「優しく重い世界」カモン カモン コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
優しく重い世界
モノクロームに描かれる、優しく重い世界は素敵でした。
実際に子育て経験がある人には「あるある」ものに過ぎず、あまり新鮮味はないかもしれませんが、独身の高齢者が突然の子育てに戸惑う姿はかわいらしく。
大人って自分が思うほど自分のことはわかっていないし、子どもは一見何がしたいのか何が言いたいのか全く分からないのだけれども実はうまく喋れない(言語化しにくい)だけで、物事の本質は案外見抜いているものだと。
大きな事件が起こるような映画ではありませんが、大人は子どもに対して素直で嘘をつかず、ゆとりのある心で接することが必要ではないかと、画面から語り掛けられているような気がしました。
ところでタイトルは、"C'MON C'MON"
カモン【come on】 の短縮形。
(カタカナで書くとプレスリーの「おしゃべりはやめて/A Little Less Conversation」、横浜銀蝿「ジェームス・ディーンのように」、『ウイングマン』「異次元ストーリー」などを思い出しちゃうものの)
これは、子どもが自分を客観的に見て、自己を鼓舞するセリフでした。
自分へ「さあ来い、おいで」と誘うことで、「前へ進もう」という決意を込めた独り言。
まだ見ぬ未来へ向かって歩く子どもたちを、見守れる大人でありたいな、とほっこりさせてもらいました。
またそう思わせる演技をしていた、子役もフェニックスも素晴らしかったです。
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