「耳を澄ませる」ケイコ 目を澄ませて ひでぼーさんの映画レビュー(感想・評価)
耳を澄ませる
岸井ゆきの、佐藤緋美、三浦監督のトークイベントつきで鑑賞。
岸井ゆきのを最近いろんな作品で見てきたので、リアルで見られて、ちょっぴり嬉しい。
小柄ながらも映画館同様、存在感があった。
全編を通して、映画らしい派手さはほとんどない。三浦監督いわく、宇宙の中の、地球の中の、東京の団地の一室、というイメージらしい。
荒川の小さなジムの難聴者の主人公が中心の小さな話。
それを感じさせるかのように固定されたカメラで、景観や、街中を歩くケイコの様子が頻繁に映される。
さらに、日常感を助長しているのが、音楽。といっても劇伴はほとんどなく、街の雑踏音や、ジムのボクシングの音が印象的になっている。ちなみに唯一の劇伴のギター曲は佐藤緋美が撮影中に描いていた曲とのこと。思い入れもひとしお。
難聴の主人公を扱いながらも、音で魅せているのがなんとも逆説的でおもしろい。
16mmフィルムの映像も味があって、冒頭から雰囲気が出て引き込まれる。
俳優は、最初は岸井ゆきのを見ているようで、手話、難聴を見事に演じ、不器用で笑顔がない姿は途中から完全にケイコになっていた。そのあと実際に舞台挨拶でみて、さらに別人だと感じた笑
プロボクサーとしてはさすがに違和感はあったが、
佐藤緋美も自然でとてもいい。本物も礼儀正しく、謙虚で好感が持てた。
派手さはないが、非常に丁寧に描かれている作品であった。
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