い演出。たとえばある人が亡くなるシーンでもその姿を近くからは撮影しない。引いた絵だけで語ってきます。
音楽もほぼ無しで淡々としているのに俳優の目、姿、声などから全てしっかりと伝わってきてまるでドキュメンタリーを見ているかのような感覚に。長編初メガフォンとは思えない監督の手腕に次回作への期待も高まります。
主人公のミチは78歳で一人暮らし。とてもきちんと丁寧に生活している人。そのミチを寅さんの妹さくらだった賠償千恵子さんが演じていて、あの可憐なさくらも今や深いシワがたくさん刻まれた高齢者なんだ、と。誰もが平等に歳をとっていくのだ、という現実を突きつけられます。
高齢を理由に解雇され、仕事が無くなると身寄りのない者は住むところも奪われる…
ずっしり。
何を感じるのか。何を考えるのか。
ラストシーンの意味も含めて、こちらにまっすぐ問いかけてくる作品です。
老後資金などございません。
さぁどうやって生きていきましょうかねぇ。
人間にとって大切なことは変わらないのです。
「河合優実さん出演作にハズレなし」は無事に更新となりました。
本作はプラン75というシステムがある社会で生きる人々・・・システムの利用を選択する人、勧める人、利用サポートする人、実施する人・・・その人達の命の終わりを自由に選択できる・・・つまり「形骸化した命の価値」への向き合い方を描いた作品でだと思います。
本作は「命の尊厳」をテーマにしたものではなく、75歳を過ぎた人にはどんどん死んでもらいましょうという国のお達しの中、踠く人々を通して変わってほしくない、失ってほしくないと願う「人間の心の形(あり方)」を描いたのではないかなぁ?
本作を見終わってパッと思い浮かんだのは小さい頃読んだ童話「姥捨山(うばすてやま)」です。姥捨というのは制度ではなく風習ではありますが、死を選ぶ人、促す人、実行する人などなど登場する人物像は似ているんですよね。その話を読んだ時とかなり似た感情を持ちました。姥捨山ってお話も風習についての話ではなく、風習に翻弄される家族を描いたもの(母と息子にフォーカスしてますけどね)でした。そう考えると、本作は現代の姥捨山のお話なのかなぁ?って思います。
世の中のシステムに合わせて心も変わってくれれば苦労しないんですよね。システムほど人間の気持ちや情はそんなわかりやすいもんじゃないですし、人は記憶(思い出)や経験で考え方、感じ方は変化していくものです。そして知るのでしょうね、幾つもの「かけがえのないもの」を。命の価値が形骸化しようとも、かけがえのないものは変え難いものであると。大切なものは変わらないだろ!と。カメラ目線の河合優美さんの目がそう語っているようでした。
そして、ラストは人間への願いでしょうかね。ミチを通してそれを描いている気がしました。昨今の世界情勢や日本経済の落ち込みなどなど、とっても辛いことが日常生活の中でも発生しています。やなことだらけです、心配なこと、不安なことだらけです。けど、きっと明日は太陽が昇るんです。新し1日が来るのです。足掻けるうちは足掻いた方がいいのでしょうね。けど、その気持ちも「かけがえのないもの」の一つだと思うのです。
賠償さん。すばらしかったな。
全286件中、101~120件目を表示