「無双ムーブ」きさらぎ駅 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
無双ムーブ
かなり有名なスレで中身も割れていますし、映画化するとしたらどうするんだろうと思いながら鑑賞。82分という短さが👍
これが面白かったー!永江監督の前作「真・鮫島事件」もコロナ禍をそのまま投影したリモートと都市伝説の鮫島事件の組み合わせがお見事だったのですが、今作はそれらを上回るクオリティとジャンルの融合の巧みさが光っていました。
まずネタバレ厳禁な内容でした。事前に内容を知ってしまったら面白さは半減してしまうほどネタバレが致命傷になる作品です。観る前は恒松さん演じる女性がきさらぎ駅に彷徨う展開だと思っていましたが、いきなり良い意味で裏切ってくれました。「はすみ」というきさらぎ駅に彷徨った女性に話を聞きに行き、きさらぎ駅での状況を追体験するというまさかの開幕でした。驚かし方がとても上手で、手ブレしないPOV形式での撮影で、視界に突然人を映したり、怒号が鳴り響いたりと怖さをジワジワっと煽ってきます。
人体破壊描写のトリッキーさも中々良かったです。眼球をくり抜かれるくらいはこの手の映画ではお手の物ですが、発火して巻き添えにされたり、細胞が爆散して死んだりと映像的な面白さを秘めていました。轢殺とかあるのかな〜と思っていましたが、ファンタジー寄りの殺し方でした。内輪揉めでのトラブルもホラー映画あるあるでした。
ただ2回戦からグッと違う面白さが出て来たのが今作です。きさらぎ駅に行く条件を達成した春奈が実際にきさらぎ駅にたどり着き、話に聞いた人々がまとめてその場にいるアハ体験をします。ここからある程度先の展開が分かっているので、そこから無双ムーブをかましていくのが最高でした。容赦なく見捨てるときは見捨てるし、上手いこと囮を使ったり、石で思いっきり殴ったり、潔さが良いです。それでも不足の事態が起きたりしてハプニングに巻き込まれたり、事前に話を聞いた「はすみ」にうまいこと騙されて、当時迷った際に救えなかった女子学生を助けるための生贄にされるという"人間が怖い"を体現していました。
「はすみ」がこの物語の鍵を握っていたというのが非常に悍ましかったです。しかしエンドロール後の映像で、「はすみ」の姪がきさらぎ駅に彷徨うという無限ループのような感じでモヤモヤさせてくれます。
いや〜面白かったです。見せ方も驚かせ方も上手で、今後も永江監督を追っていこうと思います。
鑑賞日 6/8
鑑賞時間 18:55〜20:25
座席 D-3