「日本人の女性はやっぱり凄いね。」眠れない夜の月 マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人の女性はやっぱり凄いね。
さすが、日本のストップモーション。
約6年前の10月、母がまだ元気だった頃、自分が60歳になった記念に雲取山に登った。鴨沢と言う山梨県の県境から昇った。60歳だったが、ガキの頃からワンダーフォーゲルだったので、脚には自信があった。朝の九時に登りだして、昼までに雲取山に着いて、そこから奥多摩駅まで降ろうと言う計画だった。予定通り昼までに雲取山には着いた。後は下り。鴨沢までおりて帰ろうかとちょっと考え、雲取山で1時間くらい余裕をこいていた。それが間違いの元だった。鷹ノ巣山に四時に着いて最後の登山者と出会って『どこまで行くんですか』と聞かれ『奥多摩駅まで』と答えると『どこかでキャンプ張るんですか』と返された。六ツ石山を超えたあたりから、やばくなってきた。なんとなんと、日が暮れて、真っ暗になったのだ。さて、灯りは『忘れた!』夜空を見上げると星だらけ。もっとも、老眼で2等星位までしか見えない。しかし、この夜は月が木に引っ掛かっていたようだ。真っ暗である。さて、どうしたものか!叡智がない者は、そうなって、やっと気付く。『携帯電話だ!』でも、バッテリーが半分以下だぞ。ライトを付けると、バッテリーが減るのが分かる様なレベル。まともな地図が無いので、後どのくらい歩くかも分からなかった。でも、石尾根と言う尾根は何度か経験があって『お墓』が現れたら後は一本と分かっていた。だから、真っ暗でも、なんとかかんとか歩けた。やがて、奥多摩の街の灯りが見えてきた。そして、眼下に墓地のリンの燃える霊が見える(ウソ♥)。そこでバッテリーは尽きた。間一髪で墓地にたどり着いたのだ。夜の8時半だった。駅にたどり着くと電車を待つものは誰もいなかった。
さて、翌日母の所へ、墓地の話を交えて、山行を脚色を加えて自慢しに行った。母は『お前、墓地怖くないのかい。あたしはお墓は嫌だね』僕は思わず『そこか!』と思ったが、黙っていた。
その半年後母は天国に召された。それで、お墓が嫌だと言うので、散骨しようとしたら、それも嫌だと生前からおっしゃるので、永代供養のマンション型のタワー墓所に今はいらっしゃる。『怖くないよね。かぁちゃん』