劇場公開日 2022年6月17日

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「私の「PLAN75」は、大好きな映画を観ながらであったら…」PLAN 75 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0私の「PLAN75」は、大好きな映画を観ながらであったら…

2025年6月22日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

監督がこのTV放映のすぐ後に劇場公開された
「ルノアール」の早川千絵だったので、
それに因む放映だったのだろうか。

若い頃は「楢山節考」という
老いた方には厳しい内容の映画があったが、
年齢的に臨場感が増したこともあり、
似た匂いのこの作品を恐る恐る鑑賞した。

この淡々としたドキュメンタリータッチは
本来、リアリズム的映像手法なのだと思う。
しかし、この作品では、
外国人労働者問題などへの
間口を拡げ過ぎたことと、
更には、登場人物それぞれが
社会的立場上の微かな接点こそはあるが、
人間関係としての絡みがほぼ無いことが
ドラマとしての盛り上がりの欠如を招き、
映画作品としての深みを生み出していない
ような気がした。

人間の価値や命の尊さへの想いや、
こんな姥捨て山のような社会システムが
あってはならないとの
制作者側の狙いは理解するが、
国家プロジェクトとして開始されたはずの
この“尊厳死”のシステムが貧相過ぎるのと、
外部者がその最期の場所・タイミングに
いとも簡単に侵入出来るという安易な設定
にしたのかが私には理解不能で、
問題提起以前に、
ドキュメンタリー的作風にも関わらず、
リアリティの欠如感が私の脳裏を
混乱させてしまい、
早川監督の最新作「ルノアール」への期待も
少し萎む鑑賞になってしまった。

さて、若い頃に比べて肉体的には
万全さを欠いてきている己の現状だが、
一方で、人生の積み重ねの結果、
色々な絡み合いが増えて来て
精神的には人生の面白みを
感じ始めて来ている昨今、
少なくとも身体が動く間は、
この作品のようなシステムがあったとしても
厄介にならないようにしたいものだが、
しかし、身体の自由を失い始めた際は、
この作品での無味乾燥なシステムではなく、
せめて、美味しいもの食べながら、
そして、大好きな映画作品を観ながらの
「PLAN75」であったらなあ、
と願わずにはいられなかった。

KENZO一級建築士事務所
talismanさんのコメント
2025年6月22日

大好きな映画を見ながらっていいですね。リストを作っておこうかなあ

talisman
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