「知っているようで全く知らなかった「オードリー・ヘプバーン」という「不朽の女優」の人生における「素顔」が見える作品。」オードリー・ヘプバーン 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
知っているようで全く知らなかった「オードリー・ヘプバーン」という「不朽の女優」の人生における「素顔」が見える作品。
「オードリー・ヘプバーンを知っているか?」と聞かれたら、殆どの人は「YES」と答えるでしょう。
私もその一人でしたが、本作を見て、「実は何も知らなかった」と思いました。
オードリー・ヘップバーンといえば、何といっても「ローマの休日」という映画でしょう。
ただ、これは1953年の映画で、今から70年も前の作品です。
2022年5月13日に「ローマの休日」が日本テレビ系列の「金曜ロードショー」にて放送されます。70年前の映画をプライムタイムで放送するのは英断と言えますが、やはり「不朽の名作」ということがあるのでしょう。
この「不朽」という言葉が「オードリー・ヘプバーン」という女優にはそのまま当てはまると思います。
まるでアニメーション映画のキャラクターのように、いつまでもアイキャッチな朽ちない存在で記憶に残り続けているのです。
そして、ハリウッドの黄金期に、これほど大成功した人もマレです。
「ローマの休日」は、24歳で初めてハリウッド映画の主演に抜擢され、それがアカデミー賞で主演女優賞受賞に輝くという、これ以上ないシンデレラ・ストーリー!
その受賞年の1954年に、舞台で共演した俳優メル・ファーラーと結婚(メル・ファーラーは4度目の結婚)。
その後もヒット作を連発し、中でも名曲「ムーンリバー」が生まれた「ティファニーで朝食を」(1961年)も有名です。
このような輝かしい事例は知っていても、「ハリウッドで大成功=実生活ではゴージャスで浮世離れ」というイメージがあり、私生活には興味がなく、これまで「オードリー・ヘプバーン」を知ろうとは思っていませんでした。
ただ彼女が1993年に亡くなり早30年といった月日が流れていて、ようやくオードリー・ヘプバーンの知られざる素顔に迫ったドキュメンタリーが登場しました。
そもそも両親がいわゆる「貴族」という、想像を超える話から始まります。
そして10歳の1939年には第二次世界大戦が始まるなど、かなり厳しい幼少期が語られます。
その後、シンデレラ・ストーリーを挟みますが、オードリー・ヘプバーンの私生活は想像に反して堅実で、「愛情を与え続ける人」という意外な素顔が描き出されていきます。
家族を優先するため映画業界をスパッと去ったり、「国際連合児童基金(ユニセフ)」の慈善活動に取り組み続けるなど、かなり意外ではあるものの一貫性もある素顔が映し出されているのです。
今なお世界中でアイコンとして愛される理由が本作を見て深く分かった気がします。