「民衆の力」ミスター・ランズベルギス 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
民衆の力
2021年。セルゲイ・ロズニツァ監督。1980年代後半から1991年にかけて、ソ連から独立していくリトアニアの様子を、当時改革を主導したランズベルギスとともに振り返る。ソ連に現れたゴルバチョフの改革の波に乗り、ソ連憲法やそれ以前のリトアニア憲法を盾に取り(遵法闘争)、ナチスドイツとスターリンの密約で揺さぶり、最終的には民衆の力で独立を勝ち取っていく。
政治の主導権を握った人々の対ソ連、対リトアニア共産党の政治闘争は「主権」をめぐる法的な闘争であり、歴史や文書がものをいうが、最終的に軍隊を跳ね返す力となっているのは、50年間ソ連の支配下にあった当地で積もりに積もった憤懣を背景にした人々の国民意識。ナショナリズムの力は戦車に勝つのだ。もちろん、国際情勢の変化をとらえた政治家たちの力もあったのだろうが。当時の映像をつなぎ合わせて「民衆の力」をまざまざと見せつける映画。
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