「「善」か「悪」か」PLAN 75 rainさんの映画レビュー(感想・評価)
「善」か「悪」か
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死を自ら選べるようになった世界で、その制度は果たして善か悪か。もちろん現実では実現していない制度だし、明らかに監督側がこの制度を悪として描いているのはわかるのだが…。
しかし、失業して新しい仕事も物件も決まらず、生活保護は受けたくないといった最後の矜持まで蔑まれ、途方に暮れていた倍賞千恵子に、少しの間ではあるが、彼女の精神的な支えとなったのは、plan75の職員、河合優実であった。
河合優実がいなければ、もしもplan75がなければ、倍賞千恵子はそれこそ彼女の友人のような死に方をしてしまう未来もあったのではと思う。
とはいえ、死を選択しなかった彼女が今後どうなるのか、考えただけで少し暗い気持ちになるのだが、この映画は、そこまでの問題提起をしていないようにも感じる。
淡々と進められていく死へのカウントダウン、どことなく冷たい彼女の友人たち、そして不動産職員。対して、主人公をはじめ、その周りの登場人物たちの人としての優しさ(思いやり?)が、なんとも言えない対比になっていて、生々しかった。
自分はもちろんこの制度に賛成というわけではないのだが、かといって完全悪とも言い切れないのが、今の日本の現状だと思う。
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