私はヴァレンティナ
劇場公開日:2022年4月1日
解説
ブラジルの現在を生きる若きトランスジェンダーの痛みと希望を描いた青春ドラマ。ブラジルの小さな街に引越してきた17歳のヴァレンティナは、出生届の名前ラウルではなく通称名で学校に通う手続きのため、蒸発した父の行方を捜している。新しい友人や生活には慣れてきたものの、自身がトランスジェンダーであることは伏せていた。そんなある日、年越しパーティに参加したヴァレンティナは、見知らぬ男性に襲われてしまう。その事件をきっかけに、SNSでのいじめや匿名の脅迫、暴力沙汰など様々な危険が彼女を襲う。主演を務めるのは、自身もトランスジェンダーである有名YouTuberのティエッサ・ウィンバック。監督は2008年に手がけた短編「秘密の学校」が「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2009」でオーディエンスアワードを受賞したカッシオ・ペレイラ・ドス・サントス。
2020年製作/95分/ブラジル
原題:Valentina
配給:ハーク
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世界中でLGBTQの権利保障をテーマにした映画が生まれる昨今。ブラジルから届いた本作は、一人の少女が家族と親友に支えられながら、いかにアイデンティティを確立していくのかを丁寧に描いた作品である。冒頭から何気ない描写を通じて、彼女の置かれた状況が提示されていく。すなわち、すでに親は子のジェンダーについて深く理解しており、彼女がありのままで生きられるよう最善を尽くしたいと願っている。それからブラジルではLGBTQの権利が保証されているという。ならば彼女は胸を張ってヴァレンティナという名前を主張して良いはず。しかし現実的には様々な経緯があって親子は小さな街へと移住せざるをえず、学校でも「権利は保障されています。でも反対する人たちがいるのを忘れないで」と釘を刺されたりも。何がこの状況に突破口を開くのか。小さな、しかしたくましい一歩が、ラスト5分で鮮明に刻まれていて、非常に引き込まれるものがあった。
2022年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ブラジルはジェンダー関連の法の整備は先進的だがLGBTQの市民レベルの理解は追いついていないそうで、トランスジェンダーの82%が中途退学そして70%だったかな?は35歳までに亡くなるのだそうです。亡くなられる理由は自死の割合も多いのでは?と思えてしまうほど、本作で描かれるトランスジェンダーの「生きにくさ」は半端ないです。
主演の方は演技未経験と思えないリアリティある演技でした。インタビュー記事を後で読んだら自身がトランスジェンダーで現実と重なる部分が多かったからだそうですね。いやそれにしても、彼女を見続けるのが辛くなるほどの演技であり物語でした。きっと母親への気持ちとか仲間への親愛の感情などはすごく重なるんでしょうね(ご本人の実母はお亡くなりになっているそうですが)
なぜこれほど寛容になれないのかなぁ?同じ人間なのに。宗教的な理由もあるのかなぁ?とすら思ってしまうほどに彼女に向けられる感情は「嫌悪」なんですよね。差別というよりも憎しみにも似た感情をぶつける世間。本当に何がそんなに許せないのか?が僕自身もわからないです。でも、それがブラジルって国なんでしょうね(地域差はあるにせよ)もちろん、日本を含めて至る所にあるんでしょうね、僕自身が知らないだけで。
でもね、そんな世界を作っている方々は気づくべきなんですよ。自分の知っている範囲や世界を頑なに守り、その中だけで力を誇示することの滑稽さを。自分の知っている世界でしか生きられない弱さは客観的にすごく格好悪いってことを。
大事なことは「男らしさ」「女らしさ」ではなく「自分らしく生きる」ってこととそれが叶う「環境をつくる」ってことなんだと思うんですよね。
ラストの彼女の表情はきっと「願い」なんだろうな。
とても見るのが辛いですが、多くの方に見ていただきた作品です。
2022年4月14日
Androidアプリから投稿
アメリカに接しているメキシコでも、LGBTについてはこんなもんなんだ…。島国の日本なんてもっと凄いと思う。人間誰しも歳をとると、新しい価値観を受け入れ難くなる。全て受け入れることはないが、受け入れていくことに前向きになれた気がした作品でした‼️
なんだ!?あのクソ兄弟(°ㅂ°҂)お前らのどこが健全なんだヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
ラスト、良かった。ちょっとホッとした。
今ならこうだろね。