「悲鳴は続くよ、ファンの声に応えて」スクリーム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
悲鳴は続くよ、ファンの声に応えて
今年も多くの名作や大ヒット作の新作がカムバックするが、その中に混じってしれっとコイツも。
『スクリーム』!
『最終絶叫計画』じゃないよ。
シリーズの遍歴と犯人と私。
『1』。
ホラー映画のあるあるを逆手に取った新感覚のホラー。フレッシュなキャストも魅力。
犯人は覚えてる。
初鑑賞はレンタル。何度も見た。
『2』。
続編なので続編あるあるネタ。
犯人は覚えてる。
初鑑賞は劇場。何度も見た。
『3』。
一連の事件が映画化され、ハリウッドあるある…というよりパロディー的。
犯人は忘れてた。
初鑑賞は劇場。『1』『2』ほど見ていない。
『4』。
シドニーが帰郷し、再び惨劇が起きる…そんな話だったような。
犯人は辛うじて覚えてる。
初鑑賞はレンタルかWOWOW録画。一回しか見てない。
今回はシリーズの定石、ホラー映画ネタを踏まえつつ、流行りのリブート/新シリーズあるある。
ホラー映画はシリーズを重ねる事に劣化していくが、本作は見事、『1』の次に面白かった。
原点回帰を目指したようで、特に『1』との繋がりは濃く、見る前に『1』を思い出すか、見直すかお復習しておいた方がいいかも。
となると、犯人は…?
かつて惨劇が続いた町、ウッズボロー。
あれから25年。一人の女子高生襲撃をきっかけに、連続殺人事件が発生する。
かつてと同じゴーストフェイスのマスクを被った何者かの犯行。
被害者はかつての事件関係者。
最初の被害者、女子高生タラの姉サムもその渦中に。実は彼女は…。
『スクリーム』のお楽しみであるマニアックな映画ネタは、やはり今回もニヤリなお楽しみ要素。
先に述べた通り、リブート/新シリーズあるある。
ファンの声を聞かず、オリジナルのスピリッツも無視した巷に溢れる失敗リブートの氾濫。
そんなのはシリーズとして認めない。
リブートとは、ただの新シリーズではなく、オリジナルをなぞり、リスペクトし、新たな要素や展開を広げる。
オリジナル・キャストのカムバック。
ファンの声を聞け!
本作はオリジナル第1作同様、実にユニークな作り。これなら犯人も不満ナシ…?
劇中では『スタブ』シリーズの前作となっているが、『ナイブズ・アウト』の監督が手掛け、シリーズのファンから酷評を受けたって、あのスペース・オペラ…?
他にも様々な映画をネタにした皮肉やブラックな笑い。
ホラー映画なので、特に昨今のホラー映画に対して。
タラの好きなホラー映画は『ババドック』。私も見た事あるが、これを挙げるとは通!
他に『イット・フォローズ』や『ヘレディタリー』や『ウィッチ』。
派手な効果音やこけおどし演出に頼らず、ドラマ性のあるホラー。
でも皆さん、電話が掛かってきて好きなホラー映画を尋ねられた時、間違っても高尚なホラー映画を挙げちゃダメ。
そんな退屈なホラーはホラーじゃない。
ホラーは、
血!殺し!スラッシャー!
電話が掛かってきて少女が殺人鬼に襲われるお馴染みの冒頭シークエンス。
展開も事件の背景も犯人予想も第1作をなぞっていく。
第1作をなぞり、再びウッズボローで惨劇が起こったとなれば、カムバックしない訳がない。シドニー=ネーヴ・キャンベル、ゲイル=コートニー・コックス、デューイ=デヴィッド・アークエットのオリジナル・キャストの出演。さらに、まさかのアノ人物が意外な形で…!
勿論、フレッシュな新キャストたちの物語でもある。個人的に『スクリーム』シリーズはブレイク期待の美少女スターもお楽しみ。
今回も例外ではなく、ヒロインのサム役のメリッサ・バレラ、妹タラ役のジェナ・オルテガ、友人役のマイキー・マディソンら目移りしちゃって困る。
登場人物の一人の名が、ウェス。EDでは追悼コメントが捧げられ、ウェス・クレイヴンへのリスペクト。
新旧ファン納得の作り。マット・ベティネッリ=オルピンとタイラー・ジレットの俊英コンビの手腕も上々。『レディ・オア・ノット』もチェックせねば。
本当にこれなら監督コンビは犯人に殺される心配は無い…?
シドニーも家族関係にトラウマあったが、今回のサムも。
サムの家族の秘密は、衝撃。何故なら…
シドニーの元恋人で第1作の犯人、スキート・ウールリッチ演じたビリーの娘。
今回の事件が起きるまで、ウッズボローを離れ、妹とも疎遠だったサム。
その理由が、それ。殺人鬼の娘。
こんな小さな町ではすぐ噂になる。
妹の心に傷を付けたくない。
妹の事を思って敢えて疎遠にしていたのだが…、その気持ちは妹に伝わらず。
ラストも試される。妹か○○か、どちらが犯人か…?
この姉妹のドラマはシリーズの新味であった。
犯人予想は徐々に限られ、やはりであった。
第1作をなぞるなら…。それと、冒頭のある映像がフェイクだとすると…。
にしても今回の“犯人たち”はイカレ映画オタク。
自分たちで完璧なシリーズ新作を作る。
映画ファンなら少なからず分からんでもないが、でもやっぱ犯行や動機は理解出来ない。
映画ファンが皆、こんなイカれたサイコ異常者とは思わないで下さいな。
今回、アノ名物キャラの退場は悲しいが、本が書かれるのなら是非読みたい。
町の為に闘った、優しく勇気ある保安官の話を。
一応“終わらせた”事になっているが、映画としてはこれで終了は待って欲しい。
せっかく今回、シリーズの新作として面白くリブート出来たんだもの。
ホラー映画あるある。ヒットしたホラー映画は必ずシリーズ化される。
リブートあるある。成功したリブートも必ずシリーズ化される。時にはオリジナル以上の人気で。
第6作目の製作が決定。次はどんなルールで…?
悲鳴は続くよ、ファンの声に応えて。