小さき麦の花のレビュー・感想・評価
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Low-Key Gobi Rural Life Tragedy
A slow-baked tale of life in the Jintao to Xi Jingping transition stage of Chinese history, in Northern Central China. With Alibaba in the production, it's a bighouse film strewn as arthouse picture. It's intresting that this film was allegedly a threat to Chinese rule, and its heartbreak tale of poverty was whittled down. It's the latest lens into Chinese society. Good music by Iran's Yazdanian.
清貧
人を羨んだり恨んだりせず、ただ黙々と自分の仕事をする、文字にすればこんな簡単なことなのに人々はなぜできないんでしょう。この2人はそれをたんたんとこなしている。そしてとても幸せそう。まったく見た目や状況は違うけど平成天皇と皇后を思わせるほど穏やかな2人。夫婦というものが必ずこうならばみんなもっと積極的に結婚したがると思うな。それにしてもラストの唐突なこと、まあそのままじゃ終わりようがなかったかもしれないけど、そんな無理やり不幸に持っていかなくてもいいじゃないの。ぼんやりしてるけど決してつまらない映画ではないです。好きなタイプでした。
あの名作を思い出した…
2022(日本は2023)年公開、中国映画。
リー・ルイジュン監督。
貧しい農家の四男坊・ヨウティエ(ウー・レンリン)と障がいのある内気なクイイン(ハイ・チン)の清冽な夫婦愛の物語。
2人には、これでもか、というくらい困難が降りかかる。しかし、2人は力を合わせて強く生き抜いていく。
誰の助けも借りずに。
クイインは、「子供を産めない」とされており、
左手は常に微かに痙攣し、歩行も難しそうだ。
尿意を感知できず、漏らしてしまう。
だが、ヨウティエは全く意に介さず、クイインを大切に大切に愛しむ。
そんなふたりの姿が胸を打つ。
シチュエーションも、キャラクターも全く異なるのだが、
フェデリコ・フェリーニの名作『道』を思い出した。
◆社会福祉的に後回しにされる人々、
◆近代化の割りを食っている人々、
とてつもないスピードで経済成長した中国だから作ることのできた作品とも言える。
派手なアクションも、奇想天外な展開もない。
淡々と2人の絆を描いている。
感動の涙を流した人も多いだろう。
冷血漢というわけではないが(笑)、私には強く響いては来なかった。
二番煎じ感が拭えなかったからだ。
☆2.0
ラブストーリーの裏で
大都市のビル群が遠くに望める田舎町で、実直で言葉少なく家族に厄介者扱いされている男女が見合いで結婚する。二人は多くを語らないものの、自分たちの幸せを手に入れるが。
ラブストーリーなのだが、彼らの置かれている状況がなかなか厳しくそれがラブストーリーを盛り上げることになっている。家族はいい年になって結婚しないシャイな二人を邪魔者扱いし、結婚は体のいい厄介払いだわけだ。二人は親の財産も貰っていなさそう。車も持っていない。田舎ならが家族はそれなりに近代化され豊かで甥はスマホを使っている。土地の一部で暮らすのだが助けがない。女には身体的な障害があるが、医者に連れて行ってもらったのか定かでない。農作物は豊作だがJAのようなところに買い叩かれる。都会に行くとコートを買うのにふっかけられ、値引きしても現金がない。臓器売買のようなことをせざる終えなくなる。
でも中国の開発されてない田舎の風景は美しいし、ラブストーリーも美しい。
幸せだったのかな。。。
中国の奥地の貧困生活は何もないけど、この夫婦には確かな思いやる愛があった。ロバも鶏も皆んな幸せだったならいいな。
頑張って作った家、呆気なかったなー。
ロバや鶏はその後どうさたのか、気になります。
二人た互いをいたわるお姿、あまりにも思慮深くて…。 もの静かで、尊...
二人た互いをいたわるお姿、あまりにも思慮深くて…。
もの静かで、尊くて。
日々を丁寧に過ごせているのだろうか、自問したくなりました。
土とともに暮らす人々の素朴な人生を描いたドラマと見るか、現代中国の社会問題を描いた作品と見るか、様々な捉え方ができそうな一作
主人公ヨウティエ(ウー・レンリン)とクイイン(ハイ・チン)は、せっせと農作物作りに励む朴訥な夫婦。どうやらクイインには何らかの障害があり、そのために親戚にはやや疎んじられているようだけど、ヨウティエの彼女に対する愛情は確固としている様子。
そんな二人の姿を見て、土とともに生きる生活も素朴でいいかも、と思いそうになるんですが、一方で自宅を建てる際に必要なレンガも自分で作る、雨が降ればずぶ濡れになってそのレンガを守る、そして農作業は家畜を使役することはあっても基本的には手作業のため、種付けも収穫も自ら行わなければならない、と、常に埃まみれで肉体労働に従事している、という過酷な日常であることも痛感します。しかも本作の時代設定は、工業化前どころか、急速な経済発展の只中にある現代中国です。そのため彼らの親族はビジネスに勤しみ、高級外車を乗り回す一方、ヨウティエからは文字通り血液まで搾り取ろうとします。それでも自らの人生にも周囲にも異議を唱えないヨウティエを幸せと捉えるかどうか、ちょっと考えてしまうものがあります。
結末の展開も、一体ヨウティエがどう判断してここに至ったのか、解釈のしようで見方が変わる内容になっています。主演俳優たちはそれほど知名度があるとはいえず、題材も派手なものではありませんが、中国ではSNSを通じて若年世代の人々を惹きつけ、興行的には予想外の好成績だったとのこと。観客たちが本作に何を見出したのか、その点も興味があるところです。
静かな、美しい映画
現代中国における、社会において置いて行かれた側の男女のストーリー。
農家で、様々な人の手伝いをしている夫。
障害もあり、家族から邪魔者扱いされている妻。
二人が、誰も傷付けず、ただただ誠実に生きようとしている様子を
美しいカメラアングルで静かに撮り続けていた。
その一方で、夫婦を取り巻く人々は、業に塗れている。
時々、夫婦に優しく対応するが、それはあくまでも損得に基づいた行動。
本来の中国が目指そうとした清貧とは、この夫婦にあり、
それ以外が現代の中国なのだろう。
今の時代にこの映画が中国で作ることができて、
そしてヒットする。そこに中国の文化としての豊かさがまだまだあるのでは。
そう思えた映画だった。
ツバメがいいなぁ
どんなに忌避・疎外されている者でも巡り合わせによって誰かと奇跡のような時間を共有することができる,愛があれば何でもできる、ではなく、何かができると思わせてくれる作品。
当初寡黙・無表情だったクイインが次第に喜怒哀楽を言葉にしていく姿には思わず微笑んでしまう。一方でヨウティエが麦収穫の時にクイインを罵倒してしまうのは,それまでひたすら献身的だった彼についに芽生えた彼女への甘えの,ものすごく不器用な表現ではなかったか?
ヨウティエを単純に哀れんでしまうのは,誇り高い(という自覚は全く無いだろうが)彼に対して些か礼を欠くと思う。
本当に久しぶりに「伴侶」とか「ベター・ハーフ」のような古めかしい言葉を思い出した。
忍耐がいる映画だ。我慢が必要。
映画評をみると高評価が多い。じゃあ、見て見ようかと考えて鑑賞してみた。開始五分ほどでいい映画だとわかった。
家族からもまた、村人からも蔑まれている二人が心を通わせ生きていく。この二人は誰よりも美しい心を持っているのに、当人を除き誰も気づきていない。美しい心が美しい自然風景と一体となって、心が洗われるようだ。なんか、ミレーの絵画を観ているようだ。
タイトルなし
老人がいっぱい見に来ていた。
農民のミラクルな生活、そして重労働のリアリティ。中国の村の文脈などなどわかった。
性的な描写は入ってこないけれど、夫婦の愛情が美しく、それは自然や動物への愛情と通底している。
といっても、農業は身体が関与し、麦の花は美しいと共に、愛情と身体の交叉点でもある。彼女がロバを撫でるとき、それは夫の身体への愛情も喚起させる。
彼は馬鹿なように周りから表象されているけれど、約束を忘れず、真っ直ぐに働く、頭のいい男でもあった。
農業には生産性があらわれる。こんなにミラクルにものを生み出し仕事をやめない彼がピタリとやめたのは驚きだった。妻への愛が、彼の抜き難いハビトゥスをすっかり壊してしまうのを見る。
それに比べ、ロバや鶏や燕は元の場所に戻ってきてしまうのだ。そのことがとても切なかった。
(原題) 隠入塵煙
愛しさのあるとても綺麗な作品でした!
それぞれの家族の厄介者同士が見合い結婚してからの話。2人の農民生活はとても大変そうだけど、辛さ以上に幸せそうな姿が見えてきました。泥だらけで綺麗じゃなくても、大切な人が隣にいれば幸せだという当たり前のことを痛感させられる。
無題
全く予備知識なしでの鑑賞でしたが、圧倒されてしまいました。
10代の頃は鑑賞後こういう気分にさせられた作品が沢山あったのですが、もう半世紀以上映画を観続け年齢も70代が近づきつつある今、映画を観て圧倒されるって事は殆ど無くなってきているので久々にやられた気分でいます。
本作の様な作品は基本的に感想も書かない(書けない)のですが、鑑賞して暫くたったので少し考える余裕も出来ました。
本作の何に圧倒されたのか?を少し考えたのですが、恐らく純粋に人間が働く(労働)ことについて感動したのだと思います。本作の7,8割はほぼ黙々と働いている姿を捉えているだけの画面なのですが、それがまるでミレーの絵画を観ているように神々しくも崇高なものに見えてくるのです。
よく、“現代人が失ったモノ”という表現が使われますが、ひょっとしたらそれはそんなに難しいモノではなく、単純に生きる為にするべき労働が今の社会から消滅しつつあるってことなのではないのかなぁ~と、本作を観ているとその様な気がしてなりません。しかし、それを取り戻すのには現代社会は複雑になり過ぎました。
本作では、大国の社会の最下層(社会的弱者)の人達の行える最低限の中の最大限の生き方を描いているのですが、それが唯々美しいのです。
淡々とフランス映画のように
何も伝わらない予告(いい意味で)、高い評判のため鑑賞です。予告から、、、眠くなりそうなので、カフェインとりながの鑑賞でした。
中国の映画って味付け濃いめの映画という感じでしたが、フランス映画のように淡々と進みます。
ほんわかしますが、喜怒哀楽はない。
言葉にするとありきたりなストーリーですが、中国の農村部の暮らしや風習が日本人には新鮮。
また、初めは特になんの魅力もない二人と思いましたが、優しさなど魅力的です。
ただ、、、、この映画が中国の若者の間で流行った??それはさすがに信じられない。
どこに引っかかるのかな?中国の都市部から見ると農村部は別世界なのか、素朴な夫婦愛がよいのか、、、
農業で頑張る貧しい夫婦は…
昔の日本の農家もあまり変わらなかっただろうなぁ〰️
田舎だから時間がのんびりとではなく、二人で生きていく為に懸命に働く姿に感動
奥さんは肢体に障害を持っていたり、トイレにいけず…そんなハンディキャップを持つ女性を妻として受け入れ、健気に旦那に尽くす女性
こんな女性と結婚してたら…と後悔していたさなか、アクシデントが…
最後はいたたまれなくなったが、旦那もそうしないと…
こんな夫婦観たことない
#15 本当の夫婦のあり方
文化革命の頃の話かと思って観てたら、村の地主が乗ってる車で現代の話だとわかった。
それくらい中国の田舎の農村の生活がプリミティブなのだ。
豚やロバと一緒に暮らすのはわかるが、一間の貸家で夫婦2人が暮らすなんて、日本だと第二次世界大戦前でも聞いたことない(少なくとも農村では)。
貧しく厳しい生活と反比例するかのように、主人公は正直者で、人間にだけでなくロバやツバメにも優しい。
そして無理矢理夫婦にさせられた妻も優しい夫のことをひたすら気遣う。
2人の姿を見ていると、これが本当の夫婦のあり方なんだと思う。
日本のようにお金を運んでくれる夫に家事をしてくれる妻みたいな役割を望んでいない。
ただひたすら互いが互いをいたわり合い、互いの存在が愛しいのだ。
心が洗われる作品。
奇跡のような映画
中国西北地方、とても2011年とは思えない暮らし、家族から厄介払いされるかのように暮らし始めた二人。
特になにかドラマチックなことが起こるわけでもないが、土から恵みを得て、互いを慈しみながら、時代に翻弄されて生きる。そんな二人の暮らしを映し出す奇跡のような映画。
自分で日乾し煉瓦を作って家を建て、補助金が出ると言っては借家を追い出される 。それでも淡々と日々を過ごし、それを「幸せ」と言う。
饅頭(マントウ)、林檎、ツバメの巣、嵐の夜と整備されてゆく用水路。麦の穂、コーリャン、花の印。
ロバは野に返し、豚は売る。人生において声を荒げたのはたったの二回だけ。そしてそのいずれをも彼は後悔している…そんな彼の人生とは、彼女の人生とは、一体何だったのか…
みんなもう一度人生を考えてみたら?と言われているような、そんな映画。
ある意味現代中国の鏡かもしれない。
大地があって、種があって、一頭のロバがあって、そして、疎外されたものどおしの夫婦があって。それだけなのに、いやそれだけだからなのかもしれません。何かとても大切できれいなものを見せてもらった気がします。
それは、彼らが二人で、大地から作りあげた作物であり、泥から作りあげた自分たちの住む家であり、そして何より、金銭的には貧しくとも、その中で育んでいったお互いを思いやる心や自然とともにあることの豊かさなのだと思いました。
中国では競争に疲れた若者を中心に、大ヒットしたらしいですが、中央政府の商業主義・都市化誘導的な政策傾向に、若干ネガテイブなメッセージが込められていると見られたのか、そうした若者たちに競争に戻るよう促すためなのか、よくわかりませんが、上映中止処分を受けたそうです。
そういう意味で、中国の現在を写し取っている映画ともいえると思いました。
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