「チャンプを継いだりはしない」ケイコ 目を澄ませて hyvaayota26さんの映画レビュー(感想・評価)
チャンプを継いだりはしない
字幕版で見たが、周囲の音も字幕になっていて、もし字幕になってなかったら私はこの音に意識を向けなかっただろうと思う。当たり前に聞こえることで、音への意識が薄いのかもしれない。縄跳びの音、文字を書く音、雨の音…。
前半、耳が聞こえないことで生じるちょっとした不便や、聞こえる人たちとの間に起きる小さなズレがさりげなく描かれていた。
たとえば弟の友人の女の子が「さよなら〜」と声だけかけて帰ってしまう。聞こえないケイコにとっては、何も言わずに気づいたらいなくなっている。コンビニでのポイントカードのやり取りや、階段でぶつかる男性の悪意など、聴こえることが当たり前と思っている側の傲慢さがすごくよく表現されているなと思った。
ジムの女性オーナーの、善意からの気遣いも少し重荷に感じる気持ちもわかる。
コロナの描き方も、とてもあの時の雰囲気を捉えていた。無観客の静かな試合。
ミット打ちがリズミカルでとても楽しそう。ボクシング映画ということであまり興味もなかったが、みてよかった。日本映画らしく、劇的なことは起こらない。クリードを観た後なのでギャップを感じて面白い。
気になったのは母親役と三浦友和の妻役がだいぶ若いのではということ。特に三浦友和の妻は妙に色気があって、どういう関係なんだ?とノイズに感じた。20歳くらい年齢が違うと思うんだけど。最初、娘かと思った。日本映画って夫に対して妻や恋人役を20歳30歳若い俳優がやることが多い気がする。理由があるならいいけど、不自然に感じることも多い。
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