「魂は細部に宿らなければならないのだが・・・」この子は邪悪 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
魂は細部に宿らなければならないのだが・・・
最初の頃は、いったい何の話なのかと引き込まれるが、意外と早くそれが明らかになってからは、完全に尻すぼみとなる。
そもそも、催眠術の設定がオールマイティー過ぎる。そんなに簡単に、人の記憶を操作したり、人格を崩壊させたりできるのかと疑問に思っていたら、「魂を入れ替える」というネタが明かになるに及んで、その荒唐無稽さに、開いた口が塞がらなくなる。
しかも、相手は、ウサギでも昏睡状態の人間でもオーケーというのは、あまりにも「何でもあり」すぎやしないか?
こういう突拍子もない話に真実味や説得力を持たせるためには、細部にリアリティーがなければならないものだが、そうした工夫もまったく感じられない。
第一、父親にそんな能力があるのなら、どうして、最初から、ヒロインである長女を催眠術で操ろうとしないのか?さらに、疑惑に気付いたヒロインとその友達は、なぜ、警察に通報したり、信じられる大人に相談したりしないのか?
それどころか、犯人の面前で易々と手の内を明らかにしてしまう友達や、ただ殺されに来ただけのお婆さんが、とんでもなく間抜けで愚かに見えてしまうのは、作劇の明らかな失敗だろう。
極めつけは、クライマックスで、ここでは、当然、ヒロインと父親との対決が描かれなければならないはずなのに、ヒロインが、ただ突っ立って、ことの成り行きを見つめているだけというのはどうしたことか?
サスペンスとしても、ホラーとしても、お粗末としか言いようがない映画だった。
『実はこの子が全ての主犯だったのでは。。?』とヒロインがニヤリと笑うのを一瞬期待しましたが、そうではなく笑
邪悪な子は、そっちかーい。なんの捻りもなくドストレート!
そうそう、最後のシーン婆ちゃんグチャグチャに殴ってた割には白いワイシャツが血飛沫ひとつなく綺麗だし、ヒロインも突っ立てるだけ。警察が出ない謎演出はこの手の映画によくあるからそれは受け入れられましたが、
あそこでヒロインが『本当に』精神崩壊していく芝居が必要だったと思います。。。催眠なくても魂が抜けてる、みたいな。
そこがなく突っ立てるだけだったので