「「一度休みたいです・・・」」ケイコ 目を澄ませて いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
「一度休みたいです・・・」
丁度鑑賞した日が舞台挨拶日だったので、上映後の生岸井ゆきのは、ほんとに顔が小さいこじんまりとした女性であった そんな今一番波に乗っているであろう女優の主演作であるが、原作は未読であり、ある程度のインフォメーションは発表されてはいるが、聴覚障害の方に配慮したミニマルで、シンプルな作品に仕上がっていた 劇伴がほぼ抑えられていて、逆に街の雑多な生活音が強調された効果の上に、手話の字幕を何種類か試すことでそれさえも演出として表現されているところが大変上手く感じた
そして件の女優の"負けず嫌い"が遺憾なく発揮された演技に舌を巻く ボクシング、聾者と何もかも初体験の役柄であったと思う 高速ミット打ちはアドリブであったという発表に驚きを禁じ得なかったし、それ以上に今迄のコメディエンヌ的路線からの脱却、、、というと大袈裟かも知れないが幅の広い役柄への挑戦が余すところ無く表現されていた 周りを固める俳優も素晴らしく、特に三浦友和の演技には舌を巻く
作品そのものは原作の一部をフューチャーした構成となっているとのことだが、反則をした対戦相手が普段の土手でばったり出会い、挨拶をされたとき、その全てのモヤモヤが氷解していく演技には心打たれる 相手も又自分と同じ人間であったと悟るのであった 弟の彼女との打ち解け、そしてなにより、クラブの会長との心の繋がり、そのカタルシスを、しかし過度な演出無しで質素に表現する今作品は、静かだけど心を揺さぶる作品であった
たくさん共感を有り難うございます。
そうでした、そうでした。ケイコが対戦相手と出会って、無愛想なままかとちょっと不安になったのを思い出しました。
でも笑い顔一歩手前の、緩んだ表情になる。観る側がフッと安堵したところで、ケイコは日常の顔に戻りました。これはこれで、静かな迫力。
いぱねまさんは、心引き込まれていくレビューをお書きですね。
>反則をした対戦相手が普段の土手でばったり出会い、挨拶をされたとき、その全てのモヤモヤが氷解していく演技には心打たれる 相手も又自分と同じ人間であったと悟るのであった
ああ、これだ。素晴らしい表現。