マイ・ブロークン・マリコのレビュー・感想・評価
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大丈夫そうに見えます
大好きな永野芽郁が小汚い役をやるなんて聞いたら、興味が湧かないわけがありません。しかも、予告はたまらなく面白そうだし、尺短いし、監督は「浜の朝日の嘘つきどもと」のタナダユキ監督だし、楽しみ要素満載。割と期待していたのですが、想像以上にパンチが強く、いつの間にかノックアウトされていました。面白すぎるぞ、この映画...。
とりあえず語らせてくれ、この女優について。
「君は月夜に光り輝く」「そして、バトンは渡された」では観客の心を揺さぶる名演技を、そして「仮面病棟」「地獄の花園」では新境地をみせ、女優としてのスキルを確実にレベルアップさせてきた永野芽郁。
そして本作では、死んだ友人の遺骨を親族から奪い去り、共に旅に出るというかなり変わったシイノという役を演じています。これが、ヤバい。清純派女優は捨ててきたよう。酒を飲み、タバコを吸い、生意気で、下品で、口が悪い。今までの永野芽郁からは考えられないキャラクター設定なのにも関わらず、彼女はこのシイノという役を熱演。なんかもう、憑依。これまで、どんな感じだっけ...と過去作の演技を思い出せなくなるほど、とんでもないものを披露。まじ、二重人格なんじゃないかってくらい人が違う。でも何故か、この役は永野芽郁にしか出来ないと思うほど、めちゃくちゃハマっている。心奪われるどころか、全身全て持ってかれそうなくらいでした。ちょっと、この女優大好き過ぎる。。。
そもそも、この85分という非常に短い間の中で、ここまでマリコ(奈緒)とシイノというキャラクターの人物像がしっかりと描かれ、魅力が溢れ出ているのに、衝撃を受けたよね。なんでこんなに感情移入出来てしまうのだろう。そして、なんでこんなにも愛おしいキャラクターなのだろう。雑で適当で汚いけど、真っ直ぐでひたむきで正直で、なにより友達思いなシイノの性格に、自分でもビックリするくらい心打たれました。こんな友人が欲しい。こんな友人のそばで生きていたい。
演技、キャラクター設定、と来て、次に最高なところは疾走感。走って、走って、追いかける。テンポの良さも異常だし、話の展開にも無駄がない。主人公の駆け抜ける姿を見ていると、画面越しに冬の冷たい風が感じられるほどなんだけど、決して中身が無いわけではなく、それどころかどのシーンも印象に残るくらい、ワンカットごとのこだわりがすごい。短くて、テンポよくて、濃厚。こんな最高なことあります??
「川っぺりムコリッタ」「アイ・アム まきもと」そして本作と、遺骨をテーマにした作品が相次いでいますが、個人的には作品自体の面白さといい、遺骨への向き合い方といい、今作が群を抜いてベスト。あの2作品のような向き合い方もいいなぁと思いましたが、もし自分が死んで遺骨となった時にってことを考えると、話し相手となり、共に旅をし、今までと変わらず友達のように接してくれるという本作のように扱われることが、どれだけ幸せかと。1番リアルだけど、1番夢がある。死んでからもめちゃくちゃ楽しい人生。主人公と全く同じ状況に立たされたら、こんなこと出来るはずがないんだけど、自分が死んだ側ならこんなことしてくれるなんて幸せ以外の何物でもない。
窪田正孝が謎の優しい人ってのもめちゃくちゃ良かったし、永野芽郁が色んな人に毒を吐くのも超スカッとした。いいセリフもたくさん。こんなに笑えて、こんなに泣ける映画、いつぶりだろう。もっとエピソードが欲しかった、もっと見たかったという思いでいっぱいだけれど、これはこれでも大満足。10月2本目にして、最高の作品と出会えました。この衝撃を、ぜひ劇場で。
不思議な感覚に落ちた
役者陣の演技を堪能
2022年劇場鑑賞225本目。
表情の演技に定評のある永野芽郁主演に、自殺した親友を奈緒、名乗るほどのものじゃない人役に窪田正孝がそれぞれシーンを引き締めます。声の演技はちょっとそこまでじゃないのでアニメの声優だと永野芽郁はちょっとあってなっちゃったんですが・・・。この映画は永野芽郁演じるシイちゃんをずっと眺めていられます。喫煙者嫌いだし、この映画のためにわざわざ煙草吸う練習(ニコチンフリーらしいですけど)させられたと思うとそこだけ不憫ですが、後半だんだんそのシーンもなくなっていくことからも意味のない喫煙ではないので許容。
窪田正孝もかっけぇなあ!という感じでしたし、上映時間もちょうどよくダレる間もなく終わっていい作品でした。
この後マリコに近そうな役を「母性」ですぐ見られると思うと感慨深いものがありますね。
俺だって救われますよ、こんなの。
受け止め方次第で世界は変わる
亡くなった親友の遺骨を"強奪"するために窓から飛び降りる衝撃的予告。完成披露試写会で見せた永野芽郁ちゃんの自信も相まって、公開を待ちわびた一作。
何度も手を差し出した親友の予期せぬ死に対する「なぜ」という思い。しかし本作では、その死を「どう」受け止めるかに焦点を当てている。
印象的な場面は、やはりシイノ(芽郁ちゃん)がマリコ(菜緒さん)の遺骨を奪い取るシーン。
最終目的を成し遂げるため、取り繕ってマリコの実家に"侵入"するシイノ。遺骨を前にうなだれる父親に震え上がる。実の娘を虐げ被害者面している彼に対する怒りはもちろん、親友を亡くした悲しみと救えなかった自責、衝動的な行動へ突き動く感情の高ぶりなどを纏わせる、罵倒にも近い捨てゼリフは、まさに心が震える。
沸き上がる感情を詰め込んだ表現力に、涙が零れ落ちたのは久々の感覚だった。そして、あの短時間で威圧感たっぷりの眼光を見せつけた尾美さんも素晴らしかった。
ふたりの絆を深めるラストカットも見所。「なぜ」をあまり知りたくなかった自分は少し安堵。普段のとりとめのない話題だったかもしれないが、それはふたりにしか分からない。シイノ(芽郁ちゃん曰く自分3割)の豊かな表情にも注目だ。
菜緒さんも6月に舞台を観に行った大好きな演者。朗らかで脆さ漂うマリコを好演した。細かい点だが、回想シーンのセリフを映像より先出しする編集も好み。
遺骨を傍らに携えた"二人旅"を終えた現実世界は、何倍も強く健やかだ。亡き親友と共に生きる決意を固める疾走感あるショートトリップを、ぜひ大スクリーンで。
※上映後舞台挨拶つきの観賞。取材なしのリラックスムードでこぼれ話を拝聴できました。
リハに強かった日本製線香花火が、本番では中国製に取って変わられたエピソードが面白かったです。笑
キャッチ・ミー イフ・ユー・キャン
原作は購入、読了していたので
映画化されると聞いて楽しみにしていました。そして本日観賞。
「単行本一冊を映画にするって時間的に展開が延ばされてしまう?」と懸念していましたが
上映時間はおよそ90分なので無駄な追加要素はほとんどなく、むしろ原作でアッサリ流された部分のシーンを追加しているのでありがたい。
なにより90分は見やすい。
中身も個人的には満足。
上記にも書いたようにムダな引き延ばしがほとんどなく、イイ原作をちゃんとしっかり映画化してくれた、という感じ。
中身が良いから話題になったのに
映画化するとなると
監督や脚本家が張り切ったりお偉いさんが口挟んだりして中身が変えられる→中身が崩れて駄作になる、なんて事も多いので
今作はその観点からもこれまたありがたい。
演技の面でいうと
特にマリコと中学生時代のトモヨ、
この二人の演技が素晴らしく思えた。
窪田さんは野暮ったい格好しててもイイ男がにじみ出てる。
永野さんのガラ悪い演技珍しすぎて面白い。ちょっと似合わない所も含めて。
全体的に満足しましたが
ただ気になった事がなかったワケではない。
主人公の独り言が多い。
いや、正確に言えば多い事が問題じゃない。
独り言が多い人は家だろうが一人だろうが本当によく喋る。自分もその一人。
ただ独り言にしてはハキハキしすぎている。そこだけ舞台のように感じた。
現代のマイクなら小さい音でも拾ってくれるのでもっと独り言らしくボソボソと、なんなら観客が聞き取れるか微妙なレベルでもいいから声量や滑舌など気にせずに喋ってくれれば更に良かったな、と感じた。
まぁそこ差し引いても全然満足しました。
ワイルド永野芽郁
俳優さんたちの演技力を信じて、説明的描写を割愛した脚本なのだと思います
原作でどう描かれているのか、まったく知らないのですが、この映画では、次のようなことは具体的には描かれていません。
①マリコは児童養護施設に引き取られていないので、父親の虐待は、児童相談所に通報されるような傷が目立つようなやり方はしていないのではないか。つまり、それだけ父親は狡猾さも持ち合わせたモンスターである。(映画の中では、かなりキズやアザが目立っていましたが)
② 回想シーンでは、マリコは学校に普通に通えていたように見える。ということは、虐待の気配を感じながらもご近所や学校は見て見ぬふりをして問題の表面化を避けてきた。
③そのような過酷な境遇にいるマリコを、きっとトモヨだけが無視することなく友達で居続けた(トモヨ自身がマリコ以外の他人とはうまくやっていけなかったのだとしても)。そして結果的には、イジメっ子たちからも守ってきたのではないか。
クソ先生ども、クソ父兄ども、クソクラスメートども、という感じで。
モンスター父との闘いやマリコを取り巻く悪意や無関心(見て見ぬ振りをすることも含めて)との勝ち目の無い闘い…そういうトモヨの〝無鉄砲〟ともいえるクソ人間どもへの反発心が、読む者、見る者の共感を誘うのだと思います。
これらの描写を映画のストーリーの中ではくどくどと見せない。
この映画は、説明的な描写は敢えて控え目にして、永野芽郁と奈緒という、この作品のキャラクターになり切れる稀有な表現力を持つ女優ふたりにそれらの背景説明まで委ねてしまったのだと思います。
奈緒さんの悲しい笑顔が出てくるたびに泣いてしまうし、永野芽郁さんが、セリフ以上に雄弁な表情や仕草で必死に抗う姿に震えるほど感動してしまいました。
ついでみたいで恐縮ですが、窪田正孝さんの静かで説教臭く無い〝大丈夫〟もとても良いスパイスでした。
あのブラック企業のクソ上司も、ラストのほうの描き方からすると、意外と〝ただのクソではない、実はいい奴〟な感じがして、なかなか良かったけど、あの会社、いったい何を売ってるんだろう?とても気になります。
やっぱり永野芽郁
最初、このシーちゃんは永野芽郁の役かな?と思ったけど、いや永野芽郁じゃなかったらもっと重く暗くなってたろうし、永野芽郁だからずっと観てられたから、やっぱり永野芽郁だ。
タバコ吸う永野芽郁もいいな。
叫ぶ永野芽郁もいいな。
大丈夫に、見えるな。
やっぱり永野芽郁はいいな。
マリコは奈緒以外考えられない。
窪田正孝も良かったし、鬼畜父親が気の弱そうな尾身としのりなのも良かった。
ふたりの子ども時代の女の子たちもすごく良かった。
俳優さんたちがみんなこの人でなければ、って思えるほど好演してるのは、俳優さんたちの演技力は勿論だけど演出の力が大きいんだろう(川っぺりムコリッタの時も思った)。
演出にも演技にもすべてにおいて熱いものが感じられる作品でした。
(それ、とはえらい違い)
確かな手応え
予告編から永野芽郁が飛ばしてました。
シイちゃんが増えるといい
トモヨとマリコの関係性が素敵な一本
<映画のことば>
「何かがあって、この町に来たのかも知れませんが、ヤケになってはダメですよ。風呂に入って、よーく寝て、ちゃんとメシを食わないと。人間、ろくなことが考えられなくなります。」
「そりゃあ、そうかもね。」
「ご自分のこと、大事になさって下さい。」
<映画のことば>
考えたんですけど。
もういない人に会うには、自分が生きてるしかないんじゃないでしょうか。
あなたの想い出の中の大事な人と、あなた自身とを、大事にしてください。
父親の再婚相手が届けてくれたのは、トモヨに宛てたマリコからの最後の手紙だったのでしょうか。普段はチャット並みの早さで既読になるはずのLINEは未読のままだったことと思いますけれども。思わぬところから「返信」があったということのようです。
遺書にも代わるようなその手紙を読んで、その内容に笑むことができるほど、トモヨとマリコとは親(ちかし)いというか、気のおけない、ざっくばらんな付き合いだったことが、偲ばれました。評論子には。
その関係性に、胸が熱くなるのを禁じ得ません。
トモヨは、きっと、その思いを胸に、したたかにマリコの分まで生きていくことでしょう。今も。これからも。
そんなことにまで思いを致してくれた本作には、評論子には、充分に秀作としての評価が当てはまりました。本作は。
(追記)
もちろん、本作のモチーフはマリコという女性とトモヨという女性…二人の女性の関係性にあることは疑いがないのですけれども。
しかし、マキオは、意外と重要な役割を果たしているのかも知れないと思いました。本作の中で。評論子は。
(評論子が本作の中から拾うことのできた「映画のことば」は、奇しくも、どちらもマキオのセリフでした。)
つかぬことを言いますが、本作のマキオは、実在したのでしょうか。
人物としては、一応は描写されてはいるのですけれども。映画作品としての本作の中で。
しかし、案外にマキオは、トモヨの自問の(架空の)相手だったと、もし仮定したら…。
トモヨ自身の思考の反芻として、自然に、これらの「映画のことば」が拾えたように、評論子には、思えてなりません。
そんな点も、観終わって、評論子には印象的な一本になりました。
登場人物皆が痛々しい
自殺した親友の遺骨を毒親から奪って逃げるという強烈なストーリーに独特な空気感。
シイちゃんもマリコも登場人物みんなが痛々しい。共感できるわけではないのにセリフや行動がなんだか刺さるしぎゅっとなった。
子どもの頃からやさぐれてたシイちゃんとメンヘラのマリコ。2人を演じた永野芽郁と奈緒もよかった。奈緒ってなんでこんなにメンヘラ役が上手いんだろう(笑)
永野芽郁が不器用な「おっさん女子」を熱演
永野芽郁の演技力
自分の弱さをなすりつけられた彼女とその人に寄り添う人の物語
身近な人が死んだときにもう一度見たい映画
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