「メタに留まらない歴史呼び起こしが告げるハリウッドの現在地と"原点回帰"、そして本シリーズのこれから」スクリーム とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
メタに留まらない歴史呼び起こしが告げるハリウッドの現在地と"原点回帰"、そして本シリーズのこれから
ルールブックその1。今度こそ原点回帰、巡り巡って一世代周回したのを感じる。歴史は繰り返す…ただ、本シリーズの場合は自らの立ち位置に恐ろしく自覚的=自虐的に!原点回帰のルールを知らない?3作なんて目じゃない長寿シリーズの場合いずれは回ってくる宿命で、万年ネタ切れでリメイクやらリブートやらでシリーズものなんかをメインに食い荒らしているハリウッドの昨今の状況と重なる。必ず原点である1作目に戻る、一部のファンにとっては特別だから。ある意味でシリーズ最良の出来かも。
ファンダムは有害なのか?賛否両論どころか原理主義者からするとブーイングの嵐だった『スターウォーズ8/最後のジェダイ』(とそのトラウマ経験を創作意欲ネタにした次作『ナイブズ・アウト』)で容赦なくネタにされるライアン・ジョンソンへの本作でのいじりがスゴい。たまにコートニー・コックスが無性に羨ましくなる。だってそのキャリア半生において少なくとも出世作ドラマ『フレンズ』とゲイルを演じた本シリーズと少なくとも"帰る場所"=大人の青春として思い返せる場所が2箇所もあるってことがスゴく素敵だなと思える。
伝説を汚さず更新してみせるスラッシャーホラーの単独復権であり(というより)、良くも悪くも影響力の大きかったティーンホラーの金字塔はいつしか"唯一無二"他の追随を許さないポジションにまで上りつめ確立されていた。流石はウェス・クレイヴン先生が自覚的に作った本シリーズ、演出でも自覚的。毎回自らが属する映画界シーンの流れにアンテナを張りながら自己革新でみずからを更新していく姿勢はそのままに、今回は自らの歴史にも大いに立ち返ってはテンポよくノンストップに繰り広げられる殺戮劇。最初も最後もタイトル関係が1作目からの意思を受け継ぐように変わらないの好き。
ボクらが見たいのは気取ったエレベイテッドホラー(ex.『ババドッグ』『イット・フォローズ』『ウィッチ』『アス』みたいな!好きだけど)ばっかりじゃなくて、たまには景気のいい&今となっては懐かしいこういう映画も欲しいってこと!そんな風に昨今のアート系な流れに出る杭となって楯突く。流石にちょっともう疲れてきたかもと満腹を感じる瞬間や部分も無くはないが、まだまだ研がれていて錆びていないスリルと興奮が色褪せない、新鮮に響き蘇る。そうやってメタ的にも更新していきながら『ハロウィン』(2018)も思い出した。
出演者としてはネーヴ・キャンベル、デヴィッド・アークエットなどオリジナルキャストな知った顔と共に、もちろん若手も多数。アンバー役の子の顔好き。ドラマ『13の理由』の少年が金髪になって出ている(しかも役名がシリーズ生みの親でホラー映画界のレジェンドであるウェス・クレイヴンと同じ"ウェス")ことに加え、ドラマ『ザ・ボーイズ』デニス・クエイドとメグ・ライアンの息子も出ている。生ける伝説も大立ち回りの終盤、痛快だし大正解。ハリウッドはネタ切れだから"実話に基づく"ネタを提供してやる。何度も生き延びてマンネリなんだよ!女性の強い映画、最高。スタブ返しな勝ち方も最高。
Amber
"I'll be right back."←死亡フラグの禁句
FOR WES