「不思議な、落ち着いて内省したくなる映画」カモン カモン リボンさんの映画レビュー(感想・評価)
不思議な、落ち着いて内省したくなる映画
シンプルに、子どものいない伯父と甥っ子のハートフル家族ものの映画なのかな?と思っていましたが、
メインは伯父さんの仕事で録音し続けた、各地の子ども達へのインタビュー内容を紹介していくものでした。多分これは忖度なしに取材を受けた子ども達、若者達のリアルな気持ちと思われ、人生についてどう思うか、大人に思うことは、社会果ては地球で起こることへのそれぞれの考えを沢山伝えてくれました。
テレビのドキュメンタリー番組なら延々と紹介しても良いんでしょうけど、映画とするために、その取材を生業とする主人公を設定し、彼が久しぶりに再会し当初はなかなかに馴染み辛い甥っ子との葛藤や苦悩や子どもと接する覚悟などを表現し、最後は喜びや楽しさに至るドラマに仕立てていました。
この甥っ子がかなりクセのある子どもで、伯父さんと馴染むまではイタズラやワガママな行動に少々イラッとするんですが(汗)
これは当初、何故数日以上(結果的には2週間くらい?)母が離れていなくてはならなかったのか、詳しい理由を話さずにただ「伯父さんとしばらく2人で母さんを待っててね」という感じでいて、
少年に当初は状況をちゃんと納得させることも理由をきちんと話すこともしなかった母親のせいだな、と思いました。
余計なことを無理矢理聞かされることも迷惑ですが、心配かけたくなかったからと言ってたいして事情を説明しないことも迷惑だし、不安になります。
この対処でいいだろう、と勝手に満足するのは親側のエゴ。
そりゃ9歳の少年とはいえ、ストレス溜まるよ。。と共感。また、隠れたりされた伯父さんも大変でした。。
最後のほうでこの映画のタイトルの言葉「カモン!カモン!」を少年が語る場面が来ますが、本当にその通りだな、と。人生の真髄を彼はもうわかっているんだ、と驚きました。
何が起きるか分からない人生ですが、その都度可能な限りベストを尽くし、煉獄さんの言葉とまた重なりますが、打ちのめされてもうずくまっていないで立ち止まらずに進まなきゃ!って思いました。(ひとしきり泣いたり落ち込んだりした後で。)
アクションもハラハラも無い、静かに内省するきっかけとなり得る落ち着いた映画でした。