「【1936年に亡くなったノーベル賞作家ピランデッロの死、火葬、ローマで壺内へ埋葬される様を描いた作品。希望通りにシチリアの海に散骨されるシーンでモノクロからカラーに代わるシーンは、美しい。】」遺灰は語る NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【1936年に亡くなったノーベル賞作家ピランデッロの死、火葬、ローマで壺内へ埋葬される様を描いた作品。希望通りにシチリアの海に散骨されるシーンでモノクロからカラーに代わるシーンは、美しい。】
■1936年に亡くなったノーベル賞作家・ピランデッロ。
「遺灰は故郷シチリアに」と遺言を残すも、独裁者・ムッソリーニは遺灰をローマから手放さなかった。
第二次世界大戦後、遺灰は故郷シチリアにへ帰還することになるが、米軍機に木箱に入れた遺灰を載せると乗客が不気味だとゾロゾロと降り、その後も遺灰が入った壺が消えたりするが、画面はモノクロームからカラーに代わり、漸く遺灰はシチリアの海に散骨される。
◆感想
・ノーベル賞作家でも、生きている間は尊敬されるが、灰になれば尊敬は失われるという考え方を淡々と描いた作品。
だが、作家の遺灰が、希望通りにシチリアの海に散骨されるシーンでモノクロからカラーに代わるシーンは、美しい。
・強いメッセージ性は感じないが、タヴィアーニ兄弟の弟・パオロが兄を失った後に、人の死とは何かを淡々と綴った作品。
・ラストに、ピランデッロの最後の短編「釘」が、カラーで映像化されるが、コレマタ不条理風であるが、子供の時に少女を釘で殺した少年が、少女の墓の前でドンドン老いて行くままで佇む姿が印象的な作品である。
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