マイ・ブロークン・マリコのレビュー・感想・評価
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永野芽郁の代表作になる
どちらかというと、朝ドラのあのイメージの女優さんが、ここまでの役を演じ切るとは驚きだった。
タバコを吸う仕草や上司に悪態ついちゃうところなど、驚きの連続。
圧巻だってのは、虐待の父親から骨を奪う場面だ。
純粋に本当にマリコを大事に守ってきたんだなと心が震えた。親友という言葉では語れない絆が2人にあった。
海を見せに連れて行く。思い出の中のマリコとの会話。
奈緒演じるこのマリコがまた本当に哀しくて可愛いのだ。
与えられた環境でどう生きるのか、マリコのために日常に戻っていった。2人で生きていくんだろうな。
良い映画だった。
アタシとマリコは生きていく
シイノとマリコ。
二人は大親友。
性格も口調も姉御肌なシイノに対し、マリコはピュア。真逆の方が上手くいく。(例えば、黒澤明と本多猪四郎)
他愛ない話をして、夢を語り合って、悩みも打ち明けて。
学生時代から一緒。これからも。いつか一緒に暮らして、おばちゃんになっても。
ずっと、ずっと。
そんなマリコがある日突然、死んだ。
マリコは父親から虐待を受けていた。
ある時付き合っていた彼氏からも暴力を受けていた。
シイノはその都度力にはなっていたが…。
マリコはアパートから飛び降り自殺。ニュースでそれを知って絶句。
自分は親友を助けてあげる事が出来なかった。
そんな亡き親友の為に、今、自分は何が出来るのか…?
いつか話していた二人で海に行く。
シイノはマリコの遺骨を奪い、親友と最後の旅に出る…。
アパートに乗り込んで両親から遺骨を奪う。
仕事も放っぽり出して。
やってる事はムチャクチャだが、根底にあるのは女二人の美しく、感動的な友情。
…そんな綺麗事だけじゃない。
“親友”と言ったが、確かにそうではあるが、それ以上のものを感じる。もっと濃密な。
一見シイノがマリコを支えているようだが、シイノ自身もマリコに支えられているような気がする。
マリコがシイノに助けられているようだが、マリコもシイノを助けているような気がする。
お互い相手に依存しているようであり、本当に自分にとって、居なくてはならない存在。
自分の一部。身体の一部。心の一部。一心同体のような。
だからこそ見えてくる、明るくてキャピキャピキラキラだけじゃない関係性。
シイちゃんの子供になりたい。
シイちゃんに恋人が出来たら死ぬから。
そのくせ、自分は恋人を作る。
自由奔放、天真爛漫とは違う。何処か“壊れている”マリコ。
シイノの目の前でリストカット。何か無い日なんて無い。
その恋人から暴力。フライパンを振り回してまで守るシイノ。が、会いたいと言われ、会いに行くマリコ。腕を骨折…。
激昂するシイノ。バカじゃないの! ぶっ壊れてるんじゃないの!?
そうだよ。ぶっ壊れてるの。何処から直したらいいか分からない。
父親からは虐待だけじゃなく、性的強要も。
誘った私が悪い。
ピュアだが、儚げで、今にも壊れそう。いや、壊れている。
そんなマリコを、時々面倒臭く思うシイノ。
どんなに仲良くても、相手を煩わしく思ったりする事もある。
相手を本気で思うからこそ、苛立ち、キツくなったりする。
綺麗事だけじゃない、リアルで生々しい感情のぶつかり合い。
だからこそ、胸に迫る。
永野芽郁と奈緒が体現。いや、シイノとマリコとして、そこに存在。
永野芽郁は新境地。キュートなイメージを捨て、足をおっ広げて煙草を吸い、啖呵も切るやさぐれ感。その雰囲気や佇まいにカッコよさすら感じる。
奈緒の今にも壊れそうで、危うくて、繊細で複雑な演技は絶品。ちょっと恐ろしさすら感じたほど。
永野芽郁は普段は煙草を吸わないらしいが、役の為に吸えるよう練習。奈緒も劇中で読まれた手紙は数通だったが、読まれなかった手紙も自分で書く意気込み。
NHKの朝ドラで共演して以来、プライベートでも仲良しという二人。再共演も願っていた。
役作りも役へののめり込みも、やり取りもお互い思い合う様も、ただ演じただけじゃない。本物の感情のようだ。
他キャストはそんなに多くないが、窪田正孝が好演。
ひったくりにバッグを盗まれてしまったシイノの前に、たまたま通りすがった青年。遺骨の番してくれたり、お金を恵んでくれたり、歯みがきを差し入れたりと親切。
「ここ、死ねないんですよ」と、何が訳ありの過去。
「もう居ない人と会うにはあなた自身が生きていかなければならないんでしょうか。あなたの中の大事な思い出とあなた自身を大切にして下さい」…別れ際の彼のこの台詞が素敵だ。
尺は90分弱。その中に、インパクトあるストーリーやメッセージ、テーマ。名作コミックを巧みに映像化。
ハートフルでコミカルな中にシビアさや感動も。
硬軟併せ持ったタナダユキの演出。
思い立った旅の果てに、アタシはマリコの心に辿り着けたのか。何かしてあげられたのか。
またいつもの生活に戻る。クソみたいな会社、つまらない人生。
もうマリコは居ない。その喪失は深すぎる。
ねぇ、アタシはどうすればいいの…?
迷いそうになった時、思い出す。今もまた、手紙を読んでこみ上げてくる。
ずっと忘れないこの気持ち。
アタシが生き続けていく限り、マリコもアタシの中で生き続けていく。
あの頃も、今も、アタシとマリコは一緒。
一緒ならば、きっと生きていける。
歪が故にかたく結ばれたふたりの弔い物語
「もういない人に会うには
自分が生きてるしか
ないんじゃないでしょうか。
あなたの思い出の中の大事な人と
あなた自身を大事にしてください」
マキオのこのセリフがこの作品からの
メッセージだと受け取りました。
だって、後を追っても会えるかわからない。
でも、自分が生きている限りは
記憶の中で会うことができるんだから。
ならば、ともに生きよう。
エンディングにかかる主題歌の「生きのばし」は
まるでシィちゃんが歌っているようで
非常に良かった。
ぜったいあるに決まってんだけど、
マリコからシィちゃんへの手紙、
やっぱりちゃんとあってくれて良かったな…
(かわいらしい役が多い永野芽郁ちゃんのやさぐれがじつに良い。「僕たちがやりました」では幼馴染高校生役だった窪田くんと、世間に疲れ切った大人同士で共演というのもまたコントラストがすごくて面白かった)
生きるって大変
始まり早々号泣。
父親から遺骨を奪う場面、学生時代の友達のあらゆる場面。お互いに思いあってるのに何をしても友達が不幸になっていく悔しさ。
ラストの手紙にはなんて書いてあったんだろう。遺書かなって思ったけど、泣き笑いだったからいつも通りの何気ない手紙だったのかな。
「死ぬのって簡単じゃないんですよ」
男前だぜ!!永野芽郁!
男前でいて繊細な映画だった。
永野芽郁&タナダユキ。
2人のカッコいい女たち。
「ダチが死んだ」
食堂でラーメンを食べていたシイノ(永野芽郁)は
テレビのニュースで
親友のマリコがベランダから転落して死亡したのを知る。
子供時代から親父に虐待され、ぶっ壊れていたマリコ。
直葬されて実家にあるという遺骨。
ドスを仕込んで両親の家へ殴り込み、
遺骨を奪取する。
壊れて死んだマリコを取り戻した。
それまでのグチャグチャの人生に戦い疲れ、
もがき疲弊した愛すべきマリコ。
永野芽郁のやさぐれ感が本物の人生を
生きる人間を感じさせる。
菜緒も、マリコの流されて搾取される弱さ、
人生を諦めた女の儚さを、
実感させてとても良かった。
ブラック企業に勤めるシイノトモヨ26歳。
どんな家族がいて、
どんな人生を生き方をしてきたか?
多くを語らないのがいい。
観客が考える多くの余白が、
半分空っぽだったマリコの
人生を映す。
マリコの「シイノ依存症」
小学生からずうっと20年も、
マリコは頑張ったんだよ!!
ガス欠!!
人生のガソリンが尽きた!!
笑えるシーンが多かった。
遺骨を奪取して2階のベランダから飛び降りる。
そして大きな川を浸かりながら渡るシイノ。
2人の行き先は、海。
マリコが行きたかった「まりがおか岬」
ここからはロードムービーに変わる。
吉野家で遺骨に牛丼を備え
(割り箸を立てる)
そしてしっかり2杯食べ尽くすシイノ。
酎ハイ3杯飲んで酔客に啖呵切るとシイノ。
“どうして相談ひとつせずに、死んでしまった?“
シイノの心は千々に乱れる。
「まりがおか岬」でマリコの亡霊と修羅場を演じ、
遂に遺骨はシイノの手から飛び立つ!!
帰路、マキオから貰った駅弁を、発車前にカッ込む。
腹は減っている。
生きていれば腹が減る。
そして、
《シイノトモヨ、恥ずかしながら、帰ってまいりました。》
・・・戦い済んで、汚いアパートに・・・。
きっと少しだけ逞しくなったシイノは、
マリコの分もこの先、
戦って、負けながらも、
戦って、
生きて行く。
永野芽郁、よかった。
最後の手紙のシーンは、
何書いてあるのか?
一瞬考えたけど、わかるのは、
マリコが、笑顔になる内容だった事だけ。
多分、宝箱の中に入っていた、
メモ手紙を凝縮した様な事だった。
つまり、遺書を読みながら、行きたかった岬への旅をしていたということかな?
生きていく事って、楽しい事と、悲しい事
どっちが多いのかな?
悲しい時、本当に近くにいてくれた人は
多分、一生忘れない。
他人に対して、してあげられなかった事も、
多分、一生忘れられない。
自分が、人生に何を求めるか?
金?地位?快楽?
自分が、本当に求めているものは、
ひとりひとり違うから、違うもの求めて、得たとしても、
幸せになれないって思う。
何を得ても、ないものねだりになっちゃう。
今わかるのは、自分が本当に求めていたものは、
手に入らなかったって事だけ。
それを踏まえて、生きて行くだけ。
絶望も、高望みもせず、
ほのかな希望は忘れずに。
2人の演技が凄い!
永野芽郁さんと奈緒さんの演技が凄かった!
お互いが依存しているように見えました
そして奈緒さんの
わたし壊れてるよ
っていうセリフがとても印象的で
今もその場面が目に浮かびます、、
とてもいい映画です!
ありがとうございました!
いかがわしいの
これは永野芽郁の代表作になるだろうと思われる。クソ上司の電話には出ず、面と向かって暴言も吐くし、一人飲みに出ても大声で亡きマリコの遺骨に叫ぶ。ファンキー、がさつ、怒鳴る・・・と、ちょっとお友達になりたくなる。ただ、同じ服で3日間過ごす彼女には近づきたくないけど。
薄幸の少女マリコと共依存の関係であるかのように親友を続けていたトモヨ。百合ではない。あくまでも助けてもらいたい、頼ってもらいたいといった不思議な関係。トモヨにずっと彼氏が出来ないというのも、なぜか魅力たっぷり。
遺骨を持って海に散骨するわけでもない。両親から骨を奪い取ってやりたかっただけのようにも見える。そして本人の目の前で手紙を書くというキャラも魅力的に映る。言葉に出来ないけど、ずっと一緒にいたい・・・。そんな手紙の束も入ったリュックをひったくられるという事件。ケータイや財布よりもずっと大切なマリコの手紙たち。そしてマキオの登場。しわくちゃの五千円札がまぶしい。
学校に向かわないでバスを降りた女子高生の存在はあざとかったけど、結果は良かった。スカー-ーっとしたよ。そしてエンディングでは多分遺書ではなく通常の手紙を読むシーンで締めくくられるが、普通の映画ならナレーションが入ったりテロップが流れたりするものなのに、シイノトモヨの笑顔だけで終わるという潔さ。この終わり方にもしびれた。
生きて行くシィちゃんの物語
死んだマリコも辛いが、背負って生きて行くシィちゃんももっと辛い‼️
シィちゃん強いですよね〜。
死のうとしても死なせてもらえない。
お腹はすくし、かっこ悪くでも家に帰ってきてしまう。
遺書の内容は描かれてなかったですが、きっとクスッと笑える日常のただのお手紙だったんでしょうか。
不思議とほっこりしちゃいました。
重い内容ながらも、観終わった後、暗い気持ちにはなりませんでした。
マリコは猫を連れて大好きなシィちゃんと一緒に暮らしていくんだろうなぁ。。
がんばれ!シィちゃん!
何故マリコだけだったのかは分からないけど。
マリコちゃんの不幸体質が見ていて痛々しかった。
愛情をちゃんと注がれないと、我慢するし自分が悪いと思い、そこにつけ込むヤツにまた狙われて悪いループに入る。
嫌なら嫌だと言えない関係性は本当の恋人同士じゃないんだけど、途中で本人も分かっててもそういう主従っぽい恋人関係を続けてしまう。で、苦しくなる。そこから逃げる手段の1つに、命を断つことを選択肢の1つに加えてしまう。悲しい。
シイちゃんは吹っ切れてる演技で、さすがブラック企業に居られてしまう強い女子で良かったです!
こんなに無断欠勤を数日続けて大丈夫なのか?と思ったら想像以上に会社のほうが普通じゃないのでお咎めなし。
「迷惑かけたと思うなら辞めずに働け!」
「あ、そこまで迷惑かけたと本気で思ったか?と言われれば。。そーでもなかったかもっす。」
「何ー!仕事しろー2件は取ってこーい!!」
。。もう上司とのやり取りがほぼコント(笑)
最後のマリコちゃんからの手紙、もう少し具体的に内容知りたいな〜というところは少し残念でしたが、シイちゃんは笑顔にもなっていたので、何かしら納得出来る内容が書かれてあったのだろうとは思いました。
あと、マリコにはシイちゃんしかいなかったのはよく分かるけど、シイちゃんにもマリコだけだった理由がよく分からなかったのでそこの脚本は残念でしたが。。
行動力のある強い主人公を演じ、『地獄の花園』『そして、バトン〜』でも見ていた永野芽郁ちゃん、かっこ良い社会人女性で良い演技でした!!お弁当を頬張る時、口で割りばしをくわえたまま箸を割るところが何かカッコ良かったです!(笑)
ラストシーンがいい
ハピネットファントムらしい、ぶっ壊れたストーリー。
清純派の代表格のような永野芽郁がリミッター外してやさぐれ女を怪演。
そして、壊れた女を演じさせたら現在ナンバー1だと思う奈緒が見事にアシスト。
そして、ラストシーンが秀逸。
そこまでマリコからの手紙を読む場面では全てナレーションが入っていたのに、最後の手紙だけは敢えてナレーションを外して観客に文面の想像を託して終わるなんて、なかなか粋な演出だな、と思った。
タバコと手紙と遺骨と共に生きていく❗️
幼なじみで親友のマリコ(奈緒)の遺骨とシイノ(永野芽郁)の奇妙な2人旅のお話。勝手に逝ったマリコの為に、行きたいと言っていた「まりがおか岬」を目指す。登場人物が少ないので、マリコとシイノの関係性に集中できる。2人は友情を超えてお互いが依存し合う関係だったのではと思う。父親に虐待されて育ったマリコは精神を壊してしまうが、シイノだけが心のよりどころであり、手紙を書くことで安定を保っていたんでしょう。それとは真逆のシイノは中学生の頃からタバコを吸い、ガラの悪い女の子。そんな2人の友情が胸を打つ。
旅の途中で出会うマキオ(窪田正孝)が、まるで心理カウンセラーのようにシイノの心に刺さるんです。彼もまた心に傷がある人だったんだろうな。良い人との出会いでした。
ラスト何も言わないで逝ったマリコの遺書がシイノに届いた時は泣けたし、良かった。
今作の永野芽郁さんのガサツな役は見所十分。足を開いてタバコをふかす。前半で鼻から煙を出したのにはビックリ⁉️奈緒さんのメンヘラ感満載の演技も流石でした。窪田正孝の声は耳に残る俳優さんで好きだ。吉田羊さん贅沢にちょい役で使いましたね。85分という短さがちょうど良いスカッとした作品でした。
生きのばし
普段はなかなか公開日の朝に映画を観ることは無いんですが、面白いくらい目覚めが良かったので勢いそのままに鑑賞。
85分という短さに負けることなく、簡潔に物語をまとめ、起承転結もしっかりしていた良作でした。
内容をざっくり解釈すると父親に近親相姦、虐待を受けた過去のあるマリコ、そんなマリコがとある日自殺してしまった。そんなマリコの遺骨と共に思い出の地を巡る異色ロードムービーでした。
シイノトモヨのキャラクター像はとにかく荒ぶっていて、真っ直ぐにしか物事を見れない不器用さが漂っていました。そんな彼女が唯一信頼をおける相手・マリコの良く言えばピュア、悪く言えば面倒くさい性格と相反していたり、どことなく近い関係性なのも設定上とても良かったです。永野芽郁さんと奈緒さんの熱演が光っていました。そして両者の中学生時代を演じたお二人もお見事としか言いようがない演技でした。マリコとトモヨをそのまま小さくした感じが滲み出ていて思わずにんまり。
窪田正孝さん演じるマキオの胡散臭いながら実は見返りを求めない優しさがある人が作品に絶妙なスパイスを加えてくれていました。場面ごとに言ってくれる"大丈夫"が嘘くさくなく自然と出てきた言葉として、とても良いワードだなと思いました。終盤まで保ち続けた緩い雰囲気も素晴らしい。
残されたものとしての見方ではなく、生きているものとしてどう生きるか?という問いを投げかけられている感じでした。自殺してしまったその人の分も背負って。という考えではなく、その人に会うために生きるという価値観にとても共感できました。
思っていたほどのインパクトが無かったのは残念でしたが、テンポ良く進む物語はとても良いです。終盤の弁当を食べるシーンは食べるものが映ってないのに美味しそうに見えたのが最高でした。
鑑賞日 9/30
鑑賞時間 9:00〜10:35
座席 L-6
原作より解釈が明確になったラスト。
唯一の親友だったマリコの遺骨と共に
シイノが叶えようとするささやかな2人の夢。
面倒臭いと感じながらも
惰性や諦めの存在しない友情。
遺骨を盗もうとまで覚悟させる友情。
個人的には2人の関係が破綻しないまま迎えた
マリコの最期はある意味幸せだったのでは?
原作ではもう少し曖昧だったラスト。
映画版では少し具体的になり、
それにより解釈が180度変わりました。
シイノのその後の人生すら左右する
とても重要な事実。
それはマリコの死が自殺か事故か?
明確な理由は描かれませんが
遺書のような内容ならあの笑顔はない。
勝手な解釈で劇場版のラストも支持します。
頭からしっぽまで永野芽郁
監督のこだわりなのかどうか、わざとらしい構図のカットがちょっと気になった。
永野芽郁と奈緒、窪田正孝など俳優陣の演技が素晴らしいので、逆に演出や脚本のアラが目立つのかな。吉田羊が演じたようなおばさんって、いるよね。
それにしてもひったくり犯のくだりが不自然極まりない。
ほとんど人通りのない田舎道で、犯人は獲物をずっと待ってたんだろうか。それとも衝動的に犯行に及んだのだろうか。翌日なぜか少女を追いかけるひったくり犯。さらにその少女はシイノがバスで出会った少女だったというご都合主義。さらに、女性のシイノが軽い骨壺で殴っただけで、ヘルメットを被った犯人が吹っ飛んでしまうという、これまたご都合主義。
…と、まあ、アラを探せばいろいろあるが、無駄な描写を省いてストーリーがテンポよく進むのはよかった。
あと、永野芽郁ちゃんをずっと見てられるのがいちばんよかった。
モーニング 釣り&歯磨き
シナリオは嫌いではないです。
初めに親友の死の知らせを聞き、生前「一緒に行こう」と話したまりがおか岬に行くまでのシーンに、親友とのエピソードを入れ、回想していく構成。
久保田正孝さん、良い役しています。口数少ないですが、彼が永野さんにかける一言がじんわりと染み入ります。
ただ、主人公の行動や、敢えて独り言のように口に出すセリフはなんだか嘘くさく感じてしまって残念。
それでもラストのブラック企業~労基の流れは思わず笑ってしましました。
原作が好きだからこそ、
情景がより深くまで見え、だからこそ余計に良く見えたのかもしれないが。
奈緒さんがひたすらに良かった。
原作を読んでイメージしていたマリコそのものだったように思う。
原作は一巻以内に収まるほどの短編で。やはり実写化するならこれくらいの短くも中身の濃ゆいストーリーを、原作に沿って忠実に再現するのが最も良いように思う。
自分の中ではすごく丁寧に描いてくれていたと感じ、嫌悪感は一度も抱かなかった。
そしてやはりストーリーが素敵だなと再認識。
自分の大切な人を重ねると、涙が止まらず終始号泣していた。
最後の手紙のシーンも素敵だった。
永野さんはどうしても人柄の良さが出ていたけれど、それがあんなに面倒くさいマリコを大事に思っていたシイちゃんの人間味に繋がっていて良かった。
頑張ってる永野芽郁を見れた
テレビドラマに出ている永野芽郁を見てると、
まあ、アイドルに毛が生えたような感じがしたが、
この映画ではもう一歩女優として踏み出している感じがして
好感が上がった。
ちょっとやさぐれた感じといつもの永野芽郁が交錯している感じで
きっと数年もすればもっといい味が出せるのではないかなと思った。
映画の内容は微妙にコミカルな設定であるにも関わらず、
虐待→自殺という思いテーマを扱っていて、何となくアンバランスな
感じがしたかな。
これは僕がいつも感じていることなんだけど、
漫画でない限り、主人公の一人語りは自分に酔いしれている痛い人という
印象が拭えないのであまり好きじゃない。だって、どんな辛い状況でも、
一言二言独り言を言うことがあっても、長々と一人喋りをするなんて状況、
幻想でも見てない限りないと思うんだよね。
まあ、トモヨには見えてたってことなんだと思うけどね。
それに状況を説明しすぎな感じになっちゃうじゃない?
別に窪田や両親に吐露すると言う設定でも良かったわけだし。
なんかマリコは子供の頃は父に虐待を、大人になっても彼氏にDVを、
そして自殺。して何一つ救われないドラマトモヨに最後手紙が来て何か
嬉しいことが書いてあって、トモヨ的に何か救われる思いがあったのかもしれないけど、
根本的には単に不幸になるために生まれてきた女性の自殺という何も解決しないのが
スッキリしないかな。
別にトモヨがまりこのお父さんを殴ったところで何も解決はしないんだけどさ。
トモヨは遺骨を奪って逃走して、
そのさきに何があったのか?散骨とは違う形で海に遺骨を撒き散らし、
それを悔やむわけでもなく、なんか結局平凡な日常が待っているという
ある意味リアルでけど、物語としてどうなのか?という感じがした。
これは全体通してそうなのだが、マリコとの思い出を各場所で挿入していくが
全てが悲しい思い出て最後まであげる部分はなく何となく終わった感があり
物語としてはあまり評価しづらいかなと思った。
なのでストーリー★2.5、永野芽郁★1合計で★3.5
ジワジワと、よかったな〜、と思える作品
永野芽郁主演です。まあ、ほぼそれだけで観にいきました。「俺!物語」の実写映画でヒロインを演じた頃から気になって、「ひるなかの流星」って、ベタベタな少女漫画原作のヒロインで、おぉ〜これはいい!、と密かに推していました。そうこうしていると、朝ドラヒロインになって、すっかり有名になりましたね。
「君は月夜に光り輝く」って、これまたベタベタな恋愛映画もありましたね。どんなストーリーかは忘れましたが、要は「セカチュー」ですわ。「わたすい」「君嘘」と言ってもいいかな。残念ながら「きみつき」みたいに略語が出来るほどヒットしませんでしたがね。
さて、映画の方ですが、なかなか面白かったです。やさぐれOLのトモヨは、ニュースで親友のマリコが自殺したことを知る。毒親の家庭で育ったマリコ、トモヨはそんな親からマリコの遺骨を奪い、生前に行きたがっていた岬を目指す。
所謂ロードムービーで、登場人物もトモヨと、回想シーンでのマリコ、と岬で出会う男の3人ぐらいしかいない。まあ遺骨と二人が中心なので、独り言かモノローグが多くなる。ならば、漫画にすれば良いのに、と思ったら漫画原作でした。Kindleで速攻で買い、短編なのであっという間に読めます。
原作を読んで思うのは、映画の方も、もっと構図を凝ってみても良かったかも。原作の良さってテンポなんですよね。映画は丁寧な分、モサッとしているかな。「まりがおか岬」へ行こうと思い立つカットも、泣かせたいのは分かるが、もっとトモヨの思い立ったら即行動の
機敏さを出した方が良かったかも。
最後のマリコからの手紙に何が書いてあったのか?映画でも原作でも語られていません。ただ、トモヨはマリコからの手紙を読んで、納得した終わりになっているので、本編からの流れに沿った解釈で良いんじゃないか、と。
たぶん「生まれ変わってシイちゃんの子供になるね。だから佳いひとを見つけて幸せになって」ではないか、と。ハッピーエンドに振り切るなら、こういう救いのある解釈にしたいですね。
永野芽郁ですが、この役どころには合っていたと思います。元美少女のやさぐれOLってのがポイントですからね。でも、こういうドスの効いた役が似合うか?と言われると、美少女枠で言うと、そこは橋本環奈の方が向いていますかね。
菜緒のぶっ壊れた感じは良かったです。彼女の拗らせ系の演技は上手かった。パンケーキ屋のセリフも、途中から肩を落としリラックスして「私はただシイちゃんが心配してくれればいいの」と上目遣いで語る、ここは上手いな〜と。
全てを語らず、読者に解釈を委ねる感じの原作だったので、映画オリジナルをもっと入れても面白かったかも。私なら菜緒のマリコをもっと掘ってみますかね。
父親や交際相手からDVを受けまくってトモヨしか心を許せる相手がいないマリコ。では何故マリコに黙って自殺したのか。助けて欲しいというメッセージは無かったのか。そのあたりを掘り下げたいかな〜。
映画の監督さんは逆で「これはトモヨの葛藤の話だから」という感覚だったようです。なので、マリコの本心は分からないまま、トモヨ目線だけで作品としています。これはこれで正しいんですがね。
気づくと結構、感想を書いてしまった。観た直後は「駄作ではないが、なのが引っかかるのだろう」って程度の感じでしたが、後からジワジワと楽しめる佳い作品でした。
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