PLAN 75のレビュー・感想・評価
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脚本、演出、俳優、全て良かった
死をテーマとしたとあり、重い作品となるのは予想していたが、鬱々となるわけではなく、全体を通して目が離せない作品となっていた。
それは、前半での背景説明(少し眠いが)、後半から飽きさせない展開と、現代の課題をSF的かつリアリティある脚本。
カメラワークや多くを語らない演出とそれに応える俳優。
全てがつながり、この作品の雰囲気を見事に作り出していた。
社会的な課題を、映画らしい手法で表現する。大人しいながらも映画館で観て良かった映画であった。
今後の監督の作品が非常に楽しみになった。
暗すぎる
邦画とは思えぬ完成度。
凄かった。75歳になったら自分で死を選択出来るPLAN75の利用者と運営者の群像劇です。
余計な会話は無く、絵が、余白が、研ぎ澄まされていて全てを語る。ギリシャのヨルゴス監督思い出した。
誰も泣かず、誰もが熟考し、淡々と死に向かっていく。
社会が、政治が、教育が、経済が人を分断し、さらに孤独が友達となった、、、その究極形がPLANE75かも知れない。
だから僅かな役者の表情の変化が、見る人に伝える情報量は大きい。この無駄の無さは監督が一度このテーマを短編で作っているからなのかも知れない。まだ作品数が少ない監督ではあるが、楽しみ。
出演者も当然ながらレベル高し。
倍賞さんも良い仕事に恵まれて全力投球だ。
高齢者にも若者にも、感情移入できる視点は用意されている。
初めのPLAN75誕生の話はキャッチな要素かも知れないが、、無くても良かったかもしれない。
先生の目線がこちらに向いた時、あなたはどう思う?と振られた気がした。
同じこと考えてた
ある年齢なったら生死を自ら選択できるようにして欲しい。何年も前から同じような事を考えてたことがある。こういう制度を作って欲しいと。わたしはお金持ちではないので、老後には不安しかない。ある年齢まで生きれば死ぬ権利が与えられる。もちろん希望する者だけ。もしこのような制度があったら、将来の不安はとても軽くなる。
わたしにとっては本当に欲しい制度だ。これが映画になるとは驚いた。もし実現すればこんな感じか。というイメージが明確になった。
わたしには全く否定的には感じない。これからこの国で高齢者になる者にとって決して悪ではない制度だとわたしは改めて思った。
主人公の女性はあれからどうしたのだろう?この国でこの先彼女はどんな人生が待っているのでしょう?
ホラーよりリアルな怖さ
だいたいが死を特別にしすぎよね。当たり前のことなのに触れないし準備...
駆除される老人
なんだコレ?
新手のホラーか?
見事に誰の得にもならない映画だったなあ。
あのブラジルの女性の役所はなんだったんだろ?
その制度の外側にいる視点だとして…寄付や譲渡が自然に行われる事実を普通と思うか、幻想と思うか、そんな事を問う為の、民意のバロメーター的な事なのだろうか?
常識のあやふやさに笑いはしたけれど…健康診断の時に流れる政府広告なのか啓蒙ビデオなんかは分からんが、おもしろかったなぁ。
一種のプロパガンダなのかな?
こんなに長くやる話しじゃないんだろな、元々。
導入の独白にはドキッとする程の説得力があって煽られもするのだけれど、その後の世界は、その犯罪を肯定したような世界観。いわゆる大麻を合法と認めたような事なのだと思う。経済効果が莫大な為、一転して全肯定的な。
選択権は与えらるものの、ほぼ一択な未来。
自死を推奨する政府。
不必要だと隔絶する社会。
寿命によるコミュニティの崩壊。
降り注ぐ孤独。
いずれ、必ずくる死という未来。
ここが終着。だから死ぬという事が問題ではないのだと思う。問題は「生き辛さ」なのだろう。
作品に出てくる先輩方は、皆さん生き辛そうだ。
同時にプラン75を選ぶ必要がない富裕層の人間も描けばよかったのに。政府関係者とか。
そしたら色んな制度が誰の為であるか、より浮き彫りにもなってくるだろう。
テーマがテーマだけに掘っても掘っても、明るい未来な要素が見つからず…自分達の将来ながら絶望感でいっぱいだ。
安楽死と混同されそうな話だけれど、経済的困窮からの解放を同義としたら、世界中の宗教的な教えは、根底から覆されるような気がする。
総じて、編集は良くないように思う。
これは政府による人殺し映画だ
少子高齢化で、今後の年金が減額されていく可能性が高いため、題材になったと思われます。
あくまでも個人的な感想です。
まず、政府による人殺しについては、劇中のコールセンターの場面で、ある女性がプラン75を申し込んだ人は、思い返して死ぬのを止めるケースが多いので、上手くこのまま死ぬ方向に誘導してねと助言するセリフがありました。
国ではなく政府としたのは、ヒロム(磯村勇斗)がプラン75の看板を立てた時に、誰かから泥のようなものを看板に投げつけます。この状況から、反対派がいる事が推察でき、政府主導による政策と解釈できます。
その他に、死体処理者が死体の眼鏡、時計、お金を盗む行為は、犯罪行為であり不快です。
また、外国人労働者を美化しており、将来、日本を外国人が乗っ取るような感じを受けます。
最後の方に、ヒロムがおじの遺体を車の助手席に乗せて、火葬場に向かうシーンも違和感が残りました。
しかしながら、以上のような点を除けば、映画自体の完成度は高く、終始引き込まれました。ミチ(倍賞千恵子)のラストの行動に救いが残り、ホッとします。
評価の難しい映画だと思います。
自分の老後をイメージ
安楽死の法律ができたらいいな、と考えたのは何年前だったか…
うっすらと未来を想像はしていたものの、この映画でリアルに老後の輪郭が見えました。
つつましやかに、賠償さんの演じた方のように私は生きられるかな。おじさんも誕生日にプラン契約して、腹がキマッテルな。
その時まで、精一杯生きろって結論に着地。
もったいないばあさん
テーマはすごく面白そうだし、予告の出来もいいからそこそこ期待していた本作。どんな衝撃的なものを見せてくれるのかなと少し期待しすぎていたかもしれない。私には退屈な映画でした...。
テーマはやっぱりすごく面白い。
よく練られている。もし日本がこういう制度を採り入れたらこういうことが起こるがしっかり描かれている。自ら足を運んで契約をしに来ているだろうに、テレビでループされる広告に嫌気がさしてコンセントをぶち抜く。リアルだなぁ、目の付け所いいなぁ、と思いながら見ていました。
役者も、もう文句無しに素晴らしいですよ。
配役もお見事です。
国民的女優・倍賞千恵子はやはり最高にいい役者。その場の雰囲気までも操る天才女優です。いい声でした。
若手の磯村勇斗と河合優美も絶妙。この2人の演技にはいつも引き込まれる。今後の日本映画界を背負う役者でしょう。てか、磯村勇斗出すぎね!笑 結構結構!
で、役者はいいんですけど、人物描写が...酷かった。「峠 最後のサムライ」を見てからの鑑賞だったから、よりそう思ってしまったのか。なんかイマイチ感情移入出来ないし、わざと無情な世の中を表すためにそういう演出にしたのか知らないけど、すご〜く薄味になっていた。3人の視点で描かれ、最終的には繋がる。まぁ、あるあるですわ。問題はその繋がり方。なんだそれ、っていう関わり方。急に雑。
そもそも、3人のうちの1人である外国人は必要だったのかと。この人物がいるせいで色々と不明な点が多くなっているのではなかろうか。もっとしっかり描けたはずなのに、もっと面白くなったはずなのに。この外国人のシーンがとにかく眠たかった。今語るのはその問題じゃなくない?そしてその終わり方?何見せられてたの?
少数派意見かもしれませんが、私はハマらなかったな〜。ちょっと苦手なタイプの映画でしたね。好きな人はめっちゃ好きなんだろうなとは思いましたけど。
無気力
75歳で安楽死を選択出来る。
ストーリーは淡々と進み、大きく感情を動かされる訳でもなく、メッセージ性も感じない。
方や、ヘルパーをしていた外国人の女性は、国に残した5才の娘の心臓が悪く、救う為に、懸命に遺体の遺品処理の仕事に、勤める。
それも淡々と。。
安楽死と言うワードは考えさせられるが、この映画は何を伝えようとしてるのか?
後で気付いたのは「無気力」と言うことか?
どこかの国は、安楽死を認めてる所があったのじゃなかったかな?
歳じゃなく、いろんな厳しい条件をクリアした人のみ?
映画の内容でなく、重度な介護が必要で、施設に入れない人とか?
国で決まった政策なら、いろんなパターンがあるだろうが、「無気力」を表現したかったのなら、納得かも。
イオンシネマは毎日55歳以上の方1100円
2022年映画館鑑賞27作品目
7月4日(月)イオンシネマ石巻
ハッピーマンデー1100円
早川千絵監督作品初鑑賞
脚本も早川千絵
山田キヌヲが出演している短編の方のPLAN75未鑑賞
75歳になったら生きるか死ぬか決められる近未来の日本の話
昔からありがちな発想
21エモンでも似たようなエピソードがあった
カンヌで新人賞を獲得するなど世界の評価は高い
だがはっきりいって内容は全くもってつまらない
脚本の時点で駄作なんだろう
たしかに画像にはチカラがありその点は有能といえるのだが
それでも期待したものとはだいぶ違う
カンヌで賞を獲得した作品を全否定する気はないがこれはハズレの方だ
あつかうテーマは悪くはないがただそれだけ
海外作品の『青いパパイヤの香り』や河瀬監督の『萌の朱雀』と似たような雰囲気でそれが好きな人には向いているかもしれない
高齢化問題を考えさせたいなら『楢山節考』を観た方が面白い
まずSFだが話として全くありえない
このては少しくらいもしかしたらあるかもってのがほしい
早川監督の頭の中を切り開いて中身を見てみたい
高齢者に対する大量殺人事件が起きたから高齢者の皆さんに進んで死んでもらいましょうという発想があまりにも突飛で現実離れも甚だしい
国会議員が自分で自分の首を絞める法律を作るわけがない
高齢者を在日朝鮮人や同性愛者や知的障害者に置き替えたら流石に破綻していることに気づくはずだ
初の長編作品制作のためしんどかったのか集中力を失ったのか飽きたのか文化庁からの補助金が雀の涙だったのかガスで安楽死させる施設の設定も酷い
見た目は老婆
声は寅さんの妹さくら
その名は倍賞千恵子
重いテーマを彼女の存在感でさらに重くしている感じ
コメディエンヌが演じたらまた味わいが違ったかもしれない
介護施設で働くフィリピン人女性はこの作品にはいらなかった
この作品とはまた別の形で扱ってほしかった
河合の最後のカメラ目線が良かった
なぜか楳図かずお先生の『洗礼』のラストを思い出した
ホテルの客室を掃除するおばさんだったが高齢を理由に解雇される角谷ミチに賠償千恵子
PLAN75担当の市役所職員・岡部ヒロムに磯村勇斗
ヒロムの叔父・岡部幸夫にたかお鷹
PLAN75コールセンター成宮瑶子に河合優実
ミチの友人・牧稲子に大方斐紗子
自分はどうせ死ぬなら映画館で映画のエンドクレジットを観ながら死にたいものだ
追記
かつて『嫌韓流』をヒットさせた山野車輪が『若者奴隷時代』という本を出版したが嫌韓モノに比べると売り上げはそれほど芳しいものではないらしい
それは日本が高齢化社会であり本を買う年代は若者より年配の方が多いからだろう
それに若い人も夭折しない限り高齢者になるからそういう視点がない人以外は冷静だ
そこが在日朝鮮人や同性愛者などに対する差別と根本的に違うところ
怪しいデータを並べてみたところで若い人が貧乏なのは年寄りのせいではないのは明らか
年寄りがいなくなったからといって若い人の生活が楽になるわけではない
若い人が趣味はそこそこにバリバリ働き恋愛し結婚しバンバン子供を作ればいいだけの話だ
太古の昔からみんなそうしてきたのだ
年寄りは孫や曾孫の世話をし年金からバンバンお祝い金やランドセルなどをプレゼントする
それで世の中うまく回るのだ
簡単なことだ
結婚していない自分が偉そうに主張することではないのだが
老人への安楽死の選択の自由は新しいビジネスモデルと"生涯現役"の優勢思想を秘かに育む...
ずっしりくる
ちょっと前に寅さんをシリーズ全作を通して見たので、倍賞千恵子はさくらにしか見えず、あのさくらがおばあさんになってしまっていることにまずずっしりくる。その上75歳で自死を選ぶシステムが本当にあり得る感じがして、うちには78歳の母がいて本当に苦しくなる。僕自身53歳でそんなに先の事とも思えないため、生きていくのがつらい。
黄昏の国に潜む微かな希望の余韻
この作品を見て、評論家の江藤淳氏が「脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は、形骸に過ぎず、自ら処決して形骸を断ずる所以なり」の遺書を遺して1999年自ら命を絶ったことを思い出しました。この作品の主人公とは違い、弱者とはとてもいえない傍目には恵まれた人だった訳ですが、それでも自ら死を選んだりしてしまうのです。何故か?
この映画の主人公にも、あることを勧められるもその選択をしないシーンがあります。多分根底にあるものとして共通しているのは「迷惑をかけたくない・社会の役に立ちたい」という「自尊心」であり、それが傷つけられるのが老いの本質ということなのかもしれません。
正解は多分ありませんが、この作品のヒントは「関係性」の回復への希望とこの世界の「美しさ」の再発見であるように思いました。特に寒々としたディストピアをとらえる映像は、タルコフスキーの「ノスタルジア」を思わせる色彩で、黄昏を迎えた日本という(いまや)後進国の、何でもない風景に潜む美をよく捉えていたように思います。幸福は多分普段気付かない見えないところに宿っているのではないか。そんなことを余白の中に感じました。
ともあれ、現在の出生率が継続すると、いずれ日本は消滅する計算だそうです。また世代間の年金収支較差は、維持不可能な状況まで拡大している現状があり、この映画で描かれているように周到に政府による自殺幇助罪を回避する仕組みが用意されれば、可能性ゼロの世界ではないかもしれないと思うところに怖さを感じました。いろいろと考えさせられる映画でした。
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