「スペインは、世界一の桃輸出国とか」太陽と桃の歌 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
スペインは、世界一の桃輸出国とか
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この作品は、カルラ・シモン監督の第1作がそうであったように、多分にジュネス(青少年)向けの色彩が強い。極めて多くの映画祭やアワードで受賞やノミネートに結びついている。どうしてだろう?
本作品は、スペインのカタルーニャ地方の3代にわたる桃農家に訪れた危機を描いている。経済が発展しているスペインは、同時にEUにあってフランスと並ぶ代表的な農業国、大地が厳しい印象があるが50%以上が農地で、桃の栽培も盛ん、世界最大の桃輸出国とか。見渡す限り、桃の花が咲いている景色をどこかでみたことがある。生産額が増えたのは90年代だから、家族経営から大規模経営に切り替わったのも、その頃だと思う。監督の家は桃農家だそうで、背景は熟知しているに違いないが、一番大変な桃の収穫の季節には限りがあるから、機械化が進んでいるにせよ、家族だけでできるはずもなく、季節労働者やアルバイトを導入せざるを得ない。本作では、太陽光パネルの導入と言う現代風の味付けがあったが、その辺でリアリティの欠如があり、その分ノスタルジックで、シンボリックに、何が起きたのかを若い世代に伝えたいと思ったのでは。百歩譲って、その経過は理解するとしても、映画の冒頭と最後はともかく、その間が非常に長く、私には退屈だった。それが、日本公開まで2年間以上を要した一つの背景か。それでも、この映画を楽しんだ皆さんには、本当に申し訳ないのだが。
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