「老人への安楽死の選択の自由は新しいビジネスモデルと"生涯現役"の優勢思想を秘かに育む...」PLAN 75 O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)
老人への安楽死の選択の自由は新しいビジネスモデルと"生涯現役"の優勢思想を秘かに育む...
現在も待った無しの高齢社会問題を背景に、「後期高齢者の安楽死」という劇薬とそれに連なる利権と外国人労働者の問題を淡々と努めて客観的に描いています。
監督の早川千絵さんは本作が長編映画デビュー作。
さすが美大出身だけあって、陽光の屈折や冬のみぞれの降りはじめなど、登場人物の内面の空虚さや不安を風景美に投影する手法は美しいがゆえにより残酷に映ります。特にラストシーンで主人公の倍賞さんが仰ぎ見る秋の空は掛け値なしに神々しく、一見の価値有りかと。
シビアな現代的テーマをエッセンス抽出によって毒素を薄め、幻想的な風景と演出で非現実感へも誘う意欲作なり。
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