「中国の貧しい農村地帯の夫婦の、思いやりに溢れた暮らしに心打たれました」小さき麦の花 鈴木達哉さんの映画レビュー(感想・評価)
中国の貧しい農村地帯の夫婦の、思いやりに溢れた暮らしに心打たれました
発展著しい中国の、あまり語られることのないような貧しい農村地帯に暮らす農民の夫婦の物語です。
家族に邪魔者扱いされた者どうしで半ば無理やりに結婚させられるところから、この映画は始まります。
最初は目も合わせず会話すらなく、背中を向けて眠る関係だった二人が、日常の暮らしや仕事を通じてだんだん心を通じ合わせていく光景はとても美しいものでした。
派手なことはなにも起こらず、ただただ淡々と日々の糧を得るために働くふたり。
土を耕し、種を蒔き、作物を収穫するというその単調なサイクルを愚痴も弱音もこぼさず全うするその姿に、私は思わず自分を重ね合わせました。
私は事業を経営しているのですが、特別なことはなにもやらず、やるべきことを粛々と誠実に実直に実行している有り様がまさに自分のようだと。
この映画には派手なアクションや情熱的なラブロマンスこそありませんが、ありふれた日常に尊さを見出せる作品だと感じました。
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