劇場公開日 2023年6月30日

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「ものづくりの高揚の行方」小説家の映画 うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ものづくりの高揚の行方

2023年7月2日
PCから投稿

キャリアハイを過ぎ、それぞれ望む望まざるは別としてスローな日々を送る作家と女優。商業路線の疲れやクリエイトへの未練を残すなか、一本の短編映画を作ることになった二人。
ジュニとギルスは互いのミューズになれるのか?この映画作りがただの気まぐれでも良い転機になっても、どちらの未来でも面白いと思わせる、独特の魅力がある二人だった。

作家・ジュニの一日の足取りの中で、シームレスに出会いと別れが繰り返される様子が面白い。芝居がかっていない無駄の多い台詞で作られる会話の中に、登場人物達の行間が表現されていて見事だった。たまたま他人の会話が耳に入ってきた時のような感覚がずっと続く。韓国語の社交辞令的定型文が分かればもっと面白いのかも知れない。

コントラストの強いモノクロの映像で人物の表情が分かりにくい点や、答えを明確に残さないところは賛否が別れるかもしれないが、観客を「一番近い傍観者」にする不思議な時間がこの作品や監督の持ち味なのだろう。
映画作りを扱った映画ではあるが、モノづくりのサクセスを感じるかどうかは観客の想像次第とも言える。
会話劇の中にある奇妙な連帯や妙な緊張感を体験したい方にはおススメである。

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うぐいす