「安楽死、孤独死問題に取り組む意欲作」PLAN 75 bluewaveskyさんの映画レビュー(感想・評価)
安楽死、孤独死問題に取り組む意欲作
『PLAN75』は施設が希望者の安楽死を遂行し、故人の家をクリーニングする制度がメインのようだ。ただ今作は冒頭で若年層が高齢者を襲う事件をPLAN75の導入の背景の一つに挙げている。個人的には、これはリアルの類似事件を想起させるもので、その犯罪を少しでも肯定させることに繋がりかねず、表現が荒唐無稽だと感じるし肯定できるものではないと思う。しかし、その部分を除けば安楽死や付随するサービスに対し、全く否定しないし、孤独死対策にもなるので合理的にも思える。その問題に真正面から取り組んだ意欲作となっている。
ただ想定では日本の近未来とのことだが、いかに日本が世界トップ級の高齢化社会とはいえ、海外の一部では安楽死が認められているところもあるのに、わが国では未だその動きはなく、倫理観に対しても保守的な日本で、近い将来、このようなプランが導入されることは、私は100パーセント無いと思う。この映画のストーリーでも、磯村勇斗さんのPLAN75の福祉員は、自身の叔父が亡くなったのを確認し、衝動的に自身の車で連れ出すし、PLAN75を覚悟をもって選択したはずの倍賞千恵子さん扮する主人公は、最終的に施設を抜け出しプランの計画から離脱。人間の生死は合理化で割り切れるものではないことを示していると感じた。
> これはリアルの類似事件を想起させるもので、その犯罪を少しでも肯定させることに繋がりかねず
私もその危惧を持ちました。世の中変えるには殺人も肯定される、やむを得ないことなんだと間違った受け取り方をする輩が出ないかと。(安倍さんの襲撃事件、等)殺人は絶対に肯定されるものではない。
ここ以外は非常に考えさせられる良い作品でした。
賛同していただけて嬉しいです。少しあっさりしたラストもこの映画の特徴ですね。鑑賞者に委ねる部分が大きく様々な感想があるのではないでしょうか。