劇場公開日 2023年2月10日

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「無題」小さき麦の花 シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5無題

2023年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

全く予備知識なしでの鑑賞でしたが、圧倒されてしまいました。
10代の頃は鑑賞後こういう気分にさせられた作品が沢山あったのですが、もう半世紀以上映画を観続け年齢も70代が近づきつつある今、映画を観て圧倒されるって事は殆ど無くなってきているので久々にやられた気分でいます。
本作の様な作品は基本的に感想も書かない(書けない)のですが、鑑賞して暫くたったので少し考える余裕も出来ました。

本作の何に圧倒されたのか?を少し考えたのですが、恐らく純粋に人間が働く(労働)ことについて感動したのだと思います。本作の7,8割はほぼ黙々と働いている姿を捉えているだけの画面なのですが、それがまるでミレーの絵画を観ているように神々しくも崇高なものに見えてくるのです。
よく、“現代人が失ったモノ”という表現が使われますが、ひょっとしたらそれはそんなに難しいモノではなく、単純に生きる為にするべき労働が今の社会から消滅しつつあるってことなのではないのかなぁ~と、本作を観ているとその様な気がしてなりません。しかし、それを取り戻すのには現代社会は複雑になり過ぎました。
本作では、大国の社会の最下層(社会的弱者)の人達の行える最低限の中の最大限の生き方を描いているのですが、それが唯々美しいのです。

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シューテツ