「最後のクラッチ‼」生きててよかった MARさんの映画レビュー(感想・評価)
最後のクラッチ‼
勝星に恵まれないプロボクサーがドクターストップで引退。社会にも馴染めず、燻った日々を送る中、怪しげな地下格闘技のオファーがあり・・・。儚くも危険な、闘うことでしか生きられない男の生き様を描いた物語。
前半は観ているのも辛い展開。
ボクサーとしての散り際、
一般社会での働きぶり、
健気にも支えてくれる奥さんにも情けない姿しか見せられず…
そしてそんな奥さんが抱える真実…
同じ男として、直視するのも憚られる程のやりきれなさ。どうか良い方向に進んでほしい‼・・・と思って観ていたところ、ファンだと名乗る男から地下格闘技のオファーが。
明らかにヤバめな世界に飛び込むも、次第に生気を取り戻していく楠木に胸がアツくなるし、漸く拳を叩き込んだ時には、心の中で思わず叫んでしまう程の大興奮‼
ケンちゃんも最高‼方向は違えど、同じく夢を見る男。ボクサーとは違った難しさ、そして引き際のなさ・・・。秘めたる想いを抱えつつ、楠木に協力する友情にグッときた。
奥さん・・・楠木がどんな状況になっても側にいて、、、ほんとこんな奥さん欲しいマジで(涙)
あ、ブロッコリーの件は除いてねw
お母さんも、好きで、大っ嫌いな所・・・良いねぇ~。
更に、彼も、間違いなく悪者だけど、単に駒集めの為に近づいてきただけのゲスでは無かったのかな。最後、見つめる目を見て、ファンだという気持ちは嘘じゃなかったのかなと、ちょっと救われた気持ちになった。
そして、本作の一つのテーマである、この結末は喜劇か悲劇か・・・
個人的には良かったのかなと。
この結果でなかったら、それこそ皆廃人のように生きていたんじゃないかなぁ。
最後の試合は最高に最高だったよ!
とにかく、人が抱く・・・愛情、友情、夢、絶望、過ち、憐れみ、そして甦生。
その全てを感じることができる、隠れた名作だった。
今晩は
コメント有難うございます。
拙レビューに記載した通り、ラストのカレーライスのシーンは当初、(勝手ながら)違った解釈をしてしまいましたが、帰宅途中愛車を吹っ飛ばす途中で、”いや、違うな、奥さんは旦那さんが身を削ってボクシングをする姿を見るのが嫌だったのでは!”と思ってから全ての辻褄が合いました。
私は、30代までエクストリーム登山をしていたので足腰には十二分に自信があったのですが、会社の仕事の関連で名古屋のボクシングクラブに体験入学した事があります。で、結論から言うと”こんなにキビシイスポーツというか格闘技はないな”という想いでした。
それ以降、ボクシング映画に出演する俳優さんには頭が垂れます。では。
今晩は。
”この結末は喜劇か悲劇か・・・”
私は、直後誤った見方をしていたのですが、奥さんが”私、実はカレー嫌いなんですよねえ”と言った言葉を帰りの車中、180キロでぶっ飛ばしながら考えていたのですが(訂正:60キロです・・)、ああ、あれは奥さんにとってはボクシングがカレーだったのだ(勝手な解釈)と思い、腑に落ちました。
ですので、私にとっての今作は喜劇、悲劇を超越した一人の男の見事に自分の意志を貫き通した、生き様を記した映画だと思ったのですよ。
蛇足ですが、私10年以上前に名古屋のボクシングジムに何故か仕事の関係で一回体験でトレーニングをしたことがありまして、体力には自信があったのですがシャドーボクシングだけでヘロヘロになり、ボクサーって凄いな・・、と思った事も私がボクシング映画が好きな一因かと思っています。縄跳び(初心者向け)は楽勝でクリアーしましたが、リングに上がると別世界でした。で、それ以降邦画を含めてボクサー役を受ける俳優さんにはリスペクトを感じますね、では。