「笑顔の秘密」オードリー・ヘプバーン 市川謙一さんの映画レビュー(感想・評価)
笑顔の秘密
ヘプバーンのあの妖精のような魅力はどこから来て、どこに向かい、どのように最後を迎えたのか。そのことが、多くの写真、出演作品シーン、息子、孫、友人、映画監督などの証言によって、徐々に浮き彫りにされてゆきます。
いかに世界的な名声に恵まれていても、お金があっても、どう生きるのかを決めるのは、外部から与えられた幸運にはあまり関係がなくて、幼少期に形成されたその人のコアな部分なのかもしれません。彼女の場合はそれが、たまたま、大好きだった・・でもついに得られなかった遠い愛情の記憶だったり、戦時中の辛い経験だったり、なりたかった自分のイメージだったりしたのだろうなと思いました。
初見のプライベートフィルムや写真もたくさん使われていて新鮮でしたが、その多くがあのフィルムに焼き付けられた魅力的な笑顔と同じ笑顔でした。利他的な心を持つ人の素な笑顔。それがそれを見る人の心に焼き付く秘密なのだと思うと同時に、少し切ない気持ちにもとらわれて、胸が熱くなりました。
オードリー・ヘプバーン。やはり不世出のスターなのだと思います。
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