劇場公開日 2024年12月13日

「忍耐力が問われます」太陽と桃の歌 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5忍耐力が問われます

2024年12月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

さて今回も鑑賞前の(本作の)前情報はほぼゼロ。もしかしたら劇場でトレーラーは流れていたかもしれませんが全く覚えがありませんし、映画.comのあらすじも読まずにサムネイルだけ見て「キッズ(がメインの)映画?」と想像しつつ、ベルリン金熊賞の受賞歴とIMDb評やRottenTomatoesの点数が高いという理由で劇場鑑賞を決めました。公開初日のシャンテ10時50分からの回、二日前にオンラインで予約しようとしたら、いつも自分が選ぶ席が早々に買われおり「これはひょっとして混むのかな?」と思っていましたが、結局は空いていました。。
で観終わり、映画.comのあらすじを確認したところ、がっつり説明してますね。とは言え、ネタバレってことはなくそもそもシンプルなストーリー。ところが、いろいろな観点でストレスを感じる121分の上映時間はなかなかしんどく、観続けるのにはそこそこの忍耐力が問われます。
ちなみにキッズ映画ではなく(w)、ある家族のそれぞれの目線で語られる群像劇。どの目線からも感じる「家族という呪縛」にわかりみが強いだけに本当にイタい。特に、長男で一家の家長であるキメットが兎に角頑固。主に外的な要因とは言え、時間的余裕なく追い詰められて相当なプレッシャーがあることは理解できるのですが、合理と割り切って逃げに出ること良しとせず、また兄弟たちの気遣いから出る意見や、更には助け舟にさえ抵抗して孤立していきます。そして、キメットの長男ロジェーと長女マリオナが、未熟な面はありつつも家族想いであり、本質的にはいい子なだけに更にイライラ。ところがようやくの終盤、溜まりに溜まった妻・ドロルスのある行動が目覚ましく、ここまで耐えてきたことが報われます。そして、そこから間もなくのシュールな終わり方に鑑賞後の余韻が深く残ります。
いやはや、劇場鑑賞でなければ最後まで集中力が保てなかったんじゃないかな。。また別の観点にはなりますが、カタルーニャの桃農園には当然外灯なんてないため暗いシーンは本当に暗い。と言うことで、(配信を)液晶画面で観るのは辛いかもしれません。決して「楽しい映画」ではありませんが、もし興味があれば是非劇場鑑賞をお勧めしたい一本でした。

TWDera