劇場公開日 2022年3月19日

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「授業の一環作品には思えない。」たまらん坂 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5授業の一環作品には思えない。

2022年4月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

制作から4年で公開された本作。武蔵野大学の授業の一環(実習授業)で制作されたのだそうです。アフタートークでそれを伺い驚きました。実習作品とは思えないのは監督の力量なのでしょうかね?

読書体験を映画にしてみるという試みから始まったそうで、最初は風景に朗読を重ねるというもので、ひな子を登場させるというのは後追いだそうです。驚きです。なんともまぁよくまとめていて感心します。その朗読の映像化がとても効果的に活きてます。また朗読を映像化・・・なるほどなぁって思える見せ方がいくつもあってこれまた感心。朗読の内容がいつも間にかひな子の言葉になっていく感じ、好きだなぁ。

「たまらん坂」「多摩蘭坂」読み方が違うが同じ坂を指す。けどその読み方にもそれぞれ理由がある。一体どちらの名前が坂を表す読み方なのか?そんな名前探しが描かれた本を「ふるさと」というキーワードで分類されひな子に渡されたのはなぜなのか?最初は分からなかったのですが、あぁなるほど、そーいうことか。そういう関連性の持たせ方をするのか!と膝をポンと叩きたくなりました。

「自分ってどんな人でどうしたい人なのかわからない」状態であれば特に。人生の岐路に立った時に特に考えるかもしれません。自分探しってやつですかね?本作のひな子は大学生で就活中。そんな彼女の助力となるのが「たまらん坂」という書物。なるほどなるほどです。

とても実験的な味わいがある作品なのですが、十分に大学生の悩み、ステージが変わる人間の葛藤をうまく描けている作品なのではないでしょうか?主演の女優さんがまさかの当時素人の学生さんだったとは。これまた驚きです。

バリカタ